公立学校教員の過去問
平成28年度(H29年度採用)
小学校に関する問題 問30

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問題

公立学校教員採用選考試験(教職教養) 平成28年度(H29年度採用) 小学校に関する問題 問30 (訂正依頼・報告はこちら)

次の「特別の教科道徳」に関する記述ア~工のうち、「道徳に係る教育課程の改善等について(答申)」(中央教育審議会 平成26年10月21日)の提言及び小学校学習指導要領(文部科学省 平成27年3月一部改正)に照らしてし正しいものを選んだ組合せとして適切なものは、下のうちのどれか。

ア  道徳教育の目標は、児童・生徒の道徳性を養うことであるという根本を明確にした上で、その育成に当たり、特に留意すべき具体的な事項を併せて示すようにする。また、小学校、中学校のそれぞれの発達の段階に即した重点の示し方についても工夫することと提言されており、小学校学習指導要領では、総則の「指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項」に、各学年段階において留意する事項が示された。
イ  内容を示す上で設けられている視点は、それぞれの視点の範囲内で指導しなければならないことから、視点の意義を明確にするとともに、その順序等を適切なものに見直すことと提言されており、小学校学習指導要領では、「A 主として自分自身に関すること」、「B 主として人との関わりに関すること」、「C 主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること」の三つの視点とした。
ウ  「特別の教科 道徳」の内容項目は、いじめの問題への対応をはじめ、児童・生徒の発達の段階や実態、児童・生徒を取り巻く環境の変化などに照らし必要な改善を行うとともに、キーワードなども活用しつつ、より体系的で効果的な示し方を工夫することと提言されており、小学校学習指導要領では、それぞれの内容項目の手がかりとなる「善悪の判断、自律、自由と責任」、「正直、誠実」、「節度、節制」などのキーワードが示された。
エ  道徳教育の評価に関して、児童・生徒の道徳性の評価については、多面的、継続的に把握し、総合的に評価していく必要があること。さらに、「特別の教科 道徳」について、数値などによる評価を行うことが適切であると提言されており、小学校学習指導要領では、「児童の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し、指導に生かすよう努める必要がある。なお、評価は、数値により行うものとする。」と示された。
  • ア・イ
  • ア・ウ
  • イ・ウ
  • イ・エ
  • ウ・エ

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この過去問の解説 (3件)

01

正答は 2 です。

問題文の中教審答申と照らし合わせると、

ア:正しい
「児童生徒の道徳性を育成するものであることをより明確にするとともに、 その育成に当たり、特に留意すべき具体的な事項を併せて示すなど簡潔な表現に改める必要がある。 また、その際、児童生徒の発達の段階を踏まえ、小学校の低学年、中学年、高学年 及び中学校の区切りごとに特に重視すべき点を示すなど、発達の段階の違いを踏まえることが指導の効果を上げる上で有効に働くものと考えられ、現行学習指導要領にお いて内容の取扱いに示されている重点事項も参考に、具体的な記述の在り方を検討す る必要がある。」
とされており、内容と一致します。

イ:誤り
「四つの視点の意義を明確にするとともに その順序等を適切なものに見直すこと」 と書かれており、内容は正しいですが、3つではなく4つの視点であり、「D 主として集団や社会との関わりに関すること」が抜けているため誤りです。

ウ:正しい
「 内容項目について、いじめの問題への対応をはじめ、児童生徒の発達の段階や実 態、児童生徒を取り巻く環境の変化などに照らし必要な改善を行うとともに、キー ワードなども活用しつつ、より体系的で効果的な示し方を工夫すること。」とされていることから、内容と一致します。

エ:誤り
「道徳性は、極めて多様な児童生徒の人格全体に関わるものであることから、個人内の成長の過程を重視すべきであって 「特別の教科 道徳 (仮称)」について指導要録等に示す評価として、数値などによる評価は導入すべきではない。」とされ、学習指導要領でも数値による目標はありません。
個人内の成長の過程を評価するものとして、パフォーマンス評価やポートフォリオ評価が挙げられています。

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02

正解は2です。

ア:正しい
この答申の「道徳に係る教育課程の改善方策」として、道徳教育の目標について「道徳性の育成に向けて重視すべきより具体的な資質・能力とは何かを明確化し、発達の段階を踏まえて計画的な指導を充実する観点から規定する必要がある」としています。また、その留意点について「児童生徒の発達の段階を踏まえ、小学校の低学年、中学年、高学年及び中学校の区切りごとに特に重視すべき点を示す」ことなどが大切とされており、「現行学習指導要領において内容の取扱いに示されている重点事項も参考に、具体的な記述の在り方を検討する必要がある」としています。よって、選択肢の記述は正しいです。

イ:誤り
選択肢の記述の「視点の意義を明確にする」ことや「内容の順序等を適切なものに見直すこと」は、この答申で提言されていることとして正しいです。
しかし、小学校学習指導要領での視点は、「A主として自分自身に関すること」、「B主として人との関わりに関すること」、「C主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること」の三つの視点ではなく、それに「D主として集団や社会との関わりに関すること」を加えた四つの視点としています。

ウ:正しい
この答申では、「特別の教科道徳」の内容項目について、「いじめの問題への対応をはじめ、児童・生徒の発達の段階や実態、児童・生徒を取り巻く環境の変化などに照らし必要な改善を行うとともに、キーワードなども活用しつつ、より体系的で効果的な示し方を工夫すること」と提言されています。よって、この選択肢の記述は正しいです。
なお、キーワードを設けるに当たっては、「キーワードの言葉そのものを教え込むような指導になることがないよう留意する必要がある」としています。合わせて覚えておくと良いでしょう。

エ:誤り
道徳教育の評価に関しては、児童・生徒の道徳性の評価については、多面的、継続的に把握し、総合的に評価していく必要があること。さらに、「特別の教科道徳」について、「数値などによる評価を行う」のでなく、「数値などによる評価は導入すべきではない」としています。これはこの答申だけでなく、小学校、中学校学習指導要領でも同趣旨の内容が示されています。
なお、道徳教育の評価についての例として「指導のねらいに即した観点による評価、学習活動における表現や態度などの観察による評価(パフォーマンス評価など)、学習の過程や成果などの記録の積み上げによる評価(ポートフォリオ評価など)のほか、児童生徒の自己評価など多種多様な方法の中から適切な方法を用いて評価を行い、課題を明確にして指導の充実を図ることが望まれる」としています。合わせて覚えておくと良いでしょう。

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03

正解は2(ア・ウ)です。

ア 正しいです。

 答申では「道徳教育の目標は、児童生徒の道徳性を養うことであるという根本を明確にした上でその育成に当たり、

 特に留意すべき具体的な事項を併せて示す」とあります。

 また、「小学校、中学校のそれぞれの発達の段階に即した重点の示し方についても工夫する」とあり、小学校学習指導要領に各学年段階において留意する事項が載せられています。

イ 誤りです。

 答申では「『1 主として自分自身に関すること』、『2 主として他の人との関わりに関すること』、『3 主として自然や崇高なものとの関わりに関すること』、『4 主として集団や社会との関わりに関すること』の四つの視点」とあります。

 また、「全体の構造を分かりやすく示す」ために「四つの視点の意義を明確にするとともに、その順序等を適切なものに見直すこと」とある一方、「複数の視点にまたがって捉えられるものも多く各視点に過度にこだわることなく指導すべきということについて、明確に示す必要がある」とされており、イの記述前半の「それぞれの視点の範囲内で指導しなければならない」という部分も誤りです。

ウ 正しいです。

 答申では「内容項目について、いじめの問題への対応をはじめ、児童生徒の発達の段階や実態、児童生徒を取り巻く環境の変化などに照らし必要な改善を行うとともに、キーワードなども活用しつつ、より体系的で効果的な示し方を工夫すること」とあります。

 小学校学習指導要領についての記述も正しいです。

エ 誤りです。

 答申では「児童生徒の道徳性の評価については、多面的、継続的に把握し、総合的に評価していく必要があること。ただし、『特別の教科 道徳』(仮称)について、数値などによる評価を行うことは不適切であること」を盛り込むように提言されています。

 小学校学習指導要領でも、「ただし,数値などによる評価は行わないものとする」とあり、記述は誤りです。

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