公立学校教員の過去問
平成30年度(H31年度採用)
小学校に関する問題 問25
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問題
公立学校教員採用選考試験(教職教養) 平成30年度(H31年度採用) 小学校に関する問題 問25 (訂正依頼・報告はこちら)
小学校におけるキャリア教育に関する記述として「小学校キャリア教育の手引き<改訂版>」(文部科学省平成23年5月)に照らして適切なものは、次の1~5のうちのどれか。
- 小学校におけるキャリア教育の段階は、「現実的探索と暫定的選択の時期」として、児童一人一人の発達に応じて、人、社会、自然、文化と関わる体験活動を、身近なところから徐々に広げていき、丁寧に設定していくことが重要である。
- キャリア教育における「基礎的・汎用的能力」は、低学年から高学年までの児童の発達段階に応じて、まず「自己理解・自己管理能力」を育成し、その後、順番に「人間関係形成・社会形成能力」、「課題対応能力」、「キャリアプランニング能力」と育成していくこととされている。
- 低学年の時期は、様々な体験活動の中でできるようになったことを増やし、自信をもたせて活動する楽しさを味わわせるために、各学校でキャリア発達課題を設定する際には、「自分の好きなことを見付けて伸び伸びと活動する。」を課題の一つとしなければならない。
- 中学年は、「自分の持ち味を発揮し、役割を自覚する」がキャリア発達について理解しておくべき視点の一つとして示されており、勤労観·職業観の形成を促すことが重要であるため、教師が児童に対して、正しいとされる勤労観・職業観の指導を徹底しなければならない。
- 高学年の時期は、「集団の中で自己を生かす」などのキャリア発達について理解しておくべき視点を踏まえ、苦手なことや初めて挑戦することに失敗を恐れず取り組み、そのことが集団の中で役立つ喜びや自分への自信につながるようにすることが大切である。
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は5です。
1.誤りです。
第1章第1節3「キャリア教育の目標」によると、「特に小学校は,低学年,中学年,高学年と成長が著しく,社会的自立・職業的自立に向けて,その基盤を形成する重要な時期である」ことから、「進路の探索・選択にかかる基盤形成の時期」としています。
したがって、記述は誤りです。「現実的探索と暫定的選択の時期」は中学校におけるキャリア教育の段階です。
2.誤りです。
第1章第1節2「キャリア教育の定義」によると、「基礎的・汎用的能力」は,「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」の4つの能力によって構成されるものです。
中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」では、この4つの能力は「特に順序があるものではなく,また,これらの能力をすべての者が同じ程度あるいは均一に身に付けることを求めるものではない」としています。
したがって、順序を定めているというのは誤りです。
3.誤りです。
第3章第1節1「各学年団におけるキャリア発達のとらえ方」によると、「低学年では①小学校生活に適応する,②身の回りの事象への関心を高める,③自分の好きなことを見付けて伸び伸びと活動する,が挙げられている。あくまでも主な発達課題としてとらえて参考にするとともに,児童や地域の実態に応じて各学校ごとに設定することが望ましい。」としています。
これらはあくまでも参考ですので、【課題の一つとしなければならない】という記述は誤りです。
4.誤りです。
第1章第1節2(4)「今後のキャリア教育における勤労観・職業観の位置付け」によると、
「勤労観・職業観の形成を支援していく上で重要なのは,一律に正しいとされる『勤労観・職業観』を教え込むことではなく,児童一人一人が働く意義や目的を探究して,自分なりの勤労観・職業観を形成・確立していく過程への指導・援助をどのように行うかである。」としています。
したがって、【正しいとされる勤労観・職業観の指導を徹底しなければならない】という記述は誤りです。
5.正しいです。
第4章「各学年段階におけるキャリア教育」の高学年の部分に書かれている内容と合致しています。
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02
以下、「小学校キャリア教育の手引き<改訂版>」(文部科学省平成23年5月)を引用しながら解説します。
1:手引きによると、小学校におけるキャリア教育の段階は、「進路の探索・選択にかかる基盤形成の時期」と記載されています。
問題文の「現実的探索と暫定的選択の時期」は、中学校におけるキャリア教育の段階を指しますので、1は誤りです。
2:手引きによると、「基礎的・汎用的能力」は
以下の4つの能力で構成されています。
①人間関係形成・社会形成能力
②自己理解・自己管理能力
③課題対応能力
④キャリアプランニング能力
これらの4つの能力は、それぞれが独立せず相互に関連・依存した関係にあるため、特に順序があるものではないという旨が記載されています。
4つの能力は段階的に習得されるものではないため、2は誤りです。
3:手引きによると、「各学校でキャリア発達課題を設定する際には、児童や地域の実態に応じて次に挙げるような点に配慮し、各学校の現状に合ったキャリア発達の課題を設定すること」が重要であると記載されています。
小学校低学年におけるキャリア発達課題として、
①小学校生活に適応する
②身のまわりの事象への関心を高める
③自分の好きなことを見つけて伸び伸びと活動する
といった課題が設定されているものの、必ずしもこれらを課題の一つとして設定する必要はなく、各学校の状況に応じた課題を設定することが重要ですので、3は誤りです。
4:手引きによると、「勤労観・職業観の形成を支援していく上で重要なのは、一律に正しいとされる『勤労観・職業観』を教え込むことではなく、児童一人一人が働く意義や目的を探求して、自分なりの勤労観・職業観を形成・確立していく過程への指導・援助をどのように行うかである」と示されています。
教師が正しいとされる「勤労観・職業観」を教え込むのではなく、児童が自分なりの勤労観・職業観を確立する過程を重視しているため、4は誤りです。
5:手引きの内容に合致するため、5は正答です。
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03
1:手引きには、小学校におけるキャリア教育の段階は、「進路の探索・選択にかかる基盤形成の時期」と示されています。
「現実的探索と暫定的選択の時期」は中学校におけるキャリア教育の段階であるため、1は誤りです。
2:手引きには、「『基礎的・汎用的能力』は、『人間関係形成・社会形成能力』、『自己理解・自己管理能力』、『課題対応能力』、『キャリアプランニング能力』の4つの能力によって構成される。これらの能力は、包括的な能力概念であり、必要な要素をできる限り分かりやすく提示するという観点でまとめたものである。この4つの能力は、それぞれが独立したものではなく、相互に関連・依存した関係にある。このため、特に順序があるものではなく、また、これらの能力をすべて同じ者が同じ程度あるいは均一に身に付けることを求めるものではない」と示されています。
4つの能力を段階ごとに習得していくわけではないため、2は誤りです。
3:手引きには、「各学校でキャリア発達課題を設定する際には、児童や地域の実態に応じて次に挙げるような点に配慮し、各学校の現状に合ったキャリア発達の課題を設定すること」が重要であると示されています。
小学校低学年におけるキャリア発達課題として、①小学校生活に適応する、②身のまわりの事象への関心を高める、③自分の好きなことを見つけて伸び伸びと活動する、といった課題が設定されていますが、必ずしもこれらを課題の一つとしなければならないわけではなく、上記で述べたように各学校の現状に合った課題を設定することが重要であるため、3は誤りです。
4:手引きには、「勤労観・職業観の形成を支援していく上で重要なのは、一律に正しいとされる『勤労観・職業観』を教え込むことではなく、児童一人一人が働く意義や目的を探求して、自分なりの勤労観・職業観を形成・確立していく過程への指導・援助をどのように行うかである」と示されています。
一律に正しいとされる「勤労観・職業観」を教え込むことは適切ではないと述べられているため、4は誤りです。
5:手引きにそのように示されているため、5は正解です。
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