公立学校教員の過去問
平成30年度(H31年度採用)
共通問題 問13

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問題

公立学校教員採用選考試験(教職教養) 平成30年度(H31年度採用) 共通問題 問13 (訂正依頼・報告はこちら)

発達障害や情緒障害のある子供の特性とその特性に応じた指導に関する記述ア~工のうち、「教育支援資料」(文部科学省平成25年10月)に照らして正しいものを選んだ組合せとして最も適切なものは、下の1~5のうちではどれか。

ア  学習障害のある子供は、学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりする傾向がある。文字を正確に書くことが苦手な場合には、教師は、適切な文字を思い出すことができないのか、細かい部分を書き間違えるのかなど、そのつまずきのパターンを把握した上で、文章や段落ごとの関係を図示したり、重要な箇所に印を付けたりするなどの指導方法を組み合わせる。
イ  注意欠陥多動性障害のある子供は、おおよそ、身の回りの特定のものに意識を集中させる脳の働きである注意力に様々な問題がある。忘れ物が多い場合には、教師は、興味のあるものとないものなど事柄により違いがあるのかなど、その実態を把握した上で、その子供に合ったメモの仕方を学ばせ、忘れやすいものを所定の場所に入れることを指導するなど、家庭と連携しながら決まり事を理解させ、その決まり事を徹底させる。
ウ  アスペルガー症候群の子供は、知的発達と言語発達に遅れがあり、一方的に自分の話題を中心に話し、直接的な表現が多く、相手の話を聞かなかったり、相手が誰であっても対等に話をしたりするというコミュニケーションの障害が比較的目立つという特徴がある。教師は、言葉の内容を理解させるために、人の言葉に注意を向ける、人の話を聞くなどの必要な態度を形成し、人との関わりを深めるための基礎作りをねらいとして指導する。
エ 情緒障害のある子供は、心理的な不安定さから、気持ちを落ち着けて集中することができず、書くことや読むことなどの学習に時間を要したり、指示や説明を断片的に聞いていたりすることがある。通常の学級においては、個別に指導内容を設定することはできないことから、学級における単元等の指導計画による指導内容を焦点化したり重点化したりして、基礎的・基本的な事項の定着に留意することが大切である。
  • ア・イ
  • ア・ウ
  • ア・エ
  • イ・ウ
  • イ・エ

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この過去問の解説 (3件)

01

正答は5(イ・エ)です。

ア:「教育支援資料」には、学習障害のある子どもに対する「文字を正確に書く能力を高めるための指導」について指導方法の説明がなされています。
その中には、「適切な文字を思い出すことができないのか、細かい部分を書き間違えるのか、同じ音の漢字や形が似ているアルファベットと間違えるのかなど、そのつまずきのパターンを把握した上で、漢字の成り立ち等の付加的な情報を指導し、意味付けを行うことや文章や文字をなぞって書くことなどの指導方法を組み合わせる」と記載されています。
前半部分は正しいですが、後半部分は問題文との整合性がないため、アは誤りです。

イ:「教育支援資料」には、注意欠陥多動性障害のある子どもに対する「忘れ物を減らすための指導」について指導方法の説明がなされており、その内容は問題文と整合性があるため、イは正解です。

ウ:「教育支援資料」には、自閉症のある子どもに対する指導について説明がなされており、「アスペルガー症候群」についてもその中に記述されています。
「アスペルガー症候群は、自閉症の上位概念である広汎性発達障害の一つに分類され、知的発達と言語発達に遅れはなく、3つの自閉症の特性(①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものへのこだわり)のうち、コミュニケーションの障害が比較的目立たない」と説明されています。
アスペルガー症候群の特徴は、知的発達と言語発達に遅れがないことのため、ウは誤りです。

エ:「教育支援資料」には、情緒障害のある子どもに対する「通常の学級における配慮」について説明がなされており、その内容は問題文と整合性があるため、エは正解です。

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02

正答は5(イ・エ)です。

ア:「教育支援資料 Ⅸ 学習障害」によると、「適切な文字を思い出すことができないのか、細かい部分を書き間違えるのか、同じ音の漢字や形が似ているアルファベットと間違えるのかなど、そのつまずきのパターンを把握した上で、漢字の成り立ち等の付加的な情報を指導し、意味付けを行うことや文章や文字をなぞって書くことなどの指導方法を組み合わせる」と記載されています。
後半の「文章や段落ごとの関係を図示したり、重要な箇所に印を付けたりするなどの指導方法を組み合わせる」という部分は、文字ではなく文章の読解指導であるため、アは誤りです。

イ:「教育支援資料 Ⅹ 注意欠陥多動性障害」の「忘れ物を減らすための指導」に合致する内容のため、イは正しいです。

ウ:「教育支援資料 Ⅷ 自閉症」によると、
「アスペルガー症候群は、自閉症の上位概念である広汎性発達障害の一つに分類され、知的発達と言語発達に遅れはなく、3つの自閉症の特性(①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものへのこだわり)のうち、コミュニケーションの障害が比較的目立たない」と記載されています。
アスペルガー症候群の特徴に知的発達と言語発達の遅れ(むしろこだわりが強いことから「○○博士」と言われることも多く、特定分野の語彙は非常に豊富です)は含まれないため、ウは誤りです。

エ:「教育支援資料 Ⅶ 情緒障害」の情緒障害のある子どもに対する「通常の学級における配慮」の内容に合致するため、エは正しいです。

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03

正解は5(イ・エ)です。

ア.誤りです。

 「教育支援資料 第3章 Ⅸ 学習障害」では、文字を正確に書くことが苦手な場合には、「つまずきのパターンを把握した上で,漢字の成り立ち等の付加的な情報を指導し,意味付けを行うことや文章や文字をなぞって書くことなどの指導方法を組み合わせる。」とあるので、アの記述は誤りです。

 「文章や段落ごとの関係を図示したり、重要な箇所に印を付けたりする」は、文字ではなく文章を理解する方法ですので、文章の読解が苦手な場合の指導法としています。

イ.正しい記述です。

 「第3章 Ⅹ 注意欠陥多動性障害」の「2 注意欠陥多動性障害のある子供に必要な指導内容」、「(4)忘れ物を減らすための指導」の記述通りです。

ウ.誤りです。

 「第3章 Ⅷ 自閉症」では、アスペルガー症候群(アスペルガー障害)は,「知的発達と言語発達に遅れはなく,コミュニケーションの障害が比較的目立たない」とあるので、選択肢の記述は誤りです。

 比較的目立たないとあるものの、「一方的に自分の話題中心に話し,直せつ的な表現が多く,相手の話を聞かなかったり,また相手が誰であっても対等に話をしたりする」ことは、アスペルガー症候群のコミュニケーションの特徴として正しい記述です。

エ.正しい記述です。

 「第3章 Ⅶ 情緒障害」の「2 情緒障害のある子供の教育の場と提供可能な教育機能」にある、「(3) 通常の学級における配慮」の記述通りです。

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