社会保険労務士の過去問
第45回(平成25年度)
社労士 | 社会保険労務士試験 択一式 問4
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問題
社労士試験 第45回(平成25年度) 択一式 問4 (訂正依頼・報告はこちら)
わが国の高齢者問題に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問は、「平成24年版高齢社会白書(内閣府)」を参照しており、当該白書または当該白書が引用している調査による用語及び統計等を利用している。
- 60歳以上の高齢者の暮らし向きについてみると、「心配ない」(「まったく心配ない」と「それほど心配ない」の計)と感じている人の割合は全体で半数程度にとどまっている。
- 日常生活に制限のない期間(健康寿命)は、2001年から2010年にかけて男女とも延びたが、その延びは同期間における平均寿命の延びよりも小さくなっており、2010年における平均寿命と健康寿命の差は男女とも2001年と比べて広がった。
- 政府は、高齢者の意欲や能力を最大限活かすためにも、「支えが必要な人」という高齢者像の固定観念を変え、意欲と能力のある65歳以上の者には支える側にまわってもらう意識改革が必要であるとしている。
- 高齢者の就業に対する意向をみると、60~64歳層で仕事をしている人のうち6割近くが65歳以降も「仕事をしたい」と考えており、「仕事をしたくない」と考えている人を大きく上回っている。
- 2010年において60歳以上の人が地域生活を送る上で不便に思っていることをみると、不便な点が「特にない」という人が約6割を占めているものの、不便さを感じる点としては、「日常の買い物に不便」、「医院や病院への通院に不便」、「交通機関が高齢者には使いにくい、または整備されていない」が上位になっている。
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この過去問の解説 (3件)
01
設問は、高齢社会白書24年版によりますが、必要に応じて、最新の28年版を参考まで引用しておきます。
1 間違っています。71%となっています。
28年版では、『心配ない』が71%ですが、その『心配ない』は、「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」と「家計にゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」の計と設問内容が少し異なっていることに留意する必要があります。
2 正しい内容です。
白書では、「日常生活に制限のない期間(健康寿命)は、平成22(2010)年時点で男性が70.42年、女性が73.62年となっており、それぞれ13(2001)年と比べて延びている。しかし、13(2001)年から22(2010)年までの健康寿命の延び(男性1.02年、女性0.97年)は、同期間における平均寿命の延び(男性1.57年、女性1.46年)と比べて小さくなっており、22(2010)年における平均寿命と健康寿命の差は男女とも13(2001)年と比べて広がった」と述べられているとおりです。
なお、28年版白書では、「平成25(2013)年時点で男性が71.19年、女性が74.21年となっており、それぞれ13(2001)年と比べて延びている。しかし、13(2001)年から25(2013)年までの健康寿命の延び(男性1.79年、女性1.56年)は、同期間における平均寿命の延び(男性2.14年、女性1.68年)と比べて小さい」と述べられている。
3 正しい内容です。
白書は、「高齢者」の実態と捉え方の乖離として、「活躍している人や活躍したいと思っている人を年齢によって一律に「支えられている」人であると捉えることは、その人たちの誇りや尊厳を低下させかねないと考えられる。また、高齢者を65歳以上の者として年齢で区切り、一律に支えが必要であるとする従来の「高齢者」に対する固定観念が、多様な存在である高齢者の意欲や能力を活かす上での阻害要因となっていると考えられる。」と述べているところです。
4 正しい内容です。
白書では、「高齢者の就業に対する意向をみてみると、厚生労働省「中高年者縦断調査」(平成22年)によれば、「団塊の世代」を含む60~64歳では、仕事をしている人のうち56.7%が65歳以降も「仕事をしたい」と考えており、「仕事をしたくない」人(16.6%)を大きく上回っている。60~64歳の全体で見ても、65歳以降に「仕事をしたい」人は44.0%で、「仕事をしたくない」人(31.4%)を上回っており、現在の65~69歳の就業率(36.3%)と比べても高い割合となっている」と述べています。
なお、28年版では、「60歳以上の高齢者に何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいか聞いたところ、「働けるうちはいつまでも」が28.9%と最も多く、次いで「65歳くらいまで」「70歳くらいまで」がともに16.6%となっており、就労を希望する高齢者の割合は71.9%となっている」という分析になっています。
5 正しい内容です。
白書では、「60歳以上の人が地域で不便に思っていることをみてみると、平成22(2010)年では、不便な点が「特にない」という人が約6割(60.3%)であるが、不便に感じている事柄としては、「日常の買い物に不便」(17.1%)が最も多く、次いで「医院や病院への通院に不便」(12.5%)、「交通機関が高齢者には使いにくい、または整備されていない」(11.7%)となっている」と述べられています。
なお、28年版では、「60歳以上の高齢者が、外出時の障害と感じていることをみてみると、「特にない」が44.5%であるが、障害と感じている事柄は、「道路に階段、段差、傾斜があったり、歩道が狭い」が15.2%と最も多く、「ベンチや椅子等休める場所が少ない」(13.7%)、「バスや電車等公共の交通機関が利用しにくい」(13.4%)と続いている」と分析されています。
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02
「平成24年版高齢社会白書」(内閣府)より出題されています。
1.誤「半数程度にとどまっている」
正「7割程度ある」
白書のP19
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2012/zenbun/pdf/1s2s_2_1.pdf
より、正確な数字としては、71.0%になっていますね。
その他、
2.は白書のP28
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2012/zenbun/pdf/1s2s_3_1.pdf
3.はP63
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2012/zenbun/pdf/1s3s_1.pdf
4.はP67~68
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2012/zenbun/pdf/1s4s_1.pdf
5.はP47
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2012/zenbun/pdf/1s2s_6_1.pdf
の内容となります。
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03
1.誤り
半数程度ではなく、「7割程度」です。
2.正しい
記述の通りです。平均寿命は男女とも伸びてきており、その差が開いてきました。
3.正しい
65歳以上の高齢者の生活環境の変化が、労働意欲の向上と相まって設問のような流れになってきています。
4.正しい
年金支給開始年齢の引き上げをはじめ、高齢者を取り巻く環境が変化してきているなどの背景があることや生涯現役といった考え方が強くなっていることが原因とも言えます。
5.正しい
昔も今もこういった問題が常にあるということを忘れないようにしましょう。
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