保育士の過去問
令和3年(2021年)後期
保育の心理学 問95

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問題

保育士試験 令和3年(2021年)後期 保育の心理学 問95 (訂正依頼・報告はこちら)

次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
Wちゃん(4歳、女児)は、保育所では活発で他の園児とも楽しく遊ぶ子である。身長体重は平均よりやや高く、重い。これらから保育所では、Wちゃんを特に気になる子どもとは考えていなかった。保育所には母親が送り迎えをしている。母親は、しばしば迎えの時間を忘れたり、間違えて遅くなることがあり、保育所はその都度、母親に電話連絡した。また、母親は冬であってもビーチサンダルで保育所に送り迎えし、Wちゃんが、「靴はいて」と話しても、頓着がないようである。Wちゃんは、母親が迎えに来ると、遅れた場合は「まただー」とややごねるが、そのあと保育所で当日あった話などをして、手をつないで楽しそうに帰って行くことが多い。
保育士が家庭訪問した時の観察では、Wちゃんにとって身体的に危険なほどではないが、家は整頓、片付けされていなかった。母親自身も家事全般が苦手であると話している。Wちゃんも「カレーライスにカレーをかけないで、食卓に出すよ」などと話したこともあった。Wちゃんは、不潔な服を着、髪もぼさぼさで登園することが時としてある。Wちゃんはそれを嫌がっているものの、「朝時間がなかったから」などと保育士に伝えていた。

【設問】
次のうち、保育所のWちゃんと母親への理解や対応として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A  Wちゃんが重度のネグレクトを受けている可能性が高いため、至急の児童相談所通報も視野に入れ、保育所で会議を行う。
B  母親の性格上のだらしなさや常識のなさを、Wちゃんへの深刻な悪影響も含め母親に指摘して訂正するよう導く。
C  母親とさらに時間をとって、困っていることや、通院歴などを聞き、母親理解を深める。
D  Wちゃんに、母親から不適切で悪い対応を受け辛いであろうことを伝え、Wちゃんを保育所では情緒的に支え続ける。
  • A:○  B:○  C:○  D:×
  • A:○  B:○  C:×  D:×
  • A:×  B:○  C:×  D:×
  • A:×  B:×  C:○  D:×
  • A:×  B:×  C:×  D:○

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は4です。

A.×

ネグレクト(育児放棄)を受けている子どもは、栄養不足による発育不良、情緒面での問題などがみられる可能性が高いです。

Wちゃんの身長体重、遊ぶ様子などから、重度のネグレクトを受けているとは考えにくい状況です。

B.×

母親に対して厳しく訂正を求めることは正しいとは言えません。

状況から、母親自身が支援を必要としている人である可能性が高く、連絡方法の工夫や丁寧なコミュニケーションを心掛けるなどのサポートが必要と考えられます。

C.〇

設問の内容からは、母親自身が発達障害や精神疾患など、何らかの問題を抱えている可能性があることが読み取れます。

時間を取って話すことで母親の状況をより理解し、適切なサポートへつなげる必要があります。

D.×

Wちゃんが母親と楽しそうに帰るなどの様子から、母親との関係性は良好であると思われます。

母親の批判をWちゃんに伝えるのではなく、Wちゃんと母親双方に対して必要な支援を行っていきます。

参考になった数34

02

正解は4(A× B× C〇 D×)です。

A→×

 Wちゃんの身体的情報を見ると「身長体重は平均よりやや高い」とあります。このことから重度のネグレクトを受けている可能性は低いです。

B→×

  母親への支援は必要ですが、Wちゃんが園での出来事を話しながら手をつないで楽しそうに帰る様子から、母親がWちゃんに深刻な悪影響を与えているとはいえません。

C→〇

 問題文の通りです。

 母親の状況を理解し、情報共有を行うことで適切な支援を行うことができます。

D→×

 わざわざWちゃんに伝える必要はありません。伝えることで逆に母子間の関係悪化や、Wちゃんの情緒面が不安定になることが考えられます。 

参考になった数18