管理業務主任者 過去問
令和4年度(2022年)
問11

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問題

管理業務主任者試験 令和4年度(2022年) 問11 (訂正依頼・報告はこちら)

管理費の滞納に対する法的手続等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  • 管理費を滞納している区分所有者が、不可抗力により、管理費を支払うことができないときは、債務不履行に係る遅延損害金の賠償については、不可抗力をもって抗弁とすることができる。
  • 管理費を滞納している区分所有者からその区分所有するマンションを購入した買主は、売主の滞納管理費債務を承継するが、当該債務に係る遅延損害金の債務は承継しない。
  • 管理組合は、管理費を滞納している区分所有者に対する訴訟の目的の価額が140万円を超えない場合は、簡易裁判所に訴えを提起することができる。
  • 管理組合が、管理費を滞納している区分所有者に対し、滞納管理費の支払を普通郵便により催告しても、時効の完成猶予の効力は生じない。

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この過去問の解説 (1件)

01

管理費の滞納に関する問題です。

選択肢1. 管理費を滞納している区分所有者が、不可抗力により、管理費を支払うことができないときは、債務不履行に係る遅延損害金の賠償については、不可抗力をもって抗弁とすることができる。

不適切。金銭の給付を目的とする債務の不履行に係る損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができません(民法150条)。

金銭自体はどこにでもあり、何とかすればかき集めることができるためであり、これを「金銭債務の特則」と言います。

選択肢2. 管理費を滞納している区分所有者からその区分所有するマンションを購入した買主は、売主の滞納管理費債務を承継するが、当該債務に係る遅延損害金の債務は承継しない。

不適切。共用部分等の債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができます(区分所有法8条)。

 

たとえば、管理費を滞納している区分所有者からその区分所有するマンションを購入した買主は「特定承継人」にあたり、売主の滞納管理費債務だけでなく、当該債務に係る遅延損害金の債務も承継します。

選択肢3. 管理組合は、管理費を滞納している区分所有者に対する訴訟の目的の価額が140万円を超えない場合は、簡易裁判所に訴えを提起することができる。

適切。簡易裁判所は、訴訟の目的の価額が140万円を超えない請求について第一審の裁判権を有します(裁判所法33条1項1号)。

 

したがって、管理組合は、管理費を滞納している区分所有者に対する訴訟の目的の価額が140万円を超えない場合は、簡易裁判所に訴えを提起することができます。

選択肢4. 管理組合が、管理費を滞納している区分所有者に対し、滞納管理費の支払を普通郵便により催告しても、時効の完成猶予の効力は生じない。

不適切。催告があったときは、その時から6箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しません(民法150条)。

この「催告」の形式は定められていないので、法律上は口頭でも普通郵便でも問題ないです。

 

ただし、万が一裁判にまで発展してしまうと催告をしたことの証明が非常に困難であるため、実務上は内容証明郵便で行うことがほとんどです。

まとめ

様々な法令から出題されていますが、管理費等の滞納については頻出論点であり、実務においても非常に重要な知識が詰まっています。

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