障害の特徴を理解しているかが問われる問題です。
それぞれの選択肢について解説していきます。
A 自閉スペクトラム症(ASD)
×(除外できない)です。
「自閉スペクトラム症(ASD)」の特徴は次のようになります。
・複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥があること
・行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上あること(情動的、反復的な身体の運動や会話、固執やこだわり、極めて限定され執着する興味、感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ など)
事例の場合、「他児のすることに関心はあるようにも見えるが一緒に遊ぶことも少ない」、母親が「関わりづらさも感じて」いると書かれていることから、対人コミュニケーションがうまく取れない事が考えられます。従って、「自閉スペクトラム症(ASD)」の可能性も否定できません。
B 反応性愛着障害
×(除外できない)です。
「反応性愛着障害」とは、親などの養育者の適切でない関わりにより、対人コミュニケーションに困難をきたす後天的な行動障害です。
過剰に人を警戒する「抑制型」と、過剰に馴れ馴れしい行動をとる「脱抑制型」があります。
他者との関わりを持つことができていない(人を警戒している)という点で、「反応性愛着障害」の可能性も考えられます。
C 知的障害
×(除外できない)です。
「知的障害」とは、知的能力が低く、日常生活・社会生活での適応能力が低い状態が18歳までに現れる障害です。知的障害の程度は「軽度」「中等度」「重度」「最重度」の4つに分類されます。
幼児期には言葉の遅れから「知的障害」が疑われることが多いです。
事例の場合、家庭でも園でも「言葉がなかなか出ず」とあるので「知的障害」の可能性も考えられます。
D 分離不安症
×(除外できない)です。
分離不安とは、親と離れることで不安になって泣いたりすることです。
事例の場合、家庭内では比較的リラックスしていますが、園では言葉も出ず他児とも関わりが持てないことから不安に感じている可能性も否定できません。
そのため、「分離不安症」の可能性も考えられます。
E 選択性緘黙
○(除外できる)です。
「選択性緘黙」は場面緘黙とも言います。
言語能力が正常であり、家などでは普通に話せるが特定の場所で1か月以上話せなくなる疾患を言います。
事例の場合、保育園でも家でも言葉が出にくい状態なので「選択制緘黙」は考えられません。