公立学校教員の過去問
平成29年度(H30年度採用)
共通問題 問16
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問題
公立学校教員採用選考試験(教職教養) 平成29年度(H30年度採用) 共通問題 問16 (訂正依頼・報告はこちら)
心理学の研究に携わった人物に関する記述として適切なものは、次の1~5のうちのどれか。
- ピアジェは、発達段階を、感覚-運動期、前操作期、具体的操作期、形式的操作期の四つの段階に分類した。具体的操作期になると、ごっこ遊びに見られるように、父親や母親など家族の役割を演じるような行動が見られるようになり、形式的操作期になると、容器に入った液体を異なる形の容器に入れても液体の量が変わらない、棒を長さの順番に並べて比較するといった、論理操作ができるようになるとした。
- フロイトは、精神構造はエス、自我、超自我の3領域からなっているとした。エスは本能的な欲求で、食欲や睡眠欲などがこれに当てはまる。自我は本能的な欲求を理性的にコントロールする部分であり、超自我は道徳的・良心的であろうとする部分である。子供が親から叱られたり褒められたりすることで行動の善し悪しを学び、自分で判断することができるようになる意識は自我であり、エスと超自我を調整する役割にあるとした。
- アドラーは、人は、人生の目標を設定しその目標を追求し、自分の可能性を引き出し、自身の生活スタイルを創り出すことで劣等感を克服しようとする存在であると考えた。人は他者への共感や他者との協同、自らが所属する社会への貢献といった共同体感覚が欠如すると強すぎる劣等感をもつに至るが、劣等感をもった人が自ら問題を解決しようと行動するよう働き掛ける「勇気づけ」が劣等感への対処として効果的であると考えた。
- マズローは、人間の欲求を、生理的欲求、安全の欲求、愛情と所属の欲求、承認と尊重の欲求、自己実現の欲求と階層的に捉え、低階層の欲求が満たされるとより高次の階層の欲求を求めると考えた。さらに、これらの階層を欠乏欲求と成長欲求の二つに大別した。愛情と所属の欲求は、他者と親密になり他者から承認されたいといった欲求であり、自尊心に必要な欲求が含まれるため、成長欲求であるとした。
- ワトソンは、行動主義を提唱し、観察可能な行動を科学的に予測し統制することが心理学の目的であるとし、客観的に観察できない心の状態による解釈を容認しなかった。行動の単位を刺激と反応の結合からなると考え、環境条件を整え条件づけを駆使すれば、意図的に理想の人間を育てることができると主張したが、外部からの批判に遭ったため、理論の構築は全て動物実験によるものとなった。
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この過去問の解説 (3件)
01
1:誤り
ピアジェは認知発達段階説(4つ)を提唱し、
感覚運動期(0~2歳)永続性や表象機能、
前操作期(~7・8歳)象徴機能の獲得や中心化
具体的操作期(~11.12歳)論理的思考、脱中心化、保存性
形式的操作期(12歳~)抽象的思考や仮説的思考
を獲得するとしました。
ごっこ遊びは前操作期で、論理操作は具体的操作期であるため誤りです。
2:誤り
フロイトが提唱した内容は正しいが、「子供が親から叱られたり褒められたりすることで行動の善し悪しを学び、自分で判断することができるようになる意識」は自我ではなく道徳的、良心的な超自我であるため誤りです。また、フロイトは心理性的発達理論も有名です。
3:正しい
問題文の通りであり、アドラー心理学とよばれます。近年「嫌われる勇気」が話題となっていました。
4:誤り
マズローの欲求5段階説についての説明は正しいですが、5つを成長欲求と欠乏欲求に分けると、成長欲求は一番高次の自己実現の欲求のみであり、他4つは欠乏欲求であるため誤りです。
5:誤り
ワトソンは行動心理学者です。「理論の構築は全て動物実験によるものとなった。」とありますが、11か月の幼児に恐怖条件付けの実験を行っているため誤りです。
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02
1:認知発達段階説/ピアジェ
人の知能や心理の発達を「生物的な成長」と「成長過程の中で知識・経験を重ねたことによる成長」の両面から考察したものです。
感覚運動期(0~2歳)永続性や表象機能
前操作期(~7・8歳)象徴機能の獲得や中心化
具体的操作期(~11.12歳)論理的思考、脱中心化、保存性
形式的操作期(12歳~)抽象的思考や仮説的思考
成長順序時は個人的であるものの、普遍的であることを示しました。
ごっこあそびは前操作期(2~7歳)、保存性の習得は具体的操作期(7~12歳)で習得するため誤りです。
2:フロイトの精神構造/フロイト
エス(イド)・・・本能、欲望
自我・・・イド、超自我、外界の要求から生じる、葛藤を調整する役割
超自我・・・理性
「子供が親から叱られたり褒められたりすることで行動の善し悪しを学び、自分で判断することができるようになる」のは超自我のため誤りです。
3:アドラー心理学/アドラー
「苦しみの原因をトラウマに求めない」ことをあげた上で、「困難を越えて目的に進む力や意識」、「他者と協力し目的に進むことのできる能力」こそ必要であるとしています。内容に一致しているため正答です。
4:欲求5段階説/マズロー
ピラミッドの上から順に
【成長欲求】・・・成長するとそれ自体が目的に
自己実現欲求:「あるべき自分」になりたいと願う欲求
【欠乏欲求】・・・足りないと不満足に
承認欲求:他者から尊敬されたい、認められたいと願う欲求
社会的欲求:友人や家庭、会社から受け入れられたい欲求
安全欲求:安心・安全な暮らしへの欲求
生理的欲求:生きていくため必要な、基本的本能的な欲求
成長欲求は「自己実現欲求」のみのため誤りです。
5:行動主義心理学/ワトソン
ネズミの観察を行う中で、「ネズミの意識を理解することはできないが、ネズミの行動を観察する中で、意識が積極的に機能したと言える行動を把握できる。」と考えました。
それは人についても同様で、「意識」を考察するのではなく、科学的な測定による「行動」についての分析が必要と考えたのです。その結果、「人間の発達は後天的な学習や環境の影響を受け、徐々に形成される」としました。
文中の「全て動物実験によるものとなった」が誤りです。
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03
感覚運動期(0~2歳)、前操作期(2~7歳)、具体的操作期(7~12歳)、形式的操作期(12~成人まで)に分けて分類したのは正しいです。誤りの部分はごっこあそびは前操作期(2~7歳)であげられることと、保存性の習得は具体的操作期(7~12歳)で習得するということです。
2.誤り
子供が親から叱られたり褒められたりすることで行動の善し悪しを学び、自分で判断することができるようになる意識は超自我です。
3.正しい
アドラー心理学が説く、人が幸福になるために大切な「勇気」とは、「困難を越えて目的に進む力や意識」、「他者と協力し目的に進むことのできる能力」をさします。
4.誤り
成長欲求は、自己実現欲求のことです。マズローは欠乏欲求と成長欲求は全く異なるものだと言っています。欠乏欲求は、満たされていないものが欲しい、所有したいという欲求で、物的要求と精神的要求があります。
5.誤り
ワトソンは意識や思考など、客観的に評価できないものを研究対象とするのではなく、客観的な行動で評価すべきものであることを主張しました。行動主義とは、人間の発達は後天的な学習や環境の影響を受け、徐々に形成されるとした考えです。ワトソンは生後11か月の幼児を対象に恐怖条件付けを行ったので、「全て動物実験によるものとなった」の部分が誤りです。
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