保育士 過去問
令和6年(2024年)前期
問62 (社会福祉 問2)
問題文
次のうち、社会福祉の歴史に関する記述として、不適切なものを一つ選びなさい。
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問題
保育士試験 令和6年(2024年)前期 問62(社会福祉 問2) (訂正依頼・報告はこちら)
次のうち、社会福祉の歴史に関する記述として、不適切なものを一つ選びなさい。
- イギリスでは、1942年に「社会保険と関連サービス」(通称「ベヴァリッジ報告」)が示された。
- 生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務について定めた「日本国憲法」第25条は、日本の社会福祉に関する法制度の発展に寄与した。
- 社会福祉は、近代社会の発展の中で成立したが、それ以前の相互扶助や宗教的な慈善事業も重要な役割を担っていた。
- イギリスのCOS(慈善組織協会)の創設は、都市に急増した貧困者、浮浪者等に対する慈善の濫救、漏救を防ぎ、効率的に慈善を行う意図があった。
- ブース(Booth, C.J.)らによる19世紀末から20世紀初頭にかけてのイギリスで行われた貧困調査では、貧困の原因は個人の責任であり、社会の責任ではないことを明らかにした。
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この過去問の解説 (3件)
01
「ブース(Booth, C.J.)らによる19世紀末から20世紀初頭にかけてのイギリスで行われた貧困調査では、貧困の原因は個人の責任であり、社会の責任ではないことを明らかにした。 」が不適切であるため、正解です。
「社会保険と関連サービス」(通称「ベヴァリッジ報告」)は、1942年11月にウィリアム・ベヴァリッジによって示されました。
「社会保険と関連サービス」は、第二次世界大戦以降の社会保障改革への重要な指針となっており、これを機に社会保障拡充に向けての改革が進みました。
よって、「イギリスでは、1942年に「社会保険と関連サービス」(通称「ベヴァリッジ報告」)が示された。」は、適切です。
日本国憲法では、第25条の1項で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」、2項で「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定められています。日本の社会福祉制度は、これらを実現させるために整備されてきました。
よって、「生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務について定めた「日本国憲法」第25条は、日本の社会福祉に関する法制度の発展に寄与した。」は、適切です。
明治期に「慈善事業」「救済事業」と呼ばれていた社会福祉活動では、主に宗教家や寄付を行う人々が中心となって、孤児や捨てられた子供たちの保護、問題を抱える若者の更生などを行っていました。
これらの支援活動が広がり、明治36年に、大阪で開催された全国慈善大会において、200人以上の慈善活動家が集まり、日本初の全国的な連絡組織である「日本慈善同盟会」の設立へと至ったのです。
このことから、近代社会において社会福祉が発展する以前に、宗教家や相互扶助の考えが強い人々によって慈善事業の基盤が作られていたことが、社会福祉の発展に寄与したと言えます。
よって「社会福祉は、近代社会の発展の中で成立したが、それ以前の相互扶助や宗教的な慈善事業も重要な役割を担っていた。」は、適切です。
イギリスでは、資本主義が進展するにつれて、貧困や無知、犯罪、疾病などの社会問題が深刻化しました。COS(慈善組織協会)は、無駄な重複や乱立(濫救、漏救)を避けるために、また、慈善活動を効果的に行うために設立されました。
よって「イギリスのCOS(慈善組織協会)の創設は、都市に急増した貧困者、浮浪者等に対する慈善の濫救、漏救を防ぎ、効率的に慈善を行う意図があった。」は、適切です。
ブース(Booth, C.J.)が1886年から1902年にかけて行った調査活動の1つに、「貧困調査」があります。
その調査結果では、貧困の原因は「労働」や「環境」といった社会経済的原因が圧倒的に多いことが明らかになりました。逆に言うと、それまでの主流な考え方であった、個人的原因(飲酒や怠惰)が主たる原因ではないことを証明したのです。
よって「ブース(Booth, C.J.)らによる19世紀末から20世紀初頭にかけてのイギリスで行われた貧困調査では、貧困の原因は個人の責任であり、社会の責任ではないことを明らかにした。 」は、貧困の原因は個人ではなく社会であるため、不適切です。
社会福祉は、戦後の貧困問題を解決するべく発展していったものです。
日本の現在の社会保障制度は、第二次世界大戦後の復興期を経て、高度経済成長期である1960年代から1970年代に確立され、改良・発展を重ねてきました。
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02
以下に解説します。
適切です。
この報告は、イギリスの社会福祉政策の基盤を築いた重要な文書で、社会保険制度の整備や「ゆりかごから墓場まで」の理念を提唱しました。
適切です。
憲法第25条は、生存権を明記し、国に対して福祉向上の責任を課しました。この条文が日本の社会福祉制度の発展に大きな影響を与えました。
適切です。
近代以前の社会では、家族や地域の助け合い、宗教団体による慈善活動が社会福祉の原型となる役割を果たしていました。
適切です。
COSは、効率的な慈善活動を目指して設立されました。個々の支援に加え、調査や体系的なアプローチを重視した組織です。
不適切です。
ブースの貧困調査は、貧困の多くが個人の責任ではなく、社会的要因(低賃金、雇用の不足など)によるものであることを示しました。
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03
社会福祉の歴史を復習しておきましょう。
適切です。
べヴァリッジ報告はウィリアム・べヴァリッジが示した報告です。
第二次世界大戦後に出されました。
適切です。
日本国憲法第25条には、
「第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」
このように記載されています。
この条文は日本の社会福祉制度に関する法律の発展を支えました。
適切です。
慈善事業の内容は、若者の更生や貧困の状況にある子供たちを救うなどの活動があります。
適切です。
資本主義がイギリス国内で加速する中での上記のような意図をもったCOSの創設となりました。
不適切です。
ブースによると、貧困の原因は社会の責任であり、個人の責任ではないとしました。
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