社会保険労務士の過去問
第51回(令和元年度)
労働基準法及び労働安全衛生法 問3
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問題
社労士試験 第51回(令和元年度) 択一式 労働基準法及び労働安全衛生法 問3 (訂正依頼・報告はこちら)
労働基準法の総則に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
ア 労働基準法第4条が禁止する「女性であることを理由」とした賃金についての差別には、社会通念として女性労働者が一般的に勤続年数が短いことを理由として女性労働者の賃金に差別をつけることが含まれるが、当該事業場において実際に女性労働者が平均的に勤続年数が短いことを理由として女性労働者の賃金に差別をつけることは含まれない。
イ 労働基準法第5条は、使用者は、労働者の意思に反して労働を強制してはならない旨を定めているが、このときの使用者と労働者との労働関係は、必ずしも形式的な労働契約により成立していることを要求するものではなく、事実上の労働関係が存在していると認められる場合であれば足りる。
ウ 労働基準法第7条に基づき「労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使」した場合の給与に関しては、有給であろうと無給であろうと当事者の自由に委ねられている。
エ いわゆる芸能タレントは、「当人の提供する歌唱、演技等が基本的に他人によって代替できず、芸術性、人気等当人の個性が重要な要素となっている」「当人に対する報酬は、稼働時間に応じて定められるものではない」「リハーサル、出演時間等スケジュールの関係から時間が制約されることはあっても、プロダクション等との関係では時間的に拘束されることはない」「契約形態が雇用契約ではない」のいずれにも該当する場合には、労働基準法第9条の労働者には該当しない。
オ 私有自動車を社用に提供する者に対し、社用に用いた場合のガソリン代は走行距離に応じて支給される旨が就業規則等に定められている場合、当該ガソリン代は、労働基準法第11条にいう「賃金」に当たる。
ア 労働基準法第4条が禁止する「女性であることを理由」とした賃金についての差別には、社会通念として女性労働者が一般的に勤続年数が短いことを理由として女性労働者の賃金に差別をつけることが含まれるが、当該事業場において実際に女性労働者が平均的に勤続年数が短いことを理由として女性労働者の賃金に差別をつけることは含まれない。
イ 労働基準法第5条は、使用者は、労働者の意思に反して労働を強制してはならない旨を定めているが、このときの使用者と労働者との労働関係は、必ずしも形式的な労働契約により成立していることを要求するものではなく、事実上の労働関係が存在していると認められる場合であれば足りる。
ウ 労働基準法第7条に基づき「労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使」した場合の給与に関しては、有給であろうと無給であろうと当事者の自由に委ねられている。
エ いわゆる芸能タレントは、「当人の提供する歌唱、演技等が基本的に他人によって代替できず、芸術性、人気等当人の個性が重要な要素となっている」「当人に対する報酬は、稼働時間に応じて定められるものではない」「リハーサル、出演時間等スケジュールの関係から時間が制約されることはあっても、プロダクション等との関係では時間的に拘束されることはない」「契約形態が雇用契約ではない」のいずれにも該当する場合には、労働基準法第9条の労働者には該当しない。
オ 私有自動車を社用に提供する者に対し、社用に用いた場合のガソリン代は走行距離に応じて支給される旨が就業規則等に定められている場合、当該ガソリン代は、労働基準法第11条にいう「賃金」に当たる。
- アとウ
- アとエ
- アとオ
- イとエ
- イとオ
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この過去問の解説 (3件)
01
アは明らかに「誤」、イ・ウは明らかに「正」ですので、肢2と肢3が残ります。エは初見だと戸惑いますが、オの「社用に提供する」が得点の分かれ目だと思います。
正解:3
ア:誤
教科書レベルの知識で判断できます。「社会通念」「一般的」であれ、当該事業場において「平均的」であれ、差別であり第4条違反です。過去の裁判例も多く出ています。目を通しておきましょう。
厚生労働省資料
https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/library/osaka-roudoukyoku/H24/kijyun/man_woman.pdf#search='%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%9F%BA%E6%BA%96%E6%B3%95%E7%AC%AC%EF%BC%94%E6%9D%A1'
イ:正
教科書レベルの知識で判断できる問題ですので、迷った人は少なかったと思いますが、もし迷ったときは、問題文の「逆」を考えてください。逆とは「形式的な労働契約により成立していることが必要であり、事実上の労働関係が存在していると認められるだけでは足りない」、すなわち、労働契約書等を具備した契約の「形式」が整っていないと、意に反する労働を強制されている労働者が保護されない、という意味になります。おかしいですよね? 労働契約書等の形式は揃っていなくても事実上の強制があれば足りる(違法)、これがあるべき姿だと分かるはずです。労働者保護の観点から読んで下さい。
ウ:正
設問のとおりです。同じように、有給でも無給でも構わない休暇として、生理休暇(68条)があります。この他、育児介護休業法にある「子の看護休暇」「介護休暇」も、必ずしも有給であることを求められていない休暇です。
エ:正
設問のとおりです。なぜこれが出題されたか。労働契約ではなく業務委託契約で働く個人(いわゆるフリーランスや個人事業主など)が増えていることが背景にあります。労基法や労災保険法といった労働法規の保護の対象ではない方たちの待遇、契約内容が社会問題化していることが背景にあります。
以下、厚生労働省の資料を参考にされて下さい。
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11909500-Koyoukankyoukintoukyoku-Soumuka/0000181992.pdf#search='%E5%8A%B4%E5%83%8D%E8%80%85%E6%80%A7+%E5%88%A4%E6%96%AD%E5%9F%BA%E6%BA%96'
オ:誤
紛らわしい問題ですが、「社用に提供する」の文言が通勤ではないことを示しています。通勤手当は、どう考えても労基法11条の賃金です。社用に提供する、ということは、通勤ではない移動、例えば出張を思い浮かべてください。出張旅費で明らかに実費弁済的なものは、賃金ではなく出張旅費として経費精算しているはずです(皆さんの勤務先に当てはめて考えてください)。
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02
ア:誤り
労働基準法4条が禁止する「女性であることを理由」とした賃金についての差別には、実際に女性労働者が平均的に勤続年数が短いことを理由として女性労働者の賃金に差別をつけることも含まれます。
イ:正しい
そのとおり正しい設問になります。
ウ:正しい
法7条の公民権行使等の時間については、使用者に賃金の支払義務は課されていないので正しい設問となります。
エ:正しい
設問のとおり、設問の4つの要件すべてに該当する芸能タレントは、労働基準法9条の労働者には該当しないとされています。
オ:誤り
就業規則等に定められている場合に、私有自動車を社用に提供する者に対し、社用に用いた場合の走行距離に応じて支給するガソリン代は、実費弁償と解され労働基準法11条の賃金には該当しないとされています。
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03
正解は、3 アとオ です。
ア 間違いです。
含まれない、でなく、含まれます。
平均的に勤続年数が短い事を理由として
女性労働者の賃金に差別をつける事は賃金の差別になります。
イ 正解です。
事実上の判断になります。
事実上労働関係が存在すると認められる場合で足ります。
ウ 正解です。
公民権の行使の保障の問題です。
有給たると無給たるとは、自由です。
原則、ノーワーク、ノーペイです。
エ 正解です。
法9条の問題です。
要件を満たすと、労働者に該当しません。
芸能人は
・個性が重要な要素となっている
・報酬は、稼働時間に応じて定められるものでない
・時間的に拘束されていない
・契約の形態が、雇用契約でない
これらの場合は、労働者に該当しないです。
オ 間違いです。
賃金には、当たりません。
社用に用いた場合の、ガソリン代は
実費弁償であり、賃金ではありません。
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