設問文ア.について
【正誤】正しい記述とします。(設問文イ.とエ.が明らかに誤りであり、本設問群においては、誤りが2つしかないこととなっているため)
【根拠条文等】労働基準法第32条の3第1項,平成11年3月31日基発168号
【ポイント・考え方】
いわゆるフレックスタイム制(始業及び終業の時刻をその労働者の決定にゆだねることとする制度)の導入にあたっては、1)就業規則その他これに準ずるものによりその旨を定めること 2)労使協定で制度の基本的枠組みを定めること の2点を満たした場合に導入することができるものです。
この設問文では、1)についてのみ述べているため、この記述での出題には筆者は若干の疑問を感じます。
【学習・実務でのワンポイント】
フレックスタイム制は、厚生労働省のパンフレット等でも、「労働者にとっては、日々の都合に合わせて、時間という限られた資源をプライベートと仕事に自由に配分することができるため、プライベートと仕事とのバランスがとりやすくなります。」とうたっていますが、一方で時間外労働に関する取扱いが通常と異なるため、清算期間や労使協定の届出義務等、適用にあたっては留意すべき点が多いこともあわせて理解しておくとよいでしょう。
設問文イ.について
【正誤】誤った記述です。
【根拠条文等】労働基準法施行規則第12条の4第4項
【ポイント・考え方】
設問文のうち、「54時間」は「52時間」が正しいです。
知識問題として、この数値を覚えておくのがよいでしょう。
【学習・実務でのワンポイント】
本設問文に関連して、1週間あたりの労働時間の上限を52時間とする対象期間が3か月を超える場合には、さらに適用するための指定(制約)条件が加わりますので、あわせて確認しておくとよいでしょう。
設問文ウ.について
【正誤】正しい記述です。
【根拠条文等】労働基準法第32条の4第1項,平成6年5月31日基発330号
【ポイント・考え方】
一年単位の変形労働時間制が採用される要件の1つに、「対象期間を定めた場合に、その対象期間が始まるまでに労働日を定めておかなければならない」があり、設問文はこれに抵触している(休日を特定しない=労働日が特定されない)ため、認められません。
【学習・実務でのワンポイント】
設問文の他に、一年単位の変形労働時間制においては、労働日を定めていた場合であっても、後日休日の振替を行えるか否かについて、基本的には変更できない旨の行政解釈があり、知っておくとよいでしょう。
設問文エ.について
【正誤】誤った記述です。
【根拠条文等】労働基準法第19条,昭和26年6月25日基収2609号
【ポイント・考え方】
業務上負傷し又は疾病にかかりその療養のために休業した場合は、その時点で当該労働者をその要因において最優先に保護するため、その他の規定や適用条件は、いったん留保される(停止になる)と理解しておくとよいでしょう。
【学習・実務でのワンポイント】
業務上の負傷・疾病については、労働者保護の観点から様々な配慮がなされているので、一度整理しておくとよいでしょう。
設問文オ.について
【正誤】正しい記述です。
【根拠条文等】労働基準法第20条,昭和27年5月17日基収1906号
【ポイント・考え方】
解雇予告は、解雇予告手当を支払うことでその効力が生じる、という点を理解しておきましょう。
このため、設問文のとおり、解雇予告手当については、時効の問題は発生しえません。
【学習・実務でのワンポイント】
解雇予告については、さまざまな形でたびたび出題されているので、条件を正しく理解しておきましょう。