児童養護施設のグループホーム(地域小規模児童養護施設)に入っている子どもに関する問題です。
まず、グループホーム(地域小規模児童養護施設)とは、どのような施設でしょうか。
・2000年から制度化されたもので、原則として定員6名である。本体の児童養護施設とは別の場所に、既存の住宅等を活用して行う。大舎制の施設では得ることのできない生活技術を身につけることができ、また家庭的な雰囲気における生活体験や地域社会との密接な関わりなど豊かな生活体験を営むことができる。2009年度は全国で190箇所(1施設で複数設置を含む)。 (ウィキペディア参照)
・職員と密接な関係を築きながら家族的な生活を送ることで子どもの心の安定をはかり、成長を育んでいくのがグループホームです。 少人数の人間関係の中で、より家庭的な生活経験を通して自立につながる力をつけていくことを目標にしています。
(「児童福祉の架け橋 」参照)
では、事例・設問・選択肢をみていきましょう。
[事例] グループホーム(地域小規模児童養護施設)勤務の新人保育士の悩み
・14歳 中学生 男児担当
・学校以外ほとんど自室で過ごしている
・他児と関わろうとしない
・この男児と話をしたい保育士
・声掛けするも、保育士との話を拒否
→ この男児への保育士としての支援方法について
[設問] 保育士が男児の支援を検討するために行うものについて
[選択肢]
A. 子どもが表出する感情や言動のみを取り上げていては悩み解消につながりません。
日誌などを通して振り返り、保育士と男児との関わりでひっかかる点はなかったかチェックをし、男児の言動の理由や背景を理解する必要があります。
よってAは適切です。
B. 設問の保育士は新人保育士なので、経験も浅く、知識もベテラン保育士に比べると少ないため、悩んでいるのかもしれません。一人で抱え込まず、グループホーム内部で基幹的職員など、経験豊富な職員からアドバイスをいただき(スーパービジョン)、悩み解消の方向へ持っていくことが大切です。
よってBは適切です。
C.男児の学校の様子を、男児の通う学校の先生から聴くことは、男児の言動の理由や背景を理解する上でも重要なことです。悩み解消の糸口になる、何らかの情報を得られる可能性があるからです。
よってCは適切です。
D. 男児の入所までの経緯やこれまでの担当職員とのかかわりに関する情報を得ることは、男児の言動の理由や背景を理解する上でも重要なことです。悩み解消の糸口になる、何らかの情報を得られる可能性があるからです。
よってDは適切です。
「児童養護施設運営指針」(厚生労働省 H.24.3.29) 第Ⅰ部 総論 5.養育のあり方の基本
(1) 養育を担う人の原則 には次のように書かれています。
「養育者は、子どもたちに誠実にかかわりコミュニケーションを持てない心情や理屈では割り切れない情動に寄り添い、時間をかけ、心ひらくまで待つこと、かかわっていくことを大切にする必要がある。分からないことは無理に分かろうと理論にあてはめて納得してしまうよりも、分からなさを大切にし、見つめ、かかわり、考え、思いやり、調べ、研究していくことで分かる部分を増やしていくようにする。その姿勢を持ち続けることが、気づきへの感性を磨くことになる。」
これより、正解は「A 〇 B 〇 C 〇 D 〇」です。