保育士 過去問
令和3年(2021年)後期
問85 (保育の心理学 問85)

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問題

保育士試験 令和3年(2021年)後期 問85(保育の心理学 問85) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文は、青年期に関する記述である。( A )~( D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

青年期は、家族以外の人との親密な関係を深めていく中で、青年は( A )の確立という新たな課題に直面する。エリクソン(Erikson, E.H.)は、青年期が、大人としての責任と義務を問われずに、自由に何かに打ち込み、挫折し、さらにまた何かを探し求めるといった経験、あるいは、様々な 危機を経ることが重要であるとして、この期間を( B )期間であると考えた。
その後、マーシア(Marcia, J.E.)は、( A )の状態を4つの類型に分けて考える( C )を提唱した。この4類型の中の一つである( D )は、これまでに危機を経験していることはなく、自分の目標と親との目標の間に不協和がなく、どんな体験も、幼児期以来の信念を補強するだけになっているという、融通のきかなさが特徴的である。

【語群】
ア:アイデンティティ  イ:モラトリアム
ウ:アイデンティティ・ステイタス  エ:早期完了
オ:モダリティ  カ:達成  キ:拡散
ク:アイデンティティ・クライシス
  • A:ア  B:イ  C:ウ  D:エ
  • A:ア  B:イ  C:エ  D:カ
  • A:ア  B:オ  C:ク  D:カ
  • A:ウ  B:イ  C:エ  D:キ
  • A:ウ  B:オ  C:ク  D:エ

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この過去問の解説 (3件)

01

答えは1(Aア Bイ Cウ Dエ)です。

A→アイデンティティ

 アイデンティティとは「自己同一性」「主体性」という意味を持ちます。エリクソンは発達していくうえで自己同一性の確立が課題になってくると考えました。

B→モラトリアム

 モラトリアムは本来、経済的用語で「(借金返済までの)猶予期間」として使われています。エリクソンは社会的責任を一時的に免除あるいは猶予されていることからこの期間をモラトリアム期間と呼んでいます。

C→アイデンティティ・ステイタス

 アイデンティティを危機(これでいいのか?と振り返ること)と積極的関与(目標に向かってに行動していく)の2つから4つの分類に分けました。それがアイデンティティ・ステイタスです。

アイデンティティ・ステイタス

1拡散(危機:なし/積極的関与:なし)

2早期完了(危機:なし/積極的関与:あり)

3モラトリアム(危機:あり/積極的関与:なし)

4達成(危機:あり/積極的関与:あり)

D→早期完了

 「危機を経験していない」ということは、拡散もしくは早期完了になります。

 「どんな体験も、幼児期以来の信念を補強するだけ」ということは積極的に動いてきたことが分かります。

以上の2点からDには早期完了が入ります。

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02

青年期がどのような時期なのかということをしっかりと理解した上で、問題を解いていきましょう。

 

選択肢1. A:ア  B:イ  C:ウ  D:エ

正しい組み合わせです。

青年期とは、13歳から22歳頃までの時期で多くの異なる場面や状況において自分とは何者か、自分は何になりたいのか(アイデンティティ)について考える時期です。

選択肢2. A:ア  B:イ  C:エ  D:カ

C、Dが間違いです。

Cについて、マーシアは、アイデンティティの状態を4つの地位に分けました。

その考え方をアイデンティティ・ステイタスといます。

選択肢3. A:ア  B:オ  C:ク  D:カ

B、C、Dが間違いです。

Bの正しい答えは、イのモラトリアムです。

モラトリアムは、「アイデンティティ確立のための猶予期間」です。

つまり、アイデンティティ確立のためにゆっくり試行錯誤できる期間と考えましょう。

選択肢4. A:ウ  B:イ  C:エ  D:キ

A、C、Dが間違いです。

Aの答えは、アイデンティティです。

青年期はアイデンティティ確立が課題であり、アイデンティティは自我同一性とも言われます。

選択肢5. A:ウ  B:オ  C:ク  D:エ

A、B、Cが間違いです。

マーシアが分類した、アイデンティティステイタスは、4つに分けられます。

拡散

自分の人生について主体的な選択ができず、何がやりたいのかわからない途方に暮れているグループ。

早期完了(D)

危機を経験していないのにもかかわらず、アイデンティティが一見確立されたようなグループ。

モラトリアム

心理的、社会的な責任の猶予期間のグループ。

達成

危機を経験し、それを通じて自分で選択肢た人生のあり方に対して積極的に関与をしているグループ。

まとめ

よく出題されるところなので、しっかり覚えましょう。

参考になった数12

03

A: ア:アイデンティティ

B: イ:モラトリアム

C: ウ:アイデンティティ・ステイタス 

D: エ:早期完了

選択肢1. A:ア  B:イ  C:ウ  D:エ

正答です。

 

 

まとめ

<アイデンティティ>

 自分が自分であること、自分が誰なのかを知ること。発達心理学者エリクソンが作った言葉で、青年期の課題とされる。

 

<モラトリアム>

 成人でありながら、社会的な責任から逃避し、自分がやりたいことを追い求め続ける状態のこと。主に学校を卒業してから就職をするまでの間の青年期に見られる。

 

<アイデンティティ・ステイタス>

 心理学者マーシャが青年期の在り方について4種類に分類したもの。

 ・アイデンティティの拡散

   積極的関与(いわゆる努力)をしていない。

 ・モラトリアム

   自分にとって意味のある危機を経験している最中で、積極的関与をしている。

 ・早期完了

   自分にとって意味のある危機を経験せずに、積極的関与をしている。

 ・アイデンティティの達成

   自分にとって意味のある危機を経験し、積極的関与をしている。

 

<アイデンティティ・クライシス>

 アイデンティティが喪失した状態のこと。発達心理学者エリクソンが作った言葉で、中年期(40歳前後)に見られる。

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