貸金業務取扱主任者 過去問
令和4年度(2022年)
問5 (法及び関係法令に関すること 問5)

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問題

貸金業務取扱主任者試験 令和4年度(2022年) 問5(法及び関係法令に関すること 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

貸金業における金融ADR制度に関する次のa~dの記述のうち、その内容が適切なものの組み合わせを1つだけ選びなさい。

a  貸金業者は、指定紛争解決機関である日本貸金業協会に加入していない場合、当該協会との手続実施基本契約を締結する措置に代えて内閣府令で定める貸金業務に関する苦情処理措置及び紛争解決措置を講じなければならない。
b  貸金業者は、貸金業法第12条の2の2(指定紛争解決機関との契約締結義務等)第1項の規定により手続実施基本契約を締結する措置を講じた場合には、当該手続実施基本契約の相手方である指定紛争解決機関の商号又は名称を公表しなければならない。
c  紛争解決委員は、紛争解決手続において、貸金業務関連紛争の解決に必要な和解案を作成し、当事者に対し、その受諾を勧告することができ、加入貸金業者(注)は、紛争解決委員から和解案が提示され、受諾を勧告されたときは、これを拒否することはできない。
d  指定紛争解決機関は、当事者である加入貸金業者に係る資金需要者等の申出があるときは、紛争解決手続における和解で定められた義務の履行状況を調査し、当該加入貸金業者に対して、その義務の履行を勧告することができる。
(注)加入貸金業者とは、指定紛争解決機関と手続実施基本契約を締結した貸金業者をいう。
  • a,b
  • a,c
  • b,d
  • c,d

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この過去問の解説 (3件)

01

a(誤)
金融ADR制度では、協会に加入しているかどうかにかかわらず、すべての貸金業者が指定紛争解決機関(日本貸金業協会)と「手続実施基本契約」を結ばなければならないとされています。
「協会に加入していなければ別の措置でよい」という考え方は認められていません。

 

b(正)
貸金業法第12条の2の2第2項では、指定紛争解決機関の名称などを公表することが義務付けられています。
消費者に対する透明性の確保のためです。

 

c(誤)
金融ADR制度においては、和解案の受諾は「勧告」であって強制ではありません
貸金業者も申出人も、提示された和解案を自由に受け入れるかどうかを判断できます。
したがって、「拒否できない」というのは誤りです。

 

d(正)
指定紛争解決機関は、和解が成立した後、その内容が守られているかを調査し、貸金業者に対して履行を促すこと(勧告)ができます。
これは制度の信頼性を維持するために重要な役割です。

選択肢3. b,d

正しい選択肢です。

適切なものはb,dです。

 

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02

a(×)貸金業者は、貸金業法に基づき、指定紛争解決機関である日本貸金業協会との間で手続実施基本契約を締結することが義務付けられています(貸金業法12条の2の2第1項)。

b(〇)貸金業者が指定紛争解決機関との手続実施基本契約を締結した場合は、当該手続実施基本契約の相手方である指定紛争解決機関の商号又は名称を公表しなければなりません(貸金業法12条の2の2第2項)。

c(×)紛争解決委員は、貸金業務に関連する紛争の解決に必要な和解案を作成し、当事者にその受諾を勧告することができます。ただし、この勧告に対して、加入貸金業者が拒否することができないとは規定されていません。

d(〇)指定紛争解決機関は、加入貸金業者と資金需要者間の紛争解決において、和解内容の履行状況を調査し、加入貸金業者に対して履行を勧告することができます。これは、紛争解決の円滑化を図るための重要な役割です。(紛争解決手続98条)。

選択肢1. a,b

適切ではありません。

選択肢2. a,c

適切ではありません。

選択肢3. b,d

適切です。

選択肢4. c,d

適切ではありません。

まとめ

貸金業者は、原則として日本貸金業協会との手続実施基本契約を締結し、紛争解決に協力する必要があります。紛争解決委員の勧告は、あくまで勧告であり、加入貸金業者がこれを拒否することも可能です。また、指定紛争解決機関は、和解内容の履行状況を調査し、加入貸金業者に対して履行を勧告することができます。

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03

以下記載の通り、b,dの内容が適切です。

 

a .貸金業者は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める措置を講じなければなりません(貸金業法12条の2の2第1項)。

   一 指定紛争解決機関が存在する場合 一の指定紛争解決機関との間で手続実施基本契約を締結する措置

   二 指定紛争解決機関が存在しない場合 貸金業務に関する苦情処理措置及び紛争解決措置

  よって、「指定紛争解決機関である日本貸金業協会に加入していない場合」とするaの内容は、誤りです。

 

b .貸金業者は、手続実施基本契約を締結する措置を講じた場合には、当該手続実施基本契約の相手方である指定紛争解決機関の商号又は名称を公表しなければならない(貸金業法12条の2の2第2項)、と定められています。

  よって、bの内容の通りであり、bの内容は適切です。

  

c .紛争解決委員は、紛争解決手続において、貸金業務関連紛争の解決に必要な和解案を作成し、当事者に対し、その受諾を勧告することができます。しかし、これを拒否することができない旨は定められていません。

  よって、cの内容は誤りです。

 

d .紛争解決手続きにおいては、以下2〜4のような定めがあります。

 2 貸金業相談・紛争解決センターは、 紛争解決手続の当事者たる地位を有していた契約者等からの申し出がある場合には、当該紛争解決手続において成立した和解で定められた義務の履行状況につき、当該契約者等及び当該契約者等に係る協会員等から口頭若しくは文書による報告を求め又は帳簿その他の物件(以下本条において「資料等」という。)の提出若しくは提示を求め、その他相当な方法で調査を行うことができる。

 3 協会員等 は、前項の調査に対し、正当な理由なくこれを拒否してはならない。

 4 貸金業相談・紛争解決センターは、第2項の調査の結果、第1項の和解につき、正当な理由なくその義務が履行されていないと認めるときには、当該協会員等に対し、その義務の履行を勧告することができる(紛争解決手続98条)。

   よって、dの内容は適切です。

選択肢1. a,b

適切なものの組み合わせは、b,dです。よって、本選択肢は誤りです。

選択肢2. a,c

適切なものの組み合わせは、b,dです。よって、本選択肢は誤りです。

選択肢3. b,d

適切なものの組み合わせは、b,dです。よって、本選択肢が正解です。

選択肢4. c,d

適切なものの組み合わせは、b,dです。よって、本選択肢は誤りです。

まとめ

「金融ADR」とは、金融分野における裁判外の紛争解決制度(Alternative Dispute Resolution) のことです。金融商品やサービスを巡る顧客と業者とのトラブルは、裁判で解決することも可能ですが、その場合、大変な時間、労力、コストが必要となるのが一般的です。そこで、中立・公正な組織が中心になってトラブルを簡易かつ迅速に解決しようというのが「金融ADR」の趣旨になります。大事な制度ですので、しっかり押さえておきましょう。

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