1級管工事施工管理技士の過去問
令和5年度(2023年)
問題A 問6

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問題

1級 管工事施工管理技術検定試験 令和5年度(2023年) 学科試験 問題A 問6 (訂正依頼・報告はこちら)

ウォーターハンマーに関する記述のうち、適当でないものはどれか。
  • 流体の流速と圧力上昇は反比例する。
  • ジュコフスキーの式により圧力上昇は求められる。
  • 鋼管より硬質塩化ビニル管の方が発生しにくい。
  • 流体の密度が大きいほど、圧力上昇は大きくなる。

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この過去問の解説 (1件)

01

流体の圧力上昇とウォーターハンマーに関する問題です。

選択肢1. 流体の流速と圧力上昇は反比例する。

ベルヌーイの定理から、運動エネルギー、重力による位置エネルギー、圧力によるエネルギーの和は一定です。

流速が上昇した後は運動エネルギーが上昇しますが、圧力が上昇した後は圧力によるエネルギーも上昇します。

流速増加による運動エネルギーの増加と、圧力増加による圧力エネルギー増加は、ベルヌーイの定理から、同じエネルギー増加量になります。

つまり、流速増加の結果と圧力増加の結果が、同じことを意味します。

 

したがって、流体の流速と圧力上昇の反比例は、誤りで、流体の流速と圧力上昇は比例します

選択肢2. ジュコフスキーの式により圧力上昇は求められる。

ジュコフスキーの式により圧力上昇は、大容量の容器に接続された管路の末端にある弁を球に閉めたときに生じる圧力の上昇が、式から求められるということです。

 

ジュコフスキーの式は、圧力上昇をhとすると、

h=ρ×a×V (ρ:流体密度、a:圧力波の伝播速度、V:水の初期流速)

となって、aが分かれば、圧力上昇が求められます。

閉鎖に要した時間をT、容器から管路末端までの距離をLとすれば、

T=2×L/a

で、aが求まります。

選択肢3. 鋼管より硬質塩化ビニル管の方が発生しにくい。

管路で弁を急に閉めて水の流れを止めれば、水のエネルギーが圧力変化に変わり、管路に急激な圧力上昇が起こります。これがウォーターハンマーです。

圧力の変化の波は、液中音速 a0 で伝搬します。

実際の圧力波の伝播速度 a は、管の材料などにより変わるため、次の式で求めます。

 

a=a0 /√(1+a02×ρ0 ×D/ES) [m/s]

ここで、ρ0 :水の密度、E:管材料の縦弾性係数、D:管内径、S:管の肉厚、です。

Eは鋼で 2.1×105 MPa、硬質塩化ビニルで2.0×103 ~ 3.9×103 MPa です。

 

aの式と式中のEを比較すると、Eが小さい値ほど、aの値は小さくなります。

すなわち、硬質塩化ビニル管の方が、鋼管より aの値が小さく、圧力上昇 hも小さくなるため、ウォーターハンマーが起きにくいことになります。

選択肢4. 流体の密度が大きいほど、圧力上昇は大きくなる。

ジュコフスキーの式から、問題文は正しいことが分かります。

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