管理栄養士の過去問
第27回
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 問46

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問題

第27回 管理栄養士国家試験 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 問46 (訂正依頼・報告はこちら)

妊娠に関する記述である。正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 妊娠高血圧症候群では、たんぱく尿がみられる。
  • 妊娠初期における痙攣を、子癇という。
  • 妊娠中の糖尿病コントロール不良は、巨大児の原因となる。
  • 新生児メレナは、血液型不適合妊娠により生じる。
  • 神経管閉鎖障害の予防には、妊娠末期の葉酸摂取が有効である。

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この過去問の解説 (4件)

01

1.妊娠高血圧症候群は、

〇妊娠20週~分娩後12週の間に発症
(それ以前、以後の発症はもともと高血圧等の異常があったと考えられる)

〇高血圧・たんぱく尿
(たんぱく尿のみでは妊娠高血圧症候群とは診断されない。また、旧称の妊娠中毒症では診断基準に浮腫が入っていたが、改称後は含まれていない)

この二点を基準として診断されます。


2.子癇とは、妊娠高血圧症候群によって引き起こされる症状の一つです。妊娠末期に多く、けいれんや意識消失などが起こり、死に至ることもあります。妊娠高血圧症候群のコントロールが予防のために重要です。

3.妊娠糖尿病のコントロール不良で母体が高血糖となった場合、胎盤を通過してグルコースが母体に移行し、巨大児の原因となります。

母体の糖尿病が原因となる巨大児は4000g以上となり出産が困難になるほか、各種臓器の腫大が認められます。出生後は呼吸障害、低血糖、低カルシウム血症、多血症、高ビリルビン血症(新生児黄疸)、心不全症状などが現れる危険性があります。

4.新生児メレナは、ビタミンKの不足による新生児の消化管出血です。

新生児ではビタミンKが不足していることがほとんどです。現在は産院において、生後一週間と一か月健診時にビタミンKシロップを投与するため予防できます。

血液型不適合妊娠とは母体と胎児の血液型が異なり、かつ母体に胎児の赤血球に対する抗体ができてしまった状態をいいます。

母体中の抗体が胎児に移行してしまうと胎児の赤血球は破壊されてしまい、黄疸、貧血となり、重篤な場合は後遺症が残ったり死亡します。
交換輸血や抗グロブリン薬の投与などで治療します。

5.神経管閉鎖障害の予防には、妊娠前~妊娠初期の葉酸摂取が有効です。

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02

正しいものの組合せは、
【1.妊娠高血圧症候群では、たんぱく尿がみられる。】
【3.妊娠中の糖尿病コントロール不良は、巨大児の原因となる。】です。
妊娠高血圧症候群は、妊娠20週目以降~分娩後12週まで高血圧がみられるか、高血圧とたんぱく尿を伴う場合をいいます。高齢妊婦、肥満妊婦は多く発症します。

妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて発見、または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常の事を言います。
胎児の合併症では、胎児死亡、先天奇形、巨大児、などがあり、母体の産科合併症は、流産、早産症、妊娠高血圧症候群、羊水過多などがあります。

2.子癇とは、妊娠20週以降に初めて痙攣発作を起こし、てんかんや二次痙攣が否定されるものを言い、血流の増加により起こる脳浮腫が原因であると考えられています。

4.新生児メレナは、ビタミンK欠乏によって生じる、ビタミンK依存性凝固因子の不足により、生後2~4日に発生する消化管出血のことです。

5.神経管閉鎖障害を予防するには、妊娠初期での葉酸摂取が有効です。
神経間の閉鎖が障害されると、二分脊椎や無脳症などを引き起こします。

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03

正解は 1と3 です。

人体の構造と機能及び疾病の成り立ち/生殖器系からの出題です。

1.正しい記載です。妊娠高血圧症候群は、妊娠20週以降、分娩後12週までに高血圧がみられる場合か、高血圧にたんぱく尿を伴う場合を指します。

2.子癇には発症時期によって妊娠子癇、分娩子癇、産褥子癇とあります。妊娠子癇は妊娠20週以降に起こる痙攣のことです。

3.正しい記載です。妊娠中に高血糖だと胎児に過剰にグルコースが供給され、胎児が巨大児となります。

4.新生児メレナは、ビタミンK欠乏症によって起こる消化管の出血です。

5.神経管閉鎖障害の予防には、妊娠前から初期にかけて葉酸を摂取することが大切です。

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04

正解は1.【妊娠高血圧症候群では、たんぱく尿がみられる。】と、
3.【妊娠中の糖尿病コントロール不良は、巨大児の原因となる。】です。
妊娠高血圧症候群は、
「妊娠20週以降、分娩後12週まで高血圧がみられる場合、または高血圧にたんぱく尿を伴う場合のいずれかで、かつこれらの症候が単なる妊娠の偶発合併症によるものではないものをいう」
と定義されています。

妊娠糖尿病は、十分な健康管理が行われないと、巨大時による難産、早産、流産や胎児の先天性奇形、新生児の低血糖など、母体・胎児ともに影響を与えます。
神経管閉鎖障害は葉酸によって危険率を低減できることが明らかとなっています。
妊婦は推定平均必要量で200μg/日、推定量に240μg/日を付加しています。

以下、詳細の説明です。

2 .子癇は、
「妊娠20週以後に初めて痙攣発作を起こし、てんかんや二次痙攣が否定される場合」
をいいます。
発症時期により、妊娠子癇、分娩子癇、産褥子癇があります。

4.新生児メレナは、ビタミンK欠乏が原因で起こります。
消化管から出血して、吐血や血便などの症状を引き起こします。
母乳中にはビタミンK含量が少なく、母乳栄養児の腸内細菌はビタミンKを生成しにくいことから、母乳栄養児で発症しやすいです。
そのため、日本では出生直後、産科退院時および1か月検診時にビタミンK²シロップの予防的経口投与が行われています。

5.神経管閉鎖障害の予防には、妊娠初期の葉酸摂取が有効です。
神経管閉鎖障害は神経管奇形をもたらし、髄膜脊髄瘤、髄膜瘤、無脳症などを引き起こします。

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