母乳栄養に関する問題です。
A. 不適切です。エストロゲンは出産後急激に減少します。
・エストロゲン:女性ホルモンの一つで、卵胞ホルモンとも呼ばれます。生理の終わり頃から徐々に分泌量が増え、排卵直前にピークを迎えます。自律神経の働きを安定させ、コラーゲン産生を促し、血管などを健康に保ちます。出産後は急激に減少します。
・プロゲステロン:女性ホルモンの一つで、黄体ホルモンとも呼ばれます。妊娠しやすい状態にし、妊娠を維持するのに役立ちます。体温をあげ、食欲を増す働きがあります。出産後は急激に減少します。
・オキシトシン:脳内の視床下部で生成され、下垂体後葉から分泌されるホルモン。子宮収縮・乳汁分泌を促進します。
B. 適切です。
「母乳育児を成功させるための10か条」
WHO(世界保健機関)とUNICEF(国際児童基金)が1989年3月に共同で発表。お母さんが赤ちゃんを母乳で育てられるように、産科施設とそこで働く職員が実行すべきことを具体的に示した10か条。
1. 母乳育児推進の方針を文書にして、すべての関係職員がいつでも確認できるようにしましょう。
2. この方針を実施する上で必要な知識と技術をすべての関係職員に指導しましょう。
3. 全ての妊婦さんに母乳で育てる利点とその方法を教えましょう。
4. お母さんを助けて、分娩後30分以内に赤ちゃんに母乳をあげられるようにしましょう。
5. 母乳の飲ませ方をお母さんに実地に指導しましょう。また、もし赤ちゃんをお母さんから離して収容しなければならない場合にも、お母さんの分泌維持の方法を教えましょう。
6. 医学的に必要でないかぎり、新生児には母乳以外の栄養や水分を与えないようにしましょう。
7. お母さんと赤ちゃんが一緒にいられるように、終日、母子同室を実施しましょう。
8. 赤ちゃんが欲しがるときは、いつまでもお母さんが母乳を飲ませてあげられるようにしましょう。
9. 母乳で育てている赤ちゃんにゴムの乳首やおしゃぶりを与えないようにしましょう。
10.母乳で育てるお母さんのための支援グループ作りを助け、お母さんが退院するときにそれらのグループを紹介しましょう。
C. 不適切です。母乳栄養と混合栄養を合わせると、「約6割」でなく、「約9割」です。
「平成27年度乳幼児栄養調査結果」(厚生労働省)
Ⅱ 結果の概要 第1部 乳幼児の栄養方法や食事に関する状況
1 授乳に関する状況について (1)授乳期の栄養方法の推移 をご覧ください。
「授乳期の栄養方法は、10 年前に比べ、母乳栄養の割合が増加し、生後1か月では 51.3%、生後3か月では 54.7%であった。混合栄養も含めると、母乳を与えている割合は、生後1か月で96.5%、生後3か月で 89.8%であった。」
図1 授乳期の栄養方法(1か月、3か月)の推移 で確認しましょう。
(回答者:昭和 60 年度・平成7年度・平成 17 年度0~4歳児の保護者、平成 27 年度0~2歳児の保護者)
D. 適切です。
他の子どもに誤って自分の親の母乳でないものを与えると、感染リスクが高まります。
保管容器には名前を明記して、間違って他の親の母乳を与える事がないように注意しましょう。
これより、正解はBとDです。