保育士の過去問
令和4年(2022年)後期
子どもの保健 問8

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問題

保育士試験 令和4年(2022年)後期 子どもの保健 問8 (訂正依頼・報告はこちら)

次のうち、虐待事例への援助に関する記述として、適切なものを一つ選びなさい。
  • 虐待事例への援助をする際、保護者の意に反する介入をしてはならない。
  • プライバシーを守るためには、虐待を発見した保育所のみで対応しなければならない。
  • 施設入所となったケースでは、保護者のかかえる課題を解決するための家族支援が重要となる。
  • 施設入所後は、子どもの家庭復帰を積極的に進めていけるよう援助する。
  • 在宅での援助を継続する場合、子どものプライバシーを守ることを優先し、関係機関等による連携をしない。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題で、覚えておくポイントは以下のとおりです。

保育所は、虐待の通告義務があります。

また、子どもの生命を優先し、迅速に対応することです。

では、問題を見ていきましょう。

選択肢1. 虐待事例への援助をする際、保護者の意に反する介入をしてはならない。

虐待は子どもの生命を危険にさらされるおそれがあり、

保護者の意に反しても子どもを保護する必要があります。

選択肢2. プライバシーを守るためには、虐待を発見した保育所のみで対応しなければならない。

保育所は、虐待通告義務の対象です。

通告義務は、守秘義務より優先されます。

選択肢3. 施設入所となったケースでは、保護者のかかえる課題を解決するための家族支援が重要となる。

家庭関係や親の抱える精神的、

経済的背景などから総合的な見立てをし支援を行います。

選択肢4. 施設入所後は、子どもの家庭復帰を積極的に進めていけるよう援助する。

深刻な虐待の場合は必ずしも家庭復帰が望ましいとは言えません。

選択肢5. 在宅での援助を継続する場合、子どものプライバシーを守ることを優先し、関係機関等による連携をしない。

関係機関の連携を継続的に、

切れ目のない支援を行うことが大切です。

まとめ

保育所の通告義務は守秘義務より優先されます。

保護者の意に反しても子どもの命が最優先です。

この2つは覚えておきましょう。

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02

虐待事例への援助に関する問題です。

「子どもの虐待対応の手引き(厚生労働省) 第1章 子ども虐待の援助に関する基本事項3.虐待事例への援助の特徴」をご覧ください。

選択肢を一つ一つみていきましょう。

1.不適切です。

  場合によっては保護者の意に反して介入しなければなりません。

(1) 保護者の意に反する介入の必要性

虐待を受けた子どもに対しては、単に保護するだけでなく、心理的治療が不可欠となる。しかも、虐待事例においては、保護者が心配して来所する一般の相談とは異なり、保護者は虐待の事実を認めなかったり、否定したり、気付いていなかったりすることも多く、相談や子どもへのサービスを実施しにくい。虐待の場合には、子どもの生命や健全な成長・発達、ウェルビーイングを守るため、保護者の求めがなくとも、あるいは保護者の意に反しても、介入していかなければならない場合が少なくない。

2.不適切です。

  時には保育所内部だけでなく、諸機関(専門家)との連携が必要な場合があります。

(2) 諸機関(専門家)の連携の必要性

このように保護者の同意が得られにくいこと、そしてそのような家庭には多くの困難な要因(条件)が複雑に関与しているために、一機関、一専門家では対応が困難で、相互の連携が不可欠といえる。例えば、保護者が子どもの施設入所に同意しない場合には、弁護士の関与により法的に対応する必要も出てくる。家庭が貧困であったり、病人を抱えていたり、保護者に精神的な問題があれば、福祉事務所や保健所、医療機関等との連携が必要となろう。 

3.適切です。 

 家庭復帰ができるよう虐待を行った保護者への援助が不可欠です。

(3)児童相談所と施設、里親との連携の必要性

虐待事例では、児童福祉司や心理職員による家庭訪問や通所での相談・指導を行う一般の相談とは異なり、親子分離をせざるをえない場合が少なくない。子どもを虐待環境から離し、「安心できる」あるいは「安全である」と感じられる乳児院・児童養護施設や里親のもとに保護しなければならない事例も多い。しかし、通常これら親子分離は、援助の一過程にしか過ぎず、援助の目標は、基本的には家庭復帰である。このため、施設入所や里親委託後の家庭環境調整や子ども、虐待を行った保護者への援助が不可欠であり、入所後の児童相談所と施設の連携が強く求められる。

4.不適切です。

 虐待をする保護者のリスクを考えて施設入所後の子どもの家庭復帰は慎重さが求められます。

(4)虐待をする保護者のリスク

虐待をする保護者は、子どもにとって、安心できる、情緒的に深いつながりのある大人ではない。したがって、施設入所後、子どもの家庭復帰は慎重にすすめなければならない。「何と言っても親子だから」、「保護者が引き取りを求めているから」と、いわゆる「親子不分離の原則」に基づき、性急に家庭復帰を目指すのは、しばしば危険である。同じように、施設入所後、保護者の面会や自宅への外泊も慎重に計画すべきである。安易な面会、外泊により、子どもが虐待を再体験することもあることに十分留意する必要がある。

5.不適切です。

必ず子どもの安全確保体制を組むべきで、関係機関などによるネットワーク構築が必要である。

(5)在宅での援助を継続する場合

必ず子どもの安全が確保できる体制を組むべきであり、保健師、民生・児童委員(主任児童委員)、保育所の保育士、幼稚園・小学校・中学校等の学校の教諭、民間団体等との連携を図る必要がある。このためには、要保護児童対策地域協議会など、関係機関等によるネットワークの構築が必要である。

 よって正解は、「施設入所となったケースでは、保護者のかかえる課題を解決するための家族支援が重要となる。」です。

選択肢1. 虐待事例への援助をする際、保護者の意に反する介入をしてはならない。

誤りです。

選択肢2. プライバシーを守るためには、虐待を発見した保育所のみで対応しなければならない。

誤りです。

選択肢3. 施設入所となったケースでは、保護者のかかえる課題を解決するための家族支援が重要となる。

正解の選択肢です。

選択肢4. 施設入所後は、子どもの家庭復帰を積極的に進めていけるよう援助する。

誤りです。

選択肢5. 在宅での援助を継続する場合、子どものプライバシーを守ることを優先し、関係機関等による連携をしない。

誤りです。

まとめ

「子どもの虐待対応の手引き(厚生労働省)」に目を通して、内容を理解しておきましょう。

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