保育士の過去問
令和5年(2023年)前期
子ども家庭福祉 問7

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問題

保育士試験 令和5年(2023年)前期 子ども家庭福祉 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

次のうち、児童相談所が受ける相談について、不適切な記述を一つ選びなさい。
  • 養護相談には、父又は母等保護者の家出、失踪、死亡、離婚、入院等による養育困難児に関する相談が含まれる。
  • 障害相談には、知的障害児、発達障害児、重症心身障害児に関する相談が含まれる。
  • 保健相談とは、未熟児、虚弱児、内部機能障害児や小児喘息等の疾患を有する子どもに関する相談である。
  • 非行相談とは、ぐ犯行為や触法行為を行う子どもに関する相談である。
  • 育成相談とは、児童虐待に関する相談である。

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この過去問の解説 (2件)

01

児童相談所が受ける相談に関する問題です。

児童相談所が受ける相談の種類と内容は、以下の5つに大別されます。

(厚生労働省HP 「児童相談所の運営指針について」-「表-2 受け付ける相談の種類及び主な内容」を参照)

  • 養護相談
  • 保護者の家出、失踪、死亡、離婚、入院、虐待などにより、子どもの養育が困難な場合や、里親についての相談。
  • 保健相談
  • 未熟児、虚弱児、内部機能障害、小児喘息、その他の疾患などを有する子どもに関する相談。
  • 障害相談
  • 肢体不自由、視聴覚障害、言語発達障害、重症心身障害、知的障害、自閉症などの障害を抱える子どもに関する相談。
  • 非行相談
  • ・触法行為相談:違法だが14歳未満であるため刑事責任を問われない行動(窃盗、傷害など)
  • ・ぐ犯行為相談:違法ではないが危険性の高い行動(度重なる家出、反社との交際、性的逸脱など)
  • 育成相談
  • ・性格行動相談:子どもの性格や行動上の問題(反抗、友達と遊べない、落ち着きがない、家庭内DV、引きこもりなど)
  • ・不登校相談
  • ・適性相談:進学や職業の適性、学業不振
  • ・育児およびしつけ相談
  • その他の相談
  • 上記以外の子どもや家庭に関する相談。

選択肢1. 養護相談には、父又は母等保護者の家出、失踪、死亡、離婚、入院等による養育困難児に関する相談が含まれる。

適切です。

なお、「養護相談」では、特に「虐待」に関する対応には地域の関係機関との連携や迅速な対応、的確な判断が求めらています。

「児童相談所運営指針」-「第1章 児童相談所の概要」-第3節 相談の種類とその対応」より

2. 各種相談の対応の基本

(1)養護相談

ア(略)

イ 特に虐待の場合には、地域の関係機関から構成され、子どもやその保護者に関する情報の交換や支援内容の協議を行う要保護児童対策地域協議会の市町村における設置や運営を支援するなど、虐待の予防・早期発見から虐待を受けた子どもの保護・自立支援に至るまでの関係機関による連携体制づくりに努める。通告等がありながらも、保護者等に相談を受ける動機づけが乏しい場合も多く、一方で判断や対応を誤ると死亡等の重大な事態を招きかねないため、とりわけ迅速な対応と的確な判断が求められる。(後略)

虐待及び長期にわたり要養護状態に置かれている子どもについては、その環境が子どもの心身の発達に及ぼす影響等に特に留意し、十分な調査、診断、判定、援助に配慮する。

選択肢2. 障害相談には、知的障害児、発達障害児、重症心身障害児に関する相談が含まれる。

適切です。

選択肢3. 保健相談とは、未熟児、虚弱児、内部機能障害児や小児喘息等の疾患を有する子どもに関する相談である。

適切です。

なお、「児童相談所運営指針」では、保健相談について「子どものみならず、子どもを含む家族全体及び子どもの所属集団に対する相談援助もあわせて考える」と規定しています。

選択肢4. 非行相談とは、ぐ犯行為や触法行為を行う子どもに関する相談である。

適切です。

選択肢5. 育成相談とは、児童虐待に関する相談である。

不適切です。

児童虐待は、「育成相談」ではなく「養護相談」に分類されます。

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02

児童相談所が受ける相談に関する問題です。

選択肢を一つ一つみていきましょう。

養護相談(虐待相談を除く。)

保護者の死亡、家出、失踪、入院、離婚などの理由により、養育困難な児の相談を含みます。

よって適切です。

保護者の死亡、家出、失踪、入院、離婚などの理由により、養護相談を受け付けた場合には、(略)検討し、地域での支援の可否について判断し、対応すること。必要と判断した場合には、児童相談所の技術的援助や助言を求めること。

障害相談

児童相談所においては、知的障害、肢体不自由、重症心身障害、視覚障害、聴覚障害、言語障害、自閉症等の障害のある児童に関する相談が行われています。(文部科学省 特別支援教育について 参考資料 2 障害の発見や相談・支援にかかわる主な機関とその役割を参照)

よって適切です。

肢体不自由、知的障害、発達障害等の障害相談を受け付けた場合には、(略)、地域で保健、医療、福祉、教育等の関係機関等が連携して支援していくことの可否について判断し、対応すること。また、一時保護、心理・医学等判定、施設への通所・入所が必要なケースなどは、児童相談所と協議を行い、これを児童相談所に送致すること。

保健相談

未熟児、虚弱児、内部機能障害児や小児喘息等の疾患を有する子どもに関する相談は、保健所、医療機関等の技術的援助や助言が必要な場合があります。

よって適切です。

保健相談を受け付けた場合には、次のような点について検討し、地域での支援を行うこと。複雑な問題を抱えているような困難ケース、より高度で専門的な対応を必要としているようなケースについては、保健所、医療機関等の技術的援助や助言を求めること。

[1] 心理・医学等での判定の要否

[2] 地域の子育て支援の可否

[3] その他保健・福祉・医療サービスの活用の可否

非行相談

不良行為・ぐ犯行為・触法行為を行う子どもに関する相談です。

よって適切です。

犯罪を犯した14歳以上の子どもについては、警察や家庭裁判所が対応することとなるため、基本的には

[1]不良行為のある子ども

[2]ぐ犯行為のある子ども及び

[3]14歳未満の触法行為のある子ども が相談の対象となる。

1. 不良行為相談

不良行為とは、飲酒、喫煙、家出や深夜はいかいなど、刑罰法令に触れないのはもちろん、ぐ犯行為にも当たらないような程度の非行のことである。不良行為は、これを繰り返し行うことにより非行を深化させ、犯罪行為等に発展するおそれがあるので、早期に適切に対応することが大切である。

2. ぐ犯相談

ぐ犯行為とは、度重なる家出や深夜はいかい、暴走族や暴力団関係者など不道徳な人との交際、いかがわしい場所への出入り、性的逸脱など、将来刑罰法令に触れる行為を行うおそれがある問題行動のことである。

3. 触法相談の場合

触法行為とは、刑罰法令に触れるものの子ども本人が14歳未満であるため刑事責任は問われない行為のことである。(少年法第3条第1項第2号)なお、子どもが14歳以上であれば犯罪行為となり、この場合は警察や家庭裁判所が対応することとなる。

育成相談

育児やしつけに関する相談です。

よって不適切です。

1. 育児・しつけ相談(子育て相談)等

 育児・しつけ相談(子育て相談)を受け付けた場合には、(略)、地域での支援を行うこと。また、適正相談を受け付けた場合には、学校や公共職業安定所等の関係機関等との連携について検討し、必要な支援を行うこと。

児童虐待に関する相談は、虐待相談です。

虐待及び虐待と思われる相談を受け付けた場合には、(略)調査、検討し、必要に応じて児童相談所や保健所等と協議を行いつつ、地域での支援の可否等について判断し、対応すること。

これらより、「育成相談とは、児童虐待に関する相談である。」が不適切です。

※「児童相談所運営指針 第3章 相談種別ごとの対応における留意事項」(厚生労働省)、文部科学省 特別支援教育について 参考資料 2 障害の発見や相談・支援にかかわる主な機関とその役割)を参照

選択肢1. 養護相談には、父又は母等保護者の家出、失踪、死亡、離婚、入院等による養育困難児に関する相談が含まれる。

適切です。

選択肢2. 障害相談には、知的障害児、発達障害児、重症心身障害児に関する相談が含まれる。

適切です。

選択肢3. 保健相談とは、未熟児、虚弱児、内部機能障害児や小児喘息等の疾患を有する子どもに関する相談である。

適切です。

選択肢4. 非行相談とは、ぐ犯行為や触法行為を行う子どもに関する相談である。

適切です。

選択肢5. 育成相談とは、児童虐待に関する相談である。

不適切な選択肢で、正解です。

児童虐待に関する相談は、虐待相談です。

まとめ

児童相談所で受ける相談の種類と内容について、「児童相談所運営指針」(厚生労働省)などで確認しておきましょう。

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