保育士の過去問
令和6年(2024年)前期
社会福祉 問2

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問題

保育士試験 令和6年(2024年)前期 社会福祉 問2 (訂正依頼・報告はこちら)

次のうち、社会福祉の歴史に関する記述として、不適切なものを一つ選びなさい。
  • イギリスでは、1942年に「社会保険と関連サービス」(通称「ベヴァリッジ報告」)が示された。
  • 生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務について定めた「日本国憲法」第25条は、日本の社会福祉に関する法制度の発展に寄与した。
  • 社会福祉は、近代社会の発展の中で成立したが、それ以前の相互扶助や宗教的な慈善事業も重要な役割を担っていた。
  • イギリスのCOS(慈善組織協会)の創設は、都市に急増した貧困者、浮浪者等に対する慈善の濫救、漏救を防ぎ、効率的に慈善を行う意図があった。
  • ブース(Booth, C.J.)らによる19世紀末から20世紀初頭にかけてのイギリスで行われた貧困調査では、貧困の原因は個人の責任であり、社会の責任ではないことを明らかにした。

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この過去問の解説 (1件)

01

ブース(Booth, C.J.)らによる19世紀末から20世紀初頭にかけてのイギリスで行われた貧困調査では、貧困の原因は個人の責任であり、社会の責任ではないことを明らかにした。 」が不適切であるため、正解です。

選択肢1. イギリスでは、1942年に「社会保険と関連サービス」(通称「ベヴァリッジ報告」)が示された。

「社会保険と関連サービス」(通称「ベヴァリッジ報告」)は、1942年11月にウィリアム・ベヴァリッジによって示されました。

 

「社会保険と関連サービス」は、第二次世界大戦以降の社会保障改革への重要な指針となっており、これを機に社会保障拡充に向けての改革が進みました。

 

よって、「イギリスでは、1942年に「社会保険と関連サービス」(通称「ベヴァリッジ報告」)が示された。」は、適切です。


 

選択肢2. 生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務について定めた「日本国憲法」第25条は、日本の社会福祉に関する法制度の発展に寄与した。

日本国憲法では、第25条の1項で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」、2項で「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定められています。日本の社会福祉制度は、これらを実現させるために整備されてきました。

 

よって、「生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務について定めた「日本国憲法」第25条は、日本の社会福祉に関する法制度の発展に寄与した。」は、適切です。


 

選択肢3. 社会福祉は、近代社会の発展の中で成立したが、それ以前の相互扶助や宗教的な慈善事業も重要な役割を担っていた。

明治期に「慈善事業」「救済事業」と呼ばれていた社会福祉活動では、主に宗教家や寄付を行う人々が中心となって、孤児や捨てられた子供たちの保護、問題を抱える若者の更生などを行っていました。

 

これらの支援活動が広がり、明治36年に、大阪で開催された全国慈善大会において、200人以上の慈善活動家が集まり、日本初の全国的な連絡組織である「日本慈善同盟会」の設立へと至ったのです。

 

このことから、近代社会において社会福祉が発展する以前に、宗教家や相互扶助の考えが強い人々によって慈善事業の基盤が作られていたことが、社会福祉の発展に寄与したと言えます。

 

よって「社会福祉は、近代社会の発展の中で成立したが、それ以前の相互扶助や宗教的な慈善事業も重要な役割を担っていた。」は、適切です。


 

選択肢4. イギリスのCOS(慈善組織協会)の創設は、都市に急増した貧困者、浮浪者等に対する慈善の濫救、漏救を防ぎ、効率的に慈善を行う意図があった。

イギリスでは、資本主義が進展するにつれて、貧困や無知、犯罪、疾病などの社会問題が深刻化しました。COS(慈善組織協会)は、無駄な重複や乱立(濫救、漏救)を避けるために、また、慈善活動を効果的に行うために設立されました。

 

よって「イギリスのCOS(慈善組織協会)の創設は、都市に急増した貧困者、浮浪者等に対する慈善の濫救、漏救を防ぎ、効率的に慈善を行う意図があった。」は、適切です。


 

選択肢5. ブース(Booth, C.J.)らによる19世紀末から20世紀初頭にかけてのイギリスで行われた貧困調査では、貧困の原因は個人の責任であり、社会の責任ではないことを明らかにした。

ブース(Booth, C.J.)が1886年から1902年にかけて行った調査活動の1つに、「貧困調査」があります。

 

その調査結果では、貧困の原因は「労働」や「環境」といった社会経済的原因が圧倒的に多いことが明らかになりました。逆に言うと、それまでの主流な考え方であった、個人的原因(飲酒や怠惰)が主たる原因ではないことを証明したのです。
 

よって「ブース(Booth, C.J.)らによる19世紀末から20世紀初頭にかけてのイギリスで行われた貧困調査では、貧困の原因は個人の責任であり、社会の責任ではないことを明らかにした。 」は、貧困の原因は個人ではなく社会であるため不適切です。
 

まとめ

社会福祉は、戦後の貧困問題を解決するべく発展していったものです。

 

日本の現在の社会保障制度は、第二次世界大戦後の復興期を経て、高度経済成長期である1960年代から1970年代に確立され、改良・発展を重ねてきました。

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