保育士の過去問
令和5年(2023年)前期
子どもの保健 問7

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問題

保育士試験 令和5年(2023年)前期 子どもの保健 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
発達に問題なく元気な児が6~7か月乳児健診を受けたところ、カウプ指数が21だった。自宅に帰り母が保育雑誌を読んでいるうちに、カウプ指数の数値が心配になり入所している保育所の保育士に相談した。ちなみに、母乳栄養の児である。

【設問】
次のうち、保育士の対応として、最も適切な記述を一つ選びなさい。
  • 太りすぎていて健康によくないので、1日に与える母乳の回数を制限するように指導した。
  • 母乳を減らして離乳食を増やし、カウプ指数が正常域内になることを目指すように指導した。
  • 乳児がやや太っていても、元気で発達も良好なら気にする必要はないと話した。
  • 病院に行って栄養指導を受けるように勧めた。
  • この児のカウプ指数は正常域の中にあり、特に心配する必要がないことを説明した。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題では、カウプ指数の数値が心配になった母親に対して、保育士はどのように対応したら良いかを問われています。

自身が保育士だとして、母親から相談された際にどのような対応をとればよいのかを想定しながら解いてみましょう。

なお、この問題で解説しているカウプ指数は、厚生労働省の説明(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/syusseiji/tokubetsu/yougo.html)を参考にしています。

選択肢1. 太りすぎていて健康によくないので、1日に与える母乳の回数を制限するように指導した。

子どものカウプ指数の正常値は、15から17とされています。

相談された乳児は21でしたので、少し数値よりも高いですが、乳幼児期の体重は変化が著しいため、一概に数値が少し高いことで母乳の回数を減らすという指導は不適切です。

選択肢2. 母乳を減らして離乳食を増やし、カウプ指数が正常域内になることを目指すように指導した。

子どものカウプ指数の正常値は15から17ということから、21という数字は少し高いように感じられますが、その理由だけで母乳を減らすという指導は不適切です。

乳幼児期の体重の変化は著しいことや、バランスの良い食事をとる大切さを伝えるなどし、母親が不安にならないように伝えましょう

選択肢3. 乳児がやや太っていても、元気で発達も良好なら気にする必要はないと話した。

子どものカウプ指数の正常値は15から17ということから、21という数字は少し高いように感じられますが、乳幼児期の体重の変化は著しいため、体重よりも普段の様子や発達に問題がないかを見ることが大切です。

保育所で本児の様子を見ている保育士から、普段の様子や発達に特に問題がないようでしたら、「気にする必要はない」など母親が不安にならないように伝えることが大切です。

以上のことから、本選択肢は適切です。

選択肢4. 病院に行って栄養指導を受けるように勧めた。

本児の発達に問題がないというのであれば、病院に行って栄養指導を受けることを伝えるのは、母親が「病院に行くまでの状態でないのか」とより不安にさせてしまいます。

したがって、本選択肢は不適切です。

選択肢5. この児のカウプ指数は正常域の中にあり、特に心配する必要がないことを説明した。

子どものカウプ指数の正常値は15から17です。本児の場合はカウプ指数が21なので、正常域ではありません。

そのため、「正常域なため心配する必要はない」というような指導は正しい伝え方ではありません。

したがって、本選択肢は不適切です。

まとめ

この問題は、カウプ指数に関する保育士の指導の伝え方を問われています。また、保育雑誌を見て不安になっている母親の支援も考える必要がある問題となっています。

カウプ指数とは、子どもの体型が標準かどうかを判断するための数値のことをいいます。

「体重(g)÷(身長(cm)×身長(cm))×10」から計算された数値を参考に、14以下がやせぎみ、15から17がふつう、18以上がふとりぎみという分類がされています。

また、カウプ指数が14以下や18以上の数値だとしても、乳幼児身体発育曲線を確認し、正常の成長がされているかの確認も必要です。

このように、保育士は、子どもの成長を数値だけで判断せずに、発育状況や発達、普段の様子など多角的にみることが大切になります。

合わせて、母親の不安も和らげる関りを心がけることも大切であることを知っておきましょう。

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02

この問題で大切なポイントは、カウプ指数の理解です。

カウプ指数は、生後3か月から5歳までの乳幼児期の発育を評価する指標です。

厚生労働省が示す、カウプ指数のカウプ指数の基準値は、痩せ気味が14以下、ふつうが15〜17、肥満が18以上となっています。

求め方は、体重(g)÷(身長cm×身長cm)×10です。

カウプ指数がどんなものかを説明できるくらいの知識は覚えておきましょう。

選択肢1. 太りすぎていて健康によくないので、1日に与える母乳の回数を制限するように指導した。

この時期の子どもにとって母乳は、まだ必要な栄養源であるので制限するように指導することは不適切です。

また、母乳は、ミルクよりも消化が良いので肥満につながりにくいといえます。

選択肢2. 母乳を減らして離乳食を増やし、カウプ指数が正常域内になることを目指すように指導した。

不適切です。

この時期は、離乳食よりも母乳で栄養を得ているので減らしてはいけません。

選択肢3. 乳児がやや太っていても、元気で発達も良好なら気にする必要はないと話した。

適切な解答です。

やや太っているくらいで、元気ならば問題ありません。

そのため、保護者がそのことに神経質にならないように安心できる対応できると良いでしょう。

選択肢4. 病院に行って栄養指導を受けるように勧めた。

不適切な解答です。

問題のないことなので、病院に行って栄養指導を勧めることは間違いです。

選択肢5. この児のカウプ指数は正常域の中にあり、特に心配する必要がないことを説明した。

カウプ指数の正常域は、15〜17なので21は肥満の指数に入ります。

そのため、不適切な解答です。

まとめ

カウプ指数はあくまで指標なので、その子の普段の様子や発達を考慮してみてあげることが大切です。

カウプ指数は知識がないと数字にばかりとらわれてしまい、そういったことが保護者の不安や悩みにつながっているので、きちんとした理解をして安心できる対応ができたらいいですね。

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