保育士の過去問
令和3年(2021年)後期
子どもの保健 問110
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
保育士試験 令和3年(2021年)後期 子どもの保健 問110 (訂正依頼・報告はこちら)
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
F君(3歳)は保育所に入所してきたが、言葉がなかなか出ず、数か月しても他の園児とほとんど関わりを持つことができない。他児のすることに関心はあるようにも見えるが一緒に遊ぶことも少ない。母親から家での様子を聞いてみると、母親は比較的リラックスできる家庭でも言葉が出にくいことを気にしており、また関わりづらさも感じていて、「学校にあがるまでに他の子と同じようになれるか心配」との言葉が聞かれた。
【設問】
次のうち、F君の精神医学的診断として、除外できるものを○、除外できないものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 自閉スペクトラム症(ASD)
B 反応性愛着障害
C 知的障害
D 分離不安症
E 選択性緘黙
【事例】
F君(3歳)は保育所に入所してきたが、言葉がなかなか出ず、数か月しても他の園児とほとんど関わりを持つことができない。他児のすることに関心はあるようにも見えるが一緒に遊ぶことも少ない。母親から家での様子を聞いてみると、母親は比較的リラックスできる家庭でも言葉が出にくいことを気にしており、また関わりづらさも感じていて、「学校にあがるまでに他の子と同じようになれるか心配」との言葉が聞かれた。
【設問】
次のうち、F君の精神医学的診断として、除外できるものを○、除外できないものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 自閉スペクトラム症(ASD)
B 反応性愛着障害
C 知的障害
D 分離不安症
E 選択性緘黙
- A:○ B:○ C:× D:○ E:×
- A:× B:○ C:○ D:× E:○
- A:× B:× C:○ D:× E:×
- A:× B:× C:× D:○ E:○
- A:× B:× C:× D:× E:○
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (3件)
01
正解:5
A→✕(除外できない)
自閉スペクトラム症:コミュニケーションを苦手とする障害です。
事例では、言葉が出ず、他児と関われないことから、自閉スペクトラムの可能性があります。
B→✕(除外できない)
反応性愛着障害:家族であっても無表情で、抱きついたりといった愛着行動を見せない障害です。育った環境や、子育て方法によって引き起こされる、後天的なものです。
事例では、母親がF君との関わりにくさを感じており、F君も家族との会話が少ないことから、反応性愛着障害の可能性があります。
C→✕(除外できない)
知的障害:年齢相応の知能を獲得できていない障害です。
事例では、他児に興味がある様子ですが、言葉が出ずに関わりが持てないことから、知的障害の可能性があります。
D→✕(除外できない)
分離不安症:愛着を持っている人(家族など)から離れることで強い不安を感じる障害です。
事例では、家庭内ではリラックスしているが、保育園では言葉が出ず、他児と関われない様子から強い不安を感じていることから、分離不安症の可能性があります。
E→◯(除外できる)
選択性緘黙:家庭内では話すことができますが、それ以外では話せなくなる障害です。
事例では、保育所だけでなく、家庭内でも言葉が出にくいことから、選択性緘黙の可能性は低いです。
参考になった数43
この解説の修正を提案する
02
正解は5です。
A.×
言葉が出ない、他の園児と関わりを持つことができないという点は、
コミュニケーションを苦手とする自閉スペクトラム症(ASD)にみられる症状の一つです。
B.×
反応性愛着障害とは、親などの養育者の適切でない関わりにより、対人コミュニケーションに困難をきたす後天的な行動障害です。
過剰に人を警戒する「抑制型」と、過剰に馴れ馴れしい行動をとる「脱抑制型」があります。
他者との関わりを持つことができていないという点で、反応性愛着障害の可能性も考えられます。
C.×
知的障害とは、知的能力の水準が同年代よりも明らかに低く、生活に支障をきたす状態のことです。
3歳児は、個人差がありますが、挨拶や会話ができ、語彙力も急激に増える時期です。
言葉が出ないという記述から、知的障害の可能性は除外できません。
D.×
分離不安症は、特定の人物・場所から離れることに過剰な不安感や恐怖を持つ症状がみられます。
設問の内容からは、分離不安症ではないというはっきりとした表現は読み取れません。
E.〇
選択制緘黙とは、家など安心できる場所では会話ができるのに、学校など特定の場所では言葉が出なくなってしまう状態のことです。
家でも言葉が出ないという記述から、選択制緘黙は除外できると考えられます。
参考になった数14
この解説の修正を提案する
03
障害の特徴を理解しているかが問われる問題です。
それぞれの選択肢について解説していきます。
A 自閉スペクトラム症(ASD)
×(除外できない)です。
「自閉スペクトラム症(ASD)」の特徴は次のようになります。
・複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥があること
・行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上あること(情動的、反復的な身体の運動や会話、固執やこだわり、極めて限定され執着する興味、感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ など)
事例の場合、「他児のすることに関心はあるようにも見えるが一緒に遊ぶことも少ない」、母親が「関わりづらさも感じて」いると書かれていることから、対人コミュニケーションがうまく取れない事が考えられます。従って、「自閉スペクトラム症(ASD)」の可能性も否定できません。
B 反応性愛着障害
×(除外できない)です。
「反応性愛着障害」とは、親などの養育者の適切でない関わりにより、対人コミュニケーションに困難をきたす後天的な行動障害です。
過剰に人を警戒する「抑制型」と、過剰に馴れ馴れしい行動をとる「脱抑制型」があります。
他者との関わりを持つことができていない(人を警戒している)という点で、「反応性愛着障害」の可能性も考えられます。
C 知的障害
×(除外できない)です。
「知的障害」とは、知的能力が低く、日常生活・社会生活での適応能力が低い状態が18歳までに現れる障害です。知的障害の程度は「軽度」「中等度」「重度」「最重度」の4つに分類されます。
幼児期には言葉の遅れから「知的障害」が疑われることが多いです。
事例の場合、家庭でも園でも「言葉がなかなか出ず」とあるので「知的障害」の可能性も考えられます。
D 分離不安症
×(除外できない)です。
分離不安とは、親と離れることで不安になって泣いたりすることです。
事例の場合、家庭内では比較的リラックスしていますが、園では言葉も出ず他児とも関わりが持てないことから不安に感じている可能性も否定できません。
そのため、「分離不安症」の可能性も考えられます。
E 選択性緘黙
○(除外できる)です。
「選択性緘黙」は場面緘黙とも言います。
言語能力が正常であり、家などでは普通に話せるが特定の場所で1か月以上話せなくなる疾患を言います。
事例の場合、保育園でも家でも言葉が出にくい状態なので「選択制緘黙」は考えられません。
不正解です。
不正解です。
不正解です。
不正解です。
正解です。
それぞれの障害特性を理解し、事例から気になる部分を読み取れるようにしましょう。
参考になった数6
この解説の修正を提案する
前の問題(問109)へ
令和3年(2021年)後期問題一覧
次の問題(問111)へ