A:不適切です。
1歳~3歳未満児は、発達の個人差が大きい時期です。言葉に関しても一人ひとり発達の程度が異なるため、集中して絵本を見ている子どもがいる一方、そうでない子どももいるのは自然なことです。
「保育所保育指針」2章 2-(2)-エ「言葉」ー「(ウ)内容の取扱い」(1歳以上3歳未満)には、「(前略)それぞれの子どもの発達の状況に応じて、遊びや関わりの工夫など、保育の内容を適切に展開することが必要である」とあります。
また、「保育所保育指針」総則 -(4)-ア「保育士等の自己評価」-(イ)には、「保育士等による自己評価に当たっては、子どもの活動内容やその結果だけでなく、子どもの心の育ちや意欲、取り組む過程などにも十分配慮するよう留意すること。」とあります。
この事例において保育者(Mさん)に求められるのは、絵本をじっと聞いていない子を注意することではなく、そのような反応そのものが、その子どもの発達過程であると受け止め、発達状況に応じた声掛けをすることです。
B:適切です。
「保育所保育指針」2章 2-(1)基本的事項によると、1歳以上3歳未満児の保育においては、「自分でしようとする気持ちを尊重」することが求められています。
また、「解説」には、エ「言葉」- 「(イ) 内容」には「子どもは保育士等の声や言葉をよく聞 き、口元や表情をじっと見て、適切な発音への準備をしていく。そうして、子どもは、信頼できる相手に伝えたい、分かってもらいたいという気持ちの下に、自分も言葉を使おうとするのである。」とあります。
よって、保育者(Mさん)の顔がよく見え、声がよく聞こえるように環境を工夫することは、絵本に自然と関心を向けさせるために必要なことであると言えます。
C:適切です。
上の A と被りますが、子どもなりの反応を保育者(Mさん)が受け止めることは、一人ひとりの発達状況を把握するために必要なことと言えます。
D:不適切です。
「保育所保育指針解説」 2章 2-(2)-エ「言葉」(1歳以上3歳未満)には、「保育士等の表情、声色、身振りなども、言葉と一体となり、重要な役割を果たす。そうした豊かな言葉の世界に触れる経験や、保育士等の温かい語りかけに心地よさや嬉しさを感じる経験を通して、子どもは大人の言うことを模倣したり、耳にした言葉を遊びの中に取り込んだりして、自分も言葉を使うことを楽しむ。」とあります。
2歳児は言葉だけでなく、保育者の表情・声色・身振りなどからも多くのことを感じ取っています。Mさんに求められているのは、表情豊かに身振りも加えながら、子どもたちに声をかけ、それに対する反応を肯定的に受け止めることだと言えるでしょう。
E:適切です。
「保育所保育指針解説」 2章 2-(2)-エ「言葉」(1歳以上3歳未満)には、「この時期の子どもは、言葉の意味を理解して楽しむというよりも、言葉そのものの音やリズムの響きがもつ面白さを繰り返し楽しむことが多い」とあります。
2歳児に読み聞かせる絵本は、言葉の音やリズムが子どもの興味を引くものが適しています。
選んだ絵本が子どもの発達状況に合っているか、関心に添う内容であったかは、読み聞かせへの集中度合に影響します。よって、Mさんが絵本のチョイスを見直してみることは必要なことだと言えます。
以上より、正解は「A:✕ B:〇 C:〇 D:✕ E:〇」です。