看護師の過去問
第112回
午後 問112

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問題

看護師国家試験 第112回 午後 問112 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み問いに答えよ。
Aさん(80歳、女性)は発熱があり、呼吸状態が悪いため、外来を受診し肺炎(pneumonia)と診断され緊急入院となった。
入院時、病室でAさんは「ここはどこ」と話し混乱した様子であった。湿性の咳嗽があり、口唇の乾燥が著明である。同居の夫からの情報では、1週前から食事は摂れていたが、水分摂取量が減っていた。3日前から寝て過ごしていたが、トイレには自分で行くことができていた。身の回りのことは自立している。入院後に点滴静脈内注射1,500mL/日の指示があり、抗菌薬が開始された。

身体所見:身長152cm、体重45kg、体温38.0℃、呼吸数32/分、脈拍120/分、整、血圧107/80mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>93%(room air)。ジャパン・コーマ・スケール<JCS>Ⅰ−2。
検査所見:赤血球447万/μL、Hb12.5g/dL、白血球16,600/μL、総蛋白6.2g/dL、アルブミン4.0g/dL、血糖98mg/dL、Na151mEq/L、K4.0mEq/L、Cl97mEq/L、Ca8.7mg/dL、CRP23.0mg/dL。

Aさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。2つ選べ。
  • 脱水
  • 貧血
  • 低栄養
  • 視空間失認
  • 電解質異常

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この過去問の解説 (2件)

01

Aさんの身体所見と検査所見から正常・異常値を読み解き、Aさんの状態をアセスメントしましょう。

選択肢1. 脱水

○:正しい

体温38.0℃、口唇の乾燥が著明、水分摂取量が減っていたという情報から、脱水と考えられます。

選択肢2. 貧血

×:誤り

AさんはHb12.5g/dLであり、Hb:11.0g/dL以上のため貧血ではありません。

選択肢3. 低栄養

×:誤り

アルブミン:4.0g/dL、1週前から食事は摂れていたという情報から、低栄養状態ではありません。

アルブミン:3.5g/dL以下で低栄養と判断されます。

選択肢4. 視空間失認

×:誤り

視空間失認は高次機能障害の一つで認知症でよくみられる症状であり、空間における物の位置関係が認識できなくなる症状です。JCSⅠ−2ですが、認知症ではないため誤りです。

選択肢5. 電解質異常

○:正しい

NaとClの基準値はNa:137~145mEq/L、Cl:98~108mEq/Lです。

Aさんの検査所見からNa:151mEq/L、Cl:97mEq/Lであり、脱水に伴う電解質異常を起こしていると考えられます。

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02

この問題のポイントは、以下の通りです。

口唇の乾燥が著明であることと、1週前から食事は摂れていたが、水分摂取量が減っていたことです。また、検査データを読み解くことが必要になります。

では、問題を見てみましょう。

選択肢1. 脱水

Aさんは発熱があり、口唇の乾燥が著明です。発熱すると、発汗が増え、水分を失いやすくなります。また、1週前から水分摂取量が減っていたという情報があります。

よって、Aさんは脱水と考えられます。

選択肢2. 貧血

貧血の診断は、見られる血液データはヘモグロビン(Hb)、赤血球数(RBC)、ヘマトクリット(Hct)です。特にHbを重視してみます。

Hbが男性で14g/dL以下、女性で12g/dL以下、高齢者では11g/dL以下で貧血と診断されます。

Aさんの場合、Hb12.5g/dLのため貧血とは考えにくいです。

選択肢3. 低栄養

低栄養では、十分な栄養素を摂取できず、体内のタンパク質合成が不足するため、アルブミンの血中濃度が低下します。アルブミン3.5g/dL以下で、低栄養と診断されます。

Aさんは4.0g/dLであり、食事は摂れていたことから低栄養とは考えにくいです。

選択肢4. 視空間失認

視空間失認とは、視覚的な情報を正確に処理する能力に障害があり、特定の視野や空間領域を無視してしまうことです。

Aさんの場合、トイレには自分で行くことができており、身の回りのことは自立していたことから、視空間失認とは考えにくいです。

選択肢5. 電解質異常

電解質異常は、体内の電解質(主にナトリウム、カリウム、カルシウム、クロールなどのイオン)の濃度が正常から逸脱している状態です。

Aさんは、Na151(基準値135~145)mEq/L、K4.0(基準値3.5~5.0)mEq/L、Cl97(基準値98~108)mEq/L、Ca8.7(基準値 8.6~10.2)mg/dLとなっており、NaとClが基準値から逸脱しています。また、水分摂取量が減っていたことから電解質異常が考えられます。

まとめ

この問題は、検査データの基準値と異常値を理解し、逸脱した場合どのような症状が出現するのか知っておくと解きやすくなります。

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