社会保険労務士の過去問
第45回(平成25年度)
社労士 | 社会保険労務士試験 択一式 問2
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問題
社労士試験 第45回(平成25年度) 択一式 問2 (訂正依頼・報告はこちら)
労働組合等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 日本の労働組合の最大の特徴は、労働組合が企業別に組織されているいわゆる企業別組合である点にあり、使用者は、労働者の労働条件の変更を行う場合には、まず企業内の多数労働組合と団体交渉を行う義務を負う。
- プロ野球選手、プロサッカー選手等のスポーツ選手は、労働組合法上の労働者に当たらないため、これらのプロスポーツ選手が労働組合を作っても、団体交渉を行う権利は認められない。
- 使用者が組合員の賃金から組合費を控除しそれを労働組合に引き渡す旨の、労働組合と使用者との間の協定(いわゆるチェック・オフ協定)は、それに反対する組合員にチェック・オフを受忍する義務を負わせるものではなく、組合員はいつでも使用者にチェック・オフの中止を申し入れることができるとするのが、最高裁判所の判例である。
- 労働組合が、総選挙に際し特定の立候補者支援のためにその所属政党に寄付する資金を集める目的で組合員にその費用を負担することを強制することは、労働組合の連帯の昂揚や存立基盤の確立のために必要不可欠なものであり、組合自治の原則に基づいて許されるとするのが、最高裁判所の判例である。
- 労働組合の目的は、賃金等の労働条件を維持改善し労働者の経済的地位の向上を図ることにあるから、いわゆるセクシャル・ハラスメントやパワー・ハラスメントなどを予防するための職場環境の整備は、いわゆる義務的団体交渉事項に含まれない。
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この過去問の解説 (3件)
01
1 間違っています。
企業内に労働組合が複数存在する場合には、使用者は、中立保持義務を負うのであって、多数労働組合と団体交渉を行う義務を負うとするのは間違っています。
日産自動車事件最高裁判決(第三小法廷昭和60年4月23日)の判示しているところです。
2 間違っています。
労働組合法は、「「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者をいう。 」と定めており、職業(プロスポ-ツ)は、労働者の定義の基準とはなりません。プロ野球の選手が加入する「労働組合プロ野球選手会」は、1985年、当時の東京都労委によって労働組合として資格認定されています。
現在では、 労使関係法研究会報告書「労働組合法上の労働者性の判断基準について)」(2011年7月25日)が示した三要素①事業組織への組み入れ、②契約内容の一方的・定型的決定、③報酬の労務対価性、それに加えて補充的判断要素④業務の依頼に応ずべき関係、⑤広い意味での指揮監督下の労務提供・一定の時間的場所的拘束という判断基準を中心として労働者性を判断することが多い。
3 正しい内容です。
最高裁は、エッソ石油事件判決(第一小法廷平成5年3月25日)で、「使用者と労働組合との間にいわゆるチェック・オフ協定が締結されている場合であっても、使用者が有効なチェック・オフを行うためには、賃金から控除した組合費相当分を労働組合に支払うことにつき個々の組合員から委任を受けることが必要である。」と判示しています。
4 間違っています。
最高裁は、国労広島地本事件判決(第三小法廷昭和50年11月28日で、「 公職選挙に際し、労働組合が特定の立候補者の選挙運動支援のためその所属政党に寄付する資金として徴収する臨時組合費については、組合員はこれを納付する義務を負わない。」と判示しています。
5 間違っています。
いわゆるセクハラやマタハラは、職場環境配慮義務として法的にも確認されているところで、労働条件に直接的に関連するものですから、義務的団体交渉義務に含まれます。
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02
1.誤「まず企業内の多数労働組合と団体交渉を行う義務を負う」
正「必ずしも優先して企業内の多数労働組合と団体交渉を行う義務はない」
最高裁昭和60年4月23日の判決 (日産自動車事件)より、使用者は各組合に対して中立的態度が求められるとしており、選択肢のような企業内の多数労働組合と団体交渉を行う義務などないことに気をつけましょう。
2.誤「労働組合法上の労働者に当たらない」
正「労働組合法上の労働者に当たる」
誤「労働組合を作っても、団体交渉を行う権利は認められない」
正「労働組合を作った場合、団体交渉を行う権利は認められる」
労働組合法(以下「法」と略します)3条では、労働組合法の労働者を幅広く定義しています。
東京高裁平成16年9月8日の決定(日本プロフェッショナル野球組織団交事件)では、労働組合としての認定を受けた日本プロ野球選手会が、日本プロフェッショナル野球組織に対して団体交渉権を持つとされた点をおさえましょう。
プロスポーツ選手も労働組合法上の労働者にあたり、労働組合を作った場合に団体交渉権が認められると解釈できます。
3.この最高裁判所の判例とは、最高裁平成5年3月25日の判決(エッソ石油事件)によります。
4.誤「労働組合の…許される」
正「許されない」
最高裁昭和50年11月28日の判決(国労広島地本事件)においては、組合員に政党寄付のための負担を強制することは許されるものとはしていないことに気をつけましょう。
5.誤「含まれない」
正「含まれる」
滋賀県労働委員会平成17年4月1日の命令(日本製箔事件)によれば、経営者が団体交渉を拒否できない義務的団体交渉事項には、セクハラ・パワハラを予防するための職場環境の整備も含まれていると解釈できます。
拒否した場合は法7条2号に該当し、不当労働行為となることに気をつけましょう。
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03
1.誤り
必ずしも企業内の多数労働組合と団体交渉を行わなければならないわけではありません。
2.誤り
プロのスポーツ選手が労働組合を作った場合にも労働組合となるため、団体交渉の権利が認められます。
3.正しい
最高裁判例(エッソ石油事件)より、チェックオフに関する規定について、設問の通りに規定されています。
4.誤り
最高裁判例の判決では、組合員へ政党寄付のための資金負担を強要することは許されないと出ています。
5.誤り
設問の内容についても「義務的団体交渉事項に含まれる」と解されています。
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