公立学校教員の過去問
平成30年度(H31年度採用)
共通問題 問18

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問題

公立学校教員採用選考試験(教職教養) 平成30年度(H31年度採用) 共通問題 問18 (訂正依頼・報告はこちら)

修学旅行の振り返りを行う学級活動を2時間で構成し実施した。この学級活動は、宿泊的行事を通して、それまで気付かなかった友達のよい面を発見し、理解し合うことで人間間係を深めることをねらいとした。1時間目は、修学旅行を振り返り、楽しかったことやクラスの友達についてのエピソードを思い出し、用紙に記入する活動を行った。次の表は、2時間目の展開を表したものである。この表から読み取れる学級活動の指導方法の記述として最も適切なものは、次の1~5のうちではどれか。
問題文の画像
  • 2時間目の展開は、教師がリーダーとして進め、ねらいが達成されるよう軌道修正のために介入していく、構成的グループエンカウンターの手法をとっている。
  • 2時間目の展開は、よいモデルを見せて、会話の運び方やお礼の仕方、問題処理の仕方等の社会的技能を練習するソーシャルスキルトレーニングの手法をとっている。
  • 2時間目の展開は、コミュニケーションスキルの訓練を基本とし、生徒同士が互いに支援し合う関係を作るスキルを段階的に育む、ピア・サポートの手法をとっている。
  • 2時間目の展開は、自己表現に課題のある生徒に対し、相手に配慮した表現方法を工夫するよう指導し訓練を重ねる、アサーショントレーニングの手法をとっている。
  • 2時間目の展開は、集団活動における対立場面で生じた否定的感情をコントロールする、アンガーマネジメントの手法をとっている。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解はです。


1.正しいです。

 生徒指導提要では、グループエンカウンターは、「グループ体験を通しながら他者に出会い、自分に出会う」と紹介しています。

 構成的グループエンカウンターの手法は、リーダーの指示した課題をグループで行い,本音を率直に語り合うことを通して,自己の理解、他者の理解、豊かな人間関係づくりを促すものです。

 表からは、教師がリーダーとなり取り組む内容を決定し、指導上の留意点から教師が介入し軌道修正していくことが読み取れます。(「真剣な気持ちで取り組むよう~」「どうしても書けないときは~」「自分の気持ちを正直に~」)


2.ソーシャルスキルトレーニングは、生徒指導提要では「様々な社会的技能をトレーニングにより、育てる方法」とあります。

 選択肢の文中にある「よいモデルを見せて」実際に練習してみることによって、対人関係や集団行動を上手に営んでいくための技能を訓練する手法です。

 ですが、2時間目の展開からは「よいモデルを見せて」という部分は見られませんし、「会話の運び方やお礼の仕方、問題処理の仕方」を訓練してるわけでもないので、適切な説明ではないといえます。


3.ピア・サポートは、生徒指導提要では「児童生徒の社会的スキルを段階的に育て、児童生徒同士が互いに支えあう関係を作るためのプログラム」とあります。

 日本ピア・サポート学会では「教師の指導・援助のもとに,子どもたちがお互いに思いやり,助け合い,支え合う人間関係を育むために行う学習活動」と定義しています。

 この選択肢の文中にも「生徒同士が互いに支援し合う関係を作るスキルを段階的に育む」とあるように、ピア・サポートの目的が生徒同士が互いに支え合う関係を作ることであることを考慮すると、2時間目の展開では、その目的の達成を目指すものではないため、適切な説明ではないといえます。


4.アサーショントレーニングは、生徒指導提要では「対人場面で自分の伝えたいことをしっかり伝えるためのトレーニング」とあります。

 2時間目の展開では、「自分の気持ちを正直に表現するように指示する」とあるものの、選択肢の文中の「相手に配慮した表現方法を工夫するよう指導し訓練を重ねる」という部分は見られないので、適切な説明ではないといえます。


5.アンガーマネジメントは、生徒指導提要では「自分の中に生じた怒りの対処法を段階的に学ぶ方法」とあります。

 2時間目の展開では、怒りについて何も触れられていませんので、適切な説明ではないといえます。

参考になった数5

02

正答は1です。

1:構成的グループエンカウンターは、ロジャーズが始めたエンカウンターグループを、学校のような場面でも活用できるように、國分康孝が再構成した心理療法です。
リーダーの指示した課題をグループで行い、そのときの気持ちを率直に語り合うことを通して、徐々にエンカウンター体験を深めていくものです。
2時間目の展開部分では、教師がリーダーとして学習活動を進めているため、1は正解です。

2:ソーシャルスキルトレーニングは、ロバート・ポール・リバーマンが考案した心理社会的療法です。
困難を抱える状況の総体をソーシャルスキル(社会技能)と呼ばれるコミュニケーション技術の側面からとらえ、そのような技術を向上させることによって困難さを解決しようとする技法です。
2時間目の展開部分では、ソーシャルスキルトレーニングの技法を活用していないため、2は誤りです。

3:ピア・サポートとは、同じ問題を抱える者(学校では児童生徒同士)が集まり、それぞれの状況での自分の体験や行動、考えなどを披露し、互いに語り合うことにより支え合うことです。
ピアは、仲間という意味を有しており、仲間同士が相互に体験や感情を共有し支援し合う精神的支援活動を主体とするものであり、それによって問題解決の方策を見つけ出そうとするものです。
2時間目の展開部分では、ピア・サポートの技法を活用していないため、3は誤りです。

4:アサーショントレーニングは、主張訓練法とも呼ばれています。他者の欲求だけを尊重するのではなく、それと同じ程度に自分の欲求や考えも尊重し、相手に自分の思いを的確に伝え、自己主張できるようにするためのトレーニングです。
2時間目の展開部分では、アサーショントレーニングの技法を活用していないため、4は誤りです。

5:アンガーマネジメントは、怒りの感情と上手に付き合うための心理教育、心理トレーニングです。
2時間目の展開部分では、アンガーマネジメントの技法を活用していないため、5は誤りです。

参考になった数1

03

正答は1です。

1:構成的グループエンカウンターは、ロジャーズが始めたエンカウンターグループの影響を受け、國分康孝が広めた教育技法です。
リーダーの指示した課題をグループで行い、気持ちを率直に語り合うことで、自己発見による行動の変容と人間的な自己成長をとおして、本音の交流や感情交流ができる親密な人間関係づくりを援助することをねらいとしています。

2時間目の展開部分では、教師がリーダーとなり生徒同士の人間間係を深めるねらいでグループ活動を進めているため、1は正答です。

2:ソーシャルスキルトレーニングは、ロバート・ポール・リバーマンが考案した心理社会的療法です。
対人関係や集団行動を上手に営む際に、相手に適切に反応するために用いられる言語的・非言語的な対人行動を習得する練習を意味します。
2時間目の展開部分にソーシャルスキルトレーニングによる活動は含まれていないため、2は誤りです。

3:ピア・サポートは、一般的に「同じような立場の人による支援」という意味で知られています。
ピアは「仲間」、サポートは「支援」を意味しており、人と協力すること、話し合い、考えを形にすることを重視しています。
教育現場においては、コミュニケーション力育成のため、相手の立場を考え共感する能力を身につけることが必要となります。
2時間目の展開部分では、ピア・サポートの活動は含まれないため、3は誤りです。

4:アサーション(自己表現)トレーニングとは、自分・相手のどちらも大切にした自己表現を身につけていくためのトレーニングです。自分の気持ちや考えをその場にふさわしい方法で自己主張できるコミュニケーション能力の育成を目指しています。
2時間目の展開部分では、アサーショントレーニングによる活動は含まれないため、4は誤りです。

5:アンガーマネジメントとは、怒りのような成業しづらい感情を自分の中で整理し、その状況を客観的に見ることで、制御しがたい気持ちが生じても適切にコントロールし、問題解決を図るためのトレーニングです。
2時間目の展開部分では、アンガーマネジメントによる活動は含まれていないため、5は誤りです。

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