保育士の過去問
令和5年(2023年)前期
保育原理 問17
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問題
保育士試験 令和5年(2023年)前期 保育原理 問17 (訂正依頼・報告はこちら)
次の保育所での【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
実習生のMさんは、初めて2歳児クラスで絵本の読み聞かせに取り組んだ。集中して絵本を見る子どももいるが、声を出したり、立ち上がったり、歩き回ったりする子どももいて、Mさんは対応に困りながらも何とか絵本を読み終えた。
【設問】
次のうち、実習生Mさんの振り返りの記述として、「保育所保育指針」第1章「総則」、第2章「保育の内容」に照らし、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 集中して絵本を見ている子どものじゃまをしてしまうので、声を出したり、立ち上がったり、歩き回ったりする子どもをしっかり注意するべきだった。
B 絵本に自然に子どもの関心が向くように、自分の読む位置に配慮したり、ござやマットを用意するなど、環境面で工夫ができないかを考えてみよう。
C 読み聞かせのときに声を出したり、立ち上がるのは、絵本に興味を持っていることの表れかもしれない。子どもなりの反応を肯定的に捉えてみよう。
D 子どもに何も声をかけられなかったが、2歳児クラスの子どもにはまだ何を言っても伝わらないから問題はないだろう。
E 選んだ絵本が、子どもの興味や関心に添うものだったかを検討してみよう。
【事例】
実習生のMさんは、初めて2歳児クラスで絵本の読み聞かせに取り組んだ。集中して絵本を見る子どももいるが、声を出したり、立ち上がったり、歩き回ったりする子どももいて、Mさんは対応に困りながらも何とか絵本を読み終えた。
【設問】
次のうち、実習生Mさんの振り返りの記述として、「保育所保育指針」第1章「総則」、第2章「保育の内容」に照らし、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 集中して絵本を見ている子どものじゃまをしてしまうので、声を出したり、立ち上がったり、歩き回ったりする子どもをしっかり注意するべきだった。
B 絵本に自然に子どもの関心が向くように、自分の読む位置に配慮したり、ござやマットを用意するなど、環境面で工夫ができないかを考えてみよう。
C 読み聞かせのときに声を出したり、立ち上がるのは、絵本に興味を持っていることの表れかもしれない。子どもなりの反応を肯定的に捉えてみよう。
D 子どもに何も声をかけられなかったが、2歳児クラスの子どもにはまだ何を言っても伝わらないから問題はないだろう。
E 選んだ絵本が、子どもの興味や関心に添うものだったかを検討してみよう。
- A:○ B:○ C:× D:○ E:×
- A:○ B:× C:× D:○ E:×
- A:× B:○ C:○ D:× E:○
- A:× B:× C:○ D:○ E:○
- A:× B:× C:× D:× E:○
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この過去問の解説 (2件)
01
A:不適切です。
1歳~3歳未満児は、発達の個人差が大きい時期です。言葉に関しても一人ひとり発達の程度が異なるため、集中して絵本を見ている子どもがいる一方、そうでない子どももいるのは自然なことです。
「保育所保育指針」2章 2-(2)-エ「言葉」ー「(ウ)内容の取扱い」(1歳以上3歳未満)には、「(前略)それぞれの子どもの発達の状況に応じて、遊びや関わりの工夫など、保育の内容を適切に展開することが必要である」とあります。
また、「保育所保育指針」総則 -(4)-ア「保育士等の自己評価」-(イ)には、「保育士等による自己評価に当たっては、子どもの活動内容やその結果だけでなく、子どもの心の育ちや意欲、取り組む過程などにも十分配慮するよう留意すること。」とあります。
この事例において保育者(Mさん)に求められるのは、絵本をじっと聞いていない子を注意することではなく、そのような反応そのものが、その子どもの発達過程であると受け止め、発達状況に応じた声掛けをすることです。
B:適切です。
「保育所保育指針」2章 2-(1)基本的事項によると、1歳以上3歳未満児の保育においては、「自分でしようとする気持ちを尊重」することが求められています。
また、「解説」には、エ「言葉」- 「(イ) 内容」には「子どもは保育士等の声や言葉をよく聞 き、口元や表情をじっと見て、適切な発音への準備をしていく。そうして、子どもは、信頼できる相手に伝えたい、分かってもらいたいという気持ちの下に、自分も言葉を使おうとするのである。」とあります。
よって、保育者(Mさん)の顔がよく見え、声がよく聞こえるように環境を工夫することは、絵本に自然と関心を向けさせるために必要なことであると言えます。
C:適切です。
上の A と被りますが、子どもなりの反応を保育者(Mさん)が受け止めることは、一人ひとりの発達状況を把握するために必要なことと言えます。
D:不適切です。
「保育所保育指針解説」 2章 2-(2)-エ「言葉」(1歳以上3歳未満)には、「保育士等の表情、声色、身振りなども、言葉と一体となり、重要な役割を果たす。そうした豊かな言葉の世界に触れる経験や、保育士等の温かい語りかけに心地よさや嬉しさを感じる経験を通して、子どもは大人の言うことを模倣したり、耳にした言葉を遊びの中に取り込んだりして、自分も言葉を使うことを楽しむ。」とあります。
2歳児は言葉だけでなく、保育者の表情・声色・身振りなどからも多くのことを感じ取っています。Mさんに求められているのは、表情豊かに身振りも加えながら、子どもたちに声をかけ、それに対する反応を肯定的に受け止めることだと言えるでしょう。
E:適切です。
「保育所保育指針解説」 2章 2-(2)-エ「言葉」(1歳以上3歳未満)には、「この時期の子どもは、言葉の意味を理解して楽しむというよりも、言葉そのものの音やリズムの響きがもつ面白さを繰り返し楽しむことが多い」とあります。
2歳児に読み聞かせる絵本は、言葉の音やリズムが子どもの興味を引くものが適しています。
選んだ絵本が子どもの発達状況に合っているか、関心に添う内容であったかは、読み聞かせへの集中度合に影響します。よって、Mさんが絵本のチョイスを見直してみることは必要なことだと言えます。
以上より、正解は「A:✕ B:〇 C:〇 D:✕ E:〇」です。
誤りです。
誤りです。
正解です。
誤りです。
誤りです。
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02
まず、事例をみた後、「保育所保育指針」第1章「総則」、第2章「保育の内容」に照らしながら、設問を一つ一つ検討していきましょう。
[事例]
・2歳児クラス 絵本の読み聞かせ
・集中している子
・声を出す子、立ち上がる子、歩き回る子 →実習生、対応に困りながらも絵本を読み終えた
[設問]
A. まず、なぜ絵本の読み聞かせ中に声を出したり、立ち上がったり、歩き回ったりする子がいたのか、原因を探すことが重要です。絵本に興味がない・子どもがいた場所から絵本が見えにくい・言葉の意味が分からない・他の何かに夢中である・絵本の登場人物の真似をしている、などの理由が考えられます。子どもとの会話を通じて、子どもが集中できなかった理由を探したり、読み聞かせを続けながら、集中していない子供を観察していると、集中していない理由が見えてくるかもしれません。
訳も分からず、「しっかり注意をする」と子どもと実習生との関係が良くない方向に向かったり、子どもが実習生に対し恐怖や嫌悪感を持ったりするかもしれません。また、絵本や読み聞かせの時間が嫌いになるかもしれません。慎重な対応が必要です。
よってAは不適切です。
B 声を出したり、立ち上がったり、歩き回ったりする子どもがいたことから、子どものいた場所の居心地が良くなかったり、実習生が読み聞かせていた場所が良くなかったのかもしれません。子どもを絵本の読み聞かせに集中させるための環境整備は重要なことです。
よってBは適切です。
C.読み聞かせ中に、声を出したり、立ち上がったりすることは必ずしもネガティブな理由からくる行動とは限りません。絵本の登場人物の真似をしている可能性もあります。子どもの反応を視点を変えて肯定的に検討してみることも大切です。
よってCは適切です。
D 「保育所保育指針」 2章 2-(2)-エ 言語の獲得に関する領域 「言葉」、(1歳以上3歳未満)によると、
子どもは、保育士等が子どもの発する言葉に耳を傾け、応答的なやり取りを重ねていくことは、子どもが自分の気持ちを伝えようとする意欲を育むことにつながる。また、保育士等の話や言葉に面白さや魅力を感じたり、保育士等の仲立ちを通して友達とのやり取りを楽しんだりすることを通して、保育士等や友達の言うことを分かりたいという気持ちも膨らむ。このように、日々の生活や遊びにおいて人との関わりが充実する中で、子どもの話すこと、聞くことへの意欲が高まっていく。
また、子どもは、絵本や物語などに登場する事物や話の展開、言葉の響きなどを保育士等と一緒に楽しんだり、ごっこ遊びなどの中で保育士等と言葉のやり取りをしたりする経験を通して、言葉の意味するものや話されたことの内容を徐々に理解するようになり、言葉で伝え合うことの喜びや言葉により心を通わせる楽しさを味わう。こうした経験を積み 重ねることによって、様々な語彙や表現に出会い、言葉を話したり、相手の言うことを聞いたりする態度が育まれるのである。
保育士の子どもに対する声掛けの重要性がわかります。
このほか、子どもは保育士の表情や声のトーンなど言葉でなくても、保育士の思いが伝わることがあります。
よってDは不適切です。
E. 選んだ絵本が、子どもの年齢・発達段階にあっているかどうか、日常生活に寄り添っているかどうかなど、子どもの興味や関心に沿うものだったかどうかは、絵本の読み聞かせに子どもが集中できるどうかに影響します。声を出したり、立ち上がったり、歩き回る子どもの行動は、絵本に興味がない可能性から生ずる場合もあります。子どもの反応をみて絵本の内容について検討することは重要なことです。
よってEは適切です。
これより、正解は「A ✕ B 〇 C 〇 D ✕ E 〇」です。
A、C、D、Eが誤りです。
A、B、C、D、Eのすべてが誤りです。
正解の選択肢です。
B、Dが誤りです。
B、Cが誤りです。
「保育所保育指針」第1章「総則」、第2章「保育の内容」はもちろん、「保育所保育指針解説」にも目を通して、内容の理解を深めましょう。
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