保育士の過去問
令和5年(2023年)前期
保育原理 問14
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問題
保育士試験 令和5年(2023年)前期 保育原理 問14 (訂正依頼・報告はこちら)
次のうち、「保育所保育指針」第4章「子育て支援」に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 地域の関係機関等をよく理解して連携及び協働を図り、保育所全体で子育て支援に努めることが求められる。
B 外国籍家庭など、特別な配慮を必要とする家庭の場合には、状況等に応じて個別の支援を行うことが求められる。
C 子どもが虐待を受けている場合などにおいても、保護者や子どものプライバシー保護のため、他の機関に通告しないことが求められる。
D 子どもが自立するためには、保育の活動に対して保護者はなるべく参加しないことが求められる。
A 地域の関係機関等をよく理解して連携及び協働を図り、保育所全体で子育て支援に努めることが求められる。
B 外国籍家庭など、特別な配慮を必要とする家庭の場合には、状況等に応じて個別の支援を行うことが求められる。
C 子どもが虐待を受けている場合などにおいても、保護者や子どものプライバシー保護のため、他の機関に通告しないことが求められる。
D 子どもが自立するためには、保育の活動に対して保護者はなるべく参加しないことが求められる。
- A:○ B:○ C:× D:×
- A:○ B:× C:× D:×
- A:× B:○ C:○ D:×
- A:× B:× C:○ D:○
- A:× B:× C:× D:○
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この過去問の解説 (2件)
01
「保育所保育指針」第4章「子育て支援」からの出題です。
保育所保育指針が改定され(2018年)、「保護者に対する支援」の章が「子育て支援」へと変更されました。プライバシーを守ること、外国籍家庭への個別の支援を行うこと、(在園児だけでなく)地域の保護者にも子育て支援を行うことなどが追加されました。
それでは、問題を見ていきましょう。
*************************
A:適切です。
「保育所保育指針」「4 子育て支援」の「子育て支援に関して留意すべき事項」に、
「保護者に対する子育て支援における地域の関係機関等との連携及び協働を図り、保育所全体の体制構築に努めること。」と明記されています。
また、「保育所保育指針解説」には、
「保護者に対する子育て支援を適切に行うためには、保育所は自らの役割や専門性の範囲に加え、関係機関及び関係者の役割や機能をよく理解し、保育所のみで抱え込むことなく、連携や協働を常に意識して、様々な社会資源 を活用しながら支援を行うことが求められる。(中略)こうした関係機関との連携・協働や地域の情報の把握及び保護者への情報提供に当たっては、保育所全体での理解の共有や、担当者を中心とした保育士等の連携体制の構築に努め、組織的に取り組むことが重要である。」という旨の記述があります。
日頃からで保育所全体で一丸となって専門機関に関する理解を深め、必要に応じて連携・協働することが大切だということですね。
B:適切です。
「保育所保育指針」「4 子育て支援」の「保護者の状況に配慮した個別の支援」に、
「外国籍家庭など、特別な配慮を必要とする家庭の場合には、状況等に応じて個別の支援を行うよう努めること。」と明記されています。
C:不適切です。
「保育所保育指針」「4 子育て支援」の「不適切な養育等が疑われる家庭への支援」に、
「保護者に不適切な養育等が疑われる場合には、市町村や関係機関と連携し、要保護児童対策地域協議会で検討するなど適切な対応を図ること。また、虐待が疑われる場合には、速やかに市町村又は児童相談所に通告し、適切な対応を図ること。」と明記されています。
また、「子育て支援に関して留意すべき事項」に、「子どもの利益に反しない限りにおいて、保護者や子どものプライバシーを保護し、知り得た事柄の秘密を保持すること。」とありますが、虐待が疑われる場合については、児童福祉法第 25 条および児童虐待防止法第6条で通告の義務が明示されていますから、ただちに通告しなければなりません。
D:不適切です。
「保育所保育指針」「4 子育て支援」の「保護者との相互理解」に、
「保育の活動に対する保護者の積極的な参加は、保護者の子育てを自ら実践する力の向上に寄与することから、これを促すこと。」とあります。
よって、正解は「 A:〇 B:〇 C:✕ D:✕ 」です。
正解です。
誤りです。
誤りです。
誤りです。
誤りです。
改定によって新たに加わった項目は特に出題されやすい傾向がありますので、「保育所保育指針解説」も併せてよく確認しておいてください。
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02
「保育所保育指針」第4章「子育て支援」と照らし合わせて、適否を判断する問題です。
原文をみた後、選択肢を一つ一つ検討していきましょう。なお、解説は「保育所保育指針解説」を参照しています。
(原文)
第4章 子育て支援
保育所における保護者に対する子育て支援は、全ての子どもの健やかな育ちを実現することができるよう、第1章及び第2章等の関連する事項を踏まえ、子どもの育ちを家庭と連携して支援していくとともに、保護者及び地域が有する子育てを自ら実践する力の向上に資するよう、次の事項に留意するものとする。
1 保育所における子育て支援に関する基本的事項
(1) 保育所の特性を生かした子育て支援
ア 保護者に対する子育て支援を行う際には、各地域や家庭の実態等を踏まえるとともに、保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、保護者の自己決定を尊重すること。
イ 保育及び子育てに関する知識や技術など、保育士等の専門性や、子どもが常に存在する環境など、保育所の特性を生かし、保護者が子どもの成長に気付き子育ての喜びを感じられるように努めること。
(2) 子育て支援に関して留意すべき事項
ア 保護者に対する子育て支援における地域の関係機関等との連携及び協働を図り、保育所全体の体制構築に努めること。
イ 子どもの利益に反しない限りにおいて、保護者や子どものプライバシーを保護し、知り得た事柄の秘密を保持すること。
2 保育所を利用している保護者に対する子育て支援
(1) 保護者との相互理解
ア 日常の保育に関連した様々な機会を活用し子どもの日々の様子の伝達や収集、保育所保育の意図の説明などを通じて、保護者との相互理解を図るよう努めること。
イ 保育の活動に対する保護者の積極的な参加は、保護者の子育てを自ら実践する力の向上に寄与することから、これを促すこと。
(2) 保護者の状況に配慮した個別の支援
ア 保護者の就労と子育ての両立等を支援するため、保護者の多様化した保育の需要に応じ、病児保育事業など多様な事業を実施する場合には、保護者の状況に配慮するとともに、子どもの福祉が尊重されるよう努め、子どもの生活の連続性を考慮すること。
イ 子どもに障害や発達上の課題が見られる場合には、市町村や関係機関と連携及び協力を図りつつ、保護者に対する個別の支援を行うよう努めること。
ウ 外国籍家庭など、特別な配慮を必要とする家庭の場合には、状況等に応じて個別の支援を行うよう努めること。
(3) 不適切な養育等が疑われる家庭への支援
ア 保護者に育児不安等が見られる場合には、保護者の希望に応じて個別の支援を行うよう努めること。
イ 保護者に不適切な養育等が疑われる場合には、市町村や関係機関と連携し、要保護児童対策地域協議会で検討するなど適切な対応を図ること。また、虐待が疑われる場合には、速やかに市町村又は児童相談所に通告し、適切な対応を図ること。
3 地域の保護者等に対する子育て支援
(1) 地域に開かれた子育て支援
ア 保育所は、児童福祉法第48条の4の規定に基づき、その行う保育に支障がない限りにおいて、地域の実情や当該保育所の体制等を踏まえ、地域の保護者等に対して、保育所保育の専門性を生かした子育て支援を積極的に行うよう努めること。
イ 地域の子どもに対する一時預かり事業などの活動を行う際には、一人一人の子どもの心身の状態などを考慮するとともに、日常の保育との関連に配慮するなど、柔軟に活動を展開できるようにすること。
(2) 地域の関係機関等との連携
ア 市町村の支援を得て、地域の関係機関等との積極的な連携及び協働を図るとともに、子育て支援に関する地域の人材と積極的に連携を図るよう努めること。
イ 地域の要保護児童への対応など、地域の子どもを巡る諸課題に対し、要保護児童対策地域協議会など関係機関等と連携及び協力して取り組むよう努めること。
では、一つ一つ選択肢を検討していきましょう。
A. 保育所における子育て支援は、自らの役割や専門性の範囲に加え、関係機関及び関係者の役割や機能をよく理解し、保育所のみで抱え込むことなく、連携や協働を常に意識して、様々な社会資源を活用しながら支援を行うことが求められます。
よって、Aは適切です。
B. 外国籍家庭など、様々な問題に不安を感じている保護者は、その悩みを他者に伝えることができず、問題を抱え込む場合もあります。保育士等は保護者の不安感に気付くことができるよう、送迎時などにおける丁寧な関わりの中で、家庭の状況や問題を把握する必要があります。子どもの発達や行動の 特徴、保育所での生活の様子を伝えるなどして子どもの状況を保護者と共有するとともに、保護者の意向や思いを理解した上で、必要に応じて市町村等の関係機関やかかりつけ医と連携するなど、社会資源を生かしながら個別の支援を行う必要があります。
よって、Bは適切です。
C. 保護者に不適切な養育等や虐待が疑われる場合には、子どもの最善の利益を重視して支援を行うことが大切です。そうすることで保護者の養育の姿勢に変化をもたらし、虐待の予防や養育の改善に寄与する可能性を広げることになります。
したがって、虐待が疑われる場合には、速やかに市町村又は児童相談所に通告し、適切な対応を図ることが大切です。
よって、Cは不適切です。
D. 親子遊びや離乳食づくり、食育等に関する様々な育児講座や体験活動、給食の試食会など、保育所の特色、地域のニーズなどに合わせた取組を進めていくことが求められます。 こうした取組を進める上で、保護者が参加しやすい雰囲気づくりを心がけることが大切です。気軽に訪れ、相談することができる保育所が身近にあることは、家庭で子どもを育てていく上での安心感につながります。 育児不安を和らげ、虐待の防止に資する役割が保育所にも求められていることを踏まえ、地域の子育て家庭を受け入れていくことが重要です。
よって、Dは不適切です。
これより、正解は「A 〇 B 〇 C ✕ D ✕ 」です。
正解の選択肢です。
Bが誤りです。
A、Cが誤りです。
A、B、C、Dのすべてが誤りです。
A、B、Dが誤りです。
「保育所保育指針」第4章「子育て支援」の内容を確認しておきましょう。「保育所保育指針解説」にも目を通し、理解を深めておきましょう。
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