保育士の過去問
令和6年(2024年)前期
子ども家庭福祉 問14

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問題

保育士試験 令和6年(2024年)前期 子ども家庭福祉 問14 (訂正依頼・報告はこちら)

次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
T保育所のS保育士は、N君(5歳、男児)の担当をしている。N君は父親、兄(9歳、小学4年生、男児)、父方祖母と4人で暮らしている。父親は夜遅くまで仕事をしており、父方祖母がN君と兄の面倒を見ている。最近、父方祖母が入院してしまい、父と兄がN君のT保育所への送り迎えをしている。父が仕事の時は、22時頃まできょうだいだけで留守番をしており、夕飯を食べないで寝てしまうこともあるらしい。S保育士は、兄が迎えに来た時、N君が兄の言うことを聞かないため、兄がN君の腕をつねっている場面を目撃した。

【設問】
次のうち、S保育士の対応として、適切なものの組み合わせを一つ選びなさい。

A  兄にN君の腕をつねるのは虐待行為なのでやめるようにきつく注意をする。
B  兄がN君を虐待しているので児童相談所に通告するよう兄の学校に要請する。
C  送迎時、兄に声をかけ、N君や家のことで困ったことがないか尋ね、兄の気持ちに寄り添う。
D  N君と兄の養育状況が心配であると保育所長に相談し、要保護児童対策地域協議会担当者に連絡する。
E  父親に兄がN君を虐待しているので指導するよう伝える。
  • A,B
  • B,D
  • B,E
  • C,D
  • C,E

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この過去問の解説 (1件)

01

この事例で問われているのは、虐待を発見した時にどのような対応を取ることが保育士として最適で、早期発見・早期解決に繋がるかです。

 

 

A→×

 

この事例の場合、家庭環境の変化によりN君の兄は虐待行為をするようになったと考えられます。

保育士の仕事は、なぜそのような行為が起こるようになってしまったのか原因を探ることにあります。

また、虐待行為を辞めるようにきつく注意をしてしまうと、バレないように隠れて虐待行為に及ぶようになってしまう恐れもあります。

よって、Aの「兄にN君の腕をつねるのは虐待行為なのでやめるようにきつく注意をする。」これは誤りです。

 

 

B→×

 

「児童虐待の防止等に関する法律」の第6条に「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。」と記載されています。

この事例の場合、虐待を受けたのはN君で、N君の兄が虐待を受けたかどうかは分からないので、通告の義務は保育所にあります。
 

よって、Bの「兄がN君を虐待しているので児童相談所に通告するよう兄の学校に要請する。」これは誤りです。

 

 

C→

 

保育士として、園児であるN君だけでなくその兄のより良い育ちのために、支援をしていくことは大事な業務です。

また、今の養育環境にネグレクトや暴力などの問題はないか見極めるためにも、N君の兄に寄り添い、現状を聞き取ることが大切になります

 

よって、Cの「送迎時、兄に声をかけ、N君や家のことで困ったことがないか尋ね、兄の気持ちに寄り添う。」は正しいです。

 

 

D→

 

この回答に出てくる要保護児童対策地域協議会は、虐待を受けた子どもを始めとする要保護児童に関する情報の交換や支援を行うために、協議を行う場としてほぼ全ての市町村に設置されています。

保育をする上でなにか気になることがあったら、まずは主任や園児などに相談をし、すぐに要保護児童対策地域協議会の担当者に連絡をするようになっています。

 

よって、Dの「N君と兄の養育状況が心配であると保育所長に相談し、要保護児童対策地域協議会担当者に連絡する。」は、正しいです。

 

 

E→×

 

保育者の業務は、保護者に寄り添うことです。

指導をするのではなく、忙しさを労いつつ、今の子どもの現状を伝えるようにしましょう。

また、困っていることや悩みはないかを尋ね、必要であればファミリーサポートやショートステイなど行政のサービスを紹介すると良いでしょう。

 

よって、Eの「父親に兄がN君を虐待しているので指導するように伝える。」これは誤りです。

選択肢4. C,D

C,D→

まとめ

様々な家庭環境がある中で、保護者に余裕がなく、虐待に繋がってしまうこともあるでしょう。

虐待の早期発見・早期解決のために日頃から保護者との信頼関係を築き、家庭環境を把握できるように努めましょう。

また、困っている保護者に行政のサービスを提案することも子どもの最善の利益に繋がります。

どのようなサービスがあるのか知っておけるようにしましょう。


 

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