公立学校教員の過去問
令和5年度(R6年度採用)
共通問題 問11

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この過去問の解説 (3件)

01

設問に関連した主な人物の教育思想についてみておきましょう。

 

 

●モンテッソーリ:保育施設である子どもの家で感覚教育を実践した。また、子供の自発的活動を可能にする環境整備を重視し、感覚訓練のための教具を考案した。

 

教具の形、大きさは無論、手触り、重さ、材質にまでこだわり、子供たちの繊細な五感をやわらかく刺激するよう配慮がなされている。

 

*教具を通し、暗記でなく経験に基づいて質量や数量の感覚を養うことと、同時に教具を通して感じ取れる形容詞などの言語教育も組み込まれている。

 

教育思想の基本

・子どもは生まれながらにして自己教育力を持っており、適切な環境でその力を発揮できるようにすることが重要。

 

物的環境と人的環境を整え、子どもの自発的な活動を促す。

 

モンテッソーリ教育の特徴

自主性を重視:大人が指導するのではなく、子ども自身が興味を持ったことを選んで取り組む。

 

・縦割り保育:異年齢混合のクラスで学び合い、自己肯定感を高める。

 

・おしごと:日々の活動を大人が見守りながら行う。

 

モンテッソーリ教育の目的

自立していて有能責任感と他人への思いやりを持った人間を育てること。

 

敏感期に能力を伸ばし、整えられた環境で過ごすことを重視。

(Bing等参照)

 

 

 

●ヘルバルト:教育目的として道徳的品性の陶冶をあげた。また、教育作用を、管理、教授、訓練の3部門に分けたが、教育的教授を重視した。

 

*道徳的品性の陶冶とは、児童の道徳の心と知性育てる教育の確立を提唱します。

そして、彼の教育の目的である、道徳的品性を得るための教育体系には、管理と教授と訓練を利用した教育の形を実現することが必要である、と考えました。

 

管理 → 教育を行う環境や状況を作って、よく管理すること。遅刻をしないなど。

 教授 → 先生が教科書などで児童に知識を与えたり感性への刺激を行うこと。

      いわゆる一斉黒板授業。

 訓練 → 教師が児童に語ったり接することで、児童に教材を使わずに教育を行うこと。道徳の時間など。(だからこそ、教師は教師としての資質をヘルバルトは求めている。)

で、これがともに存在していて、ともに作用する関係性が必要としました。(Hatena blog参照)

 

 

●フレーベル世界初の幼稚園を創設した。また、幼児用の教育的遊具として球体や立方体といった形からなる恩物と呼ばれる遊具を考案した。

 

*1837年に「一般ドイツ幼稚園」が創設され、これが世界初の幼稚園となりました。

 

*フレーベルの教育思想は、「子どもを神的な存在として捉えること」「子どもを遊びを通して学べる環境づくり」に表れています。

 

*フレーベル幼稚園には、子どもが遊びながら様々な事を学んでいける遊具恩物、ドイツ語でガーベ:神からの贈物)が用意されています。

 

*フレーベル教育で行われているのは、自然との触れ合い、恩物、歌

 

恩物は20種類あり、そのうちの10種類は幾何学につながる玩具で、今でいう積み木です。

フレーベルの積み木は、円柱、立方体、三角柱、直方体など様々な形が正確に計算されて作られています。

(知育と幼児教育の情報サイト ちいくる参照)

 

 

●デューイプラグマティズムの思想をもつ哲学者であり、進歩主義教育を実践した。また、シカゴ大学附属小学校として実験学校を開設した。

 

プラグマティズムは、日本語では「実用主義」。経験や実践を重視し、知識というのは経験から生まれると考えます。また、理論も経験を振り返ることで生まれると考えます。人々の行為や実践のプロセスや、その結果から理解しようとします。

 

*学習を結果重視ではなく、学びにおける経験を重視。

 

民主主義は「政治の一形態」ではなく、協同的な生き方で、共同生活の一つの様式である。

 

教育は連続的な成長のプロセスであると考えている。また行動のみならず内省も重視している。

 

*学校は民主主義の性質をもった小さな社会として機能すべきと考え、その中で学習者が協働する力や、現状を改善する力を養うべきと考えた。

(旅する応用言語学のサイト参照)

 

 

●ペスタロッチ:ゲルトルート児童教育法で直観教授の理論を明らかにした。また、直観の三要素として数、形、語を取り上げた。

 

直観は「数」、「形」、「語」の3つ(=「直観のABC」)で構成されるとし、これらを基礎に教育を行うことが重要

 

言葉だけで教えるのではなく、実物を見て、触れて学ぶことでより理解が深まる。知識は座学で学ぶだけではなく、「五感を使って感覚的に学ぶことで身につく」と提唱

 

*直感教授を行うことで知的教育・身体的教育・道徳教育の根本力が養われる

(Chiikのサイト https://chiik.jp/pestalozzi/ 参照)

選択肢1. 保育施設である子どもの家で感覚教育を実践した。また、子供の自発的活動を可能にする環境整備を重視し、感覚訓練のための教具を考案した。

適切です。

 

モンテッソーリの教育思想で、キーワードは「感覚教育」「教具」です。

選択肢2. 教育目的として道徳的品性の陶冶をあげた。また、教育作用を、管理、教授、訓練の3部門に分けたが、教育的教授を重視した。

不適切です。

 

ヘルバルトの教育思想で、キーワードは道徳的品性の陶冶」「管理、教授、訓練」「教育的教授を重視」です。

選択肢3. 世界初の幼稚園を創設した。また、幼児用の教育的遊具として球体や立方体といった形からなる恩物と呼ばれる遊具を考案した。

不適切です。

 

フレーベルの教育思想で、キーワードは世界初の幼稚園を創設」「恩物」です。

選択肢4. プラグマティズムの思想をもつ哲学者であり、進歩主義教育を実践した。また、シカゴ大学附属小学校として実験学校を開設した。

不適切です。

 

デューイの教育思想で、キーワードは「プラグマティズム」「進歩主義教育」「実験学校」です。

選択肢5. ゲルトルート児童教育法で直観教授の理論を明らかにした。また、直観の三要素として数、形、語を取り上げた。

不適切です。

 

ペスタロッチの教育思想で、キーワードは「直観教授」「数、形、語」です。

まとめ

主な人物の教育思想について内容を整理し、理解に努めましょう。

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02

モンテッソーリ(伊 1870~1952)

 子どもの自由と自然な活動を重視した人物。

 ・ローマの貧民街に「子どもの家」を開設。

 ・モンテッソーリ・メソッド・・・障害児の感覚・知育訓練のための「モンテッソーリ教具」を開発。

選択肢1. 保育施設である子どもの家で感覚教育を実践した。また、子供の自発的活動を可能にする環境整備を重視し、感覚訓練のための教具を考案した。

正解です。

保育施設である子どもの家で感覚教育を実践した。また、子供の自発的活動を可能にする環境整備を重視し、感覚訓練のための教具を考案した。

選択肢2. 教育目的として道徳的品性の陶冶をあげた。また、教育作用を、管理、教授、訓練の3部門に分けたが、教育的教授を重視した。

不正解です。

 

ヘルバルト

教育目的として道徳的品性の陶冶をあげた。また、教育作用を、管理、教授、訓練の3部門に分けたが、教育的教授を重視した。

選択肢3. 世界初の幼稚園を創設した。また、幼児用の教育的遊具として球体や立方体といった形からなる恩物と呼ばれる遊具を考案した。

不正解です。

 

フレーベル

世界初の幼稚園を創設した。また、幼児用の教育的遊具として球体や立方体といった形からなる恩物と呼ばれる遊具を考案した。

選択肢4. プラグマティズムの思想をもつ哲学者であり、進歩主義教育を実践した。また、シカゴ大学附属小学校として実験学校を開設した。

不正解です。

 

デューイ

プラグマティズムの思想をもつ哲学者であり、進歩主義教育を実践した。また、シカゴ大学附属小学校として実験学校を開設した。

選択肢5. ゲルトルート児童教育法で直観教授の理論を明らかにした。また、直観の三要素として数、形、語を取り上げた。

不正解です。

 

ペスタロッチ

ゲルトルート児童教育法で直観教授の理論を明らかにした。また、直観の三要素として数、形、語を取り上げた。

まとめ

人物はキーワードからすぐにわかるようにしましょう・

 

モンテッソーリ・・・子どもの家。障害児、知育

 

ヘルバルト・・・4段階教授(明瞭ー連合ー系統ー方法)、『一般教育学』

 

フレーベル・・・世界初の幼稚園、恩物、『人間の教育』

 

デューイ・・・問題解決学習、シカゴ大学に附属小学校、実験学校、『民主主義と教育』、『学校と社会』

 

ペスタロッチ・・・直観教授、孤児院、新人文主義、『隠者の夕暮れ』

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03

保育施設である子どもの家で感覚教育を実践した。また、子供の自発的活動を可能にする環境整備を重視し、感覚訓練のための教具を考案したのはモンテッソーリです。

教育目的として道徳的品性の陶冶をあげ、教育作用を、管理、教授、訓練の3部門に分けたのは、ヘルバルトです。

世界初の幼稚園を創設したのは、フレーベルです。

プラグマティズムの思想をもつ哲学者はジェームズです。

ゲルトルート児童教育法で直観教授の理論を明らかにしたのはペスタロッチです。

選択肢1. 保育施設である子どもの家で感覚教育を実践した。また、子供の自発的活動を可能にする環境整備を重視し、感覚訓練のための教具を考案した。

モンテッソーリ教育は5つの分野があり、「感覚教育」はその中の1つになります。

また、モンテッソーリの考案した感覚教具は、「科学的教具」と呼ばれています。

保育施設である子どもの家で感覚教育を実践し、子供の自発的活動を可能にする環境整備を重視し、感覚訓練のための教具を考案しているので、

選択肢1は正解です。

選択肢2. 教育目的として道徳的品性の陶冶をあげた。また、教育作用を、管理、教授、訓練の3部門に分けたが、教育的教授を重視した。

教育目的として道徳的品性の陶冶をあげた。また、教育作用を、管理、教授、訓練の3部門に分けたのは、ヘルバルトであるため、

選択肢2は間違いです。

選択肢3. 世界初の幼稚園を創設した。また、幼児用の教育的遊具として球体や立方体といった形からなる恩物と呼ばれる遊具を考案した。

世界初の幼稚園を創設したのは、フレーベルであるため、

選択肢3は間違いです。

選択肢4. プラグマティズムの思想をもつ哲学者であり、進歩主義教育を実践した。また、シカゴ大学附属小学校として実験学校を開設した。

プラグマティズムの思想をもつ哲学者はジェームズであるため、

選択肢4は間違いです。

選択肢5. ゲルトルート児童教育法で直観教授の理論を明らかにした。また、直観の三要素として数、形、語を取り上げた。

ゲルトルート児童教育法で直観教授の理論を明らかにしたのはペスタロッチであるため、

選択肢5は間違いです。

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