看護師の過去問
第113回
午後 問92

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問題

看護師国家試験 第113回 午後 問92 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。
Aさん(58歳、男性、会社員)は、身長175cm、体重73kgである。Aさんは、健康診断の胸部エックス線撮影で異常陰影を指摘され、3週前に胸部造影CT検査を受けた。左肺下葉に約8mmの病変が見つかり、精密検査の結果、肺癌(lung cancer)(T1N0M0)と診断され、本日、手術目的で入院した。咳嗽、息苦しさ、喀痰はない。喫煙歴があり、20年間20本/日、禁煙後18年である。
バイタルサイン:体温 36.9℃、呼吸数 14/分、脈拍 72/分、整、血圧 136/76mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度 <SpO2>96%(room air)。
検査所見:赤血球 510万/μL、Hb 15.6g/dL、Ht 47%、白血球 6,200/μL、血小板 32万/μL、総蛋白 7.7g/dL、アルブミン 4.2g/dL、空腹時血糖 102mg/dL。
Aさんは、入院2日目に胸腔鏡下左下葉切除術を受ける予定である。Aさんは看護師に「全身麻酔で手術を受けるのは初めてです。医師から手術の説明はあったけれど、合併症についてもう一度教えてもらえますか」と質問した。
Aさんに生じる可能性が高い合併症はどれか。
  • 気胸(pneumothorax)
  • 反回神経麻痺
  • Horner<ホルネル>症候群(Hornerʼs syndrome)
  • Pancoast<パンコースト>症候群(Pancoastʼs syndrome)

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この過去問の解説 (1件)

01

Aさんに生じる可能性が高い合併症は「気胸(pneumothorax)」です。

胸腔鏡下で肺の一部を切除する手術を行う際に、気胸が発生するリスクがあるためです。

 

選択肢1. 気胸(pneumothorax)

気胸は、胸腔内に空気が漏れ出すことで肺がしぼむ状態です。

胸腔鏡下の肺切除術では、切開や操作に伴い気胸が発生するリスクがあります。

術後も胸腔内ドレーンを用いて空気の排出を管理し、気胸の合併症を防止・対応することが一般的です。

したがって、気胸は合併症として特に注意が必要です。

 

選択肢2. 反回神経麻痺

反回神経麻痺は、声帯を動かす反回神経が損傷されることで起こり、声がかすれたり、飲み込みにくくなったりする症状です。

肺がん手術で発生することもありますが、主に縦隔や気管に近い部位の手術でリスクが高まります。

Aさんの場合は左下葉の手術であり、反回神経麻痺のリスクは低いと考えられます。

 

選択肢3. Horner<ホルネル>症候群(Hornerʼs syndrome)

Horner症候群は、顔面の片側で眼瞼下垂(まぶたが垂れる)、縮瞳(瞳が小さくなる)、発汗低下などの症状が現れる神経の障害です。

肺がんの手術で稀に発生することがありますが、上葉に近い部位での手術が原因となりやすいです。

Aさんの場合は左下葉の手術であるため、Horner症候群のリスクは高くありません。

 

選択肢4. Pancoast<パンコースト>症候群(Pancoastʼs syndrome)

Pancoast症候群は、肺尖部にできた腫瘍によって腕神経叢や交感神経が圧迫されることによって生じ、肩や腕の痛み、麻痺などを引き起こす症状です。

通常、肺の上部(肺尖部)に位置する腫瘍によって引き起こされるため、Aさんのような左下葉の病変では関連しません。

 

まとめ

Aさんの胸腔鏡下左下葉切除術において発生する可能性が高い合併症は「気胸」です。

胸腔鏡手術では、胸腔内への空気漏れが原因となる気胸に特に注意が必要です。

他の選択肢は、Aさんの手術部位や腫瘍の位置から考えるとリスクが低いといえます。

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