公立学校教員の過去問
平成28年度(H29年度採用)
共通問題 問8
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問題
公立学校教員採用選考試験(教職教養) 平成28年度(H29年度採用) 共通問題 問8 (訂正依頼・報告はこちら)
地方公務員法の定める職員の服務に関する記述として適切なものは、次のうちのどれか。
- 職員が、上司の発した適法な職務命令に違反した場合、任命権者は当該職員を懲戒処分の対象とすることができる。
- 職員は、職務上知り得た秘密を漏らした場合、懲戒処分の対象となるが、刑事上の責任は問われない。
- 職員は、裁判所の命令があれば、上司に断りなく法令による証人となり、職務上の秘密に属する事項を発表することができる。
- 職員が、勤務時間中にインターネットで職務と関係のない個人的な目的のために調べ物をすることは、職務専念義務に違反するので、分限処分の対象となる。
- 職員は、営利企業を営むことを目的とする会社の役員になることはできるが、自ら営利企業を営むことはできない。
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この過去問の解説 (3件)
01
1:地方公務員法第32条には、「職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」と規定されています。また、同法27条第3項には、「職員は、この法律で定める事由による場合でなければ、懲戒処分を受けることがない」と規定されています。同法27条は、「職員の分限及び懲戒」について定められたもので、前述の「この法律で定める事由による場合でなければ、懲戒処分を受けることがない」という文言は、言い換えると「この法律で定める事由(例えば同法第32条の上司の命令に従わなければならないという法令等)であれば、懲戒処分を受けることもある」ということです。
つまり、この2つの法令より、上司の職務上の命令に忠実に従わなければ懲戒処分を受ける可能性もあることがわかります。そのため、1は正解です。
余談ですが、問題文では「上司の発した『適法』な職務命令」という言い方がなされていますが、上司が発した職務命令が「重大かつ明白な瑕疵を有するとき(つまり違法であったとき)」は、その命令に従わないことができることが判例で示されています。
2:地方公務員法第34条第1項には、「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする」と規定されています。1の解説でも述べたように、同法27条において地方公務員法で規定されている事項に背いたときは、懲戒処分を受ける可能性となります。また、刑事上の責任については、人事院の『義務違反防止ハンドブック』に「守秘義務は、その性質上、職員の退職後も課され、秘密を漏洩した場合は刑事罰が科せられることがあります」と明記されています。
職務上知り得た秘密を漏らした場合、懲戒処分になる可能性のみならず刑事上の責任が問われる場合もあるため、2は誤りです。
3:地方公務員法第34条第2項には、「法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、任命権者の許可を受けなければならない」と規定されています。
職務上の秘密に属する事項を発表する場合には、任命権者の許可を受けなければならないため、3は誤りです。
4:地方公務員法第35条には、「職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない」と規定されています。
1の解説でも述べたように、同法27条において地方公務員法で規定されている事項に背いたときは、懲戒処分を受ける可能性となります。分限処分ではなく懲戒処分であるため、4は誤りです。
余談ですが、分限処分は「職員の身分保障の限界。公務能率の維持を目的として、一定の事由により科せられる職員の意に反する処分」のことです。たとえば、職員が病気になってしまって職務を遂行できなくなってしまったとき等に分限処分が科される場合があります。一方、懲戒処分は「職員の一定の義務違反に対する道義的責任を問うことにより、公務員関係における規律ないし秩序の維持を目的として、任命権者が科す職員の意に反する処分 」のことです。たとえば、給食費を横領した等、職員に非がある場合に科される処分です。問題文のように、職務専念義務に違反した場合は、懲戒処分の対象となります。
5:地方公務員法第38条第1項には、「職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない」と規定されています。
職員が会社の役員になったり、自ら営利企業を営むには、任命権者の許可が必要で、許可を受けることができれば副業も可能であるため、5は誤りです。
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02
1:地方公務員法に、以下のように定められています。
第27条第3項
職員は、この法律で定める事由による場合でなければ、懲戒処分を受けることがない
第32条
職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない
上記によると、「上司の命令に従わなければならないという法令があれば、懲戒処分を受けることもある」という解釈が可能です。
つまり、上司の職務上の命令に忠実に従わなければ懲戒処分を受ける場合があるため、1は正答です。
*上司が発した職務命令が「重大かつ明白な瑕疵を有するとき(違法であったとき)」は、その命令に従う必要がないことも同様に覚えておくとよいでしょう。
2:以下の法律・ガイドラインに基づき、解説します。
①地方公務員法第27条第3項
この法律で定める事由による場合でなければ、懲戒処分を受けることがない。
②地方公務員法第34条第1項
職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
③義務違反防止ハンドブック
守秘義務は、その性質上、職員の退職後も課され、秘密を漏洩した場合は刑事罰が科せられることがある。
①は②に背いた場合に懲戒対象になることに加え、③により刑事上の責任が問われる可能性もあることから、2は誤りです。
3:地方公務員法第34条第2項に「法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、任命権者の許可を受けなければならない」と定められています。
つまり職務上の秘密に属する事項を発表する場合には、任命権者の許可が必要となるため、3は誤りです。
4:地方公務員法に、以下のように定められています。
第27条第3項
職員は、この法律で定める事由による場合でなければ、懲戒処分を受けることがない。
第35条
職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
第27条において第35条に背いたときは、懲戒処分を受ける可能性があります。
また、問題文の「分限処分」について、「懲戒処分」が正しいため、4は誤りです。
*「分限処分」「懲戒処分」とは
分限処分:職員の身分保障の限界。公務能率の維持を目的として、一定の事由により科せられる職員の意に反する処分。
懲戒処分:職員の一定の義務違反に対する道義的責任を問うことにより、公務員関係における規律ないし秩序の維持を目的として、任命権者が科す職員の意に反する処分 。
5:地方公務員法第38条第1項には、以下ように定められています。
「職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない」
上記から、職員が会社の役員になる・自ら営利企業を営む場合は、任命権者の許可が必要です。許可を得た際には副業も可能ですので、5は誤りです。
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03
職員は、上司の発した適法な職務命令に従わなければなりません。違反した場合、懲戒処分になる場合もあります。
2:誤り
職員は、職務上知り得た秘密を漏らした場合、刑事上の責任も「問われます」。
3:誤り
職員は、法令による証人となり、職務上の秘密に属する事項を発表するときには、裁判所の命令があっても、「上司に断りなく」ではなく「任命権者の許可を受けなければならない」とされています。
4:誤り
職員が、職務専念義務に違反した場合は、「分限処分」ではなく「懲戒処分」の対象となります。
5:誤り
職員は、営利企業を営むことを目的とする会社の役員になることは「できません」し、自ら営利企業を営むこともできません。
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