社会保険労務士の過去問
第51回(令和元年度)
労働基準法及び労働安全衛生法 問8
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問題
社労士試験 第51回(令和元年度) 択一式 労働基準法及び労働安全衛生法 問8 (訂正依頼・報告はこちら)
次に示す建設工事現場における安全衛生管理に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
甲社:本件建設工事の発注者
乙社:本件建設工事を甲社から請け負って当該建設工事現場で仕事をしている事業者。常時10人の労働者が現場作業に従事している。
丙社:乙社から工事の一部を請け負って当該建設工事現場で仕事をしているいわゆる一次下請事業者。常時30人の労働者が現場作業に従事している。
丁社:丙社から工事の一部を請け負って当該建設工事現場で仕事をしているいわゆる二次下請事業者。常時20人の労働者が現場作業に従事している。
甲社:本件建設工事の発注者
乙社:本件建設工事を甲社から請け負って当該建設工事現場で仕事をしている事業者。常時10人の労働者が現場作業に従事している。
丙社:乙社から工事の一部を請け負って当該建設工事現場で仕事をしているいわゆる一次下請事業者。常時30人の労働者が現場作業に従事している。
丁社:丙社から工事の一部を請け負って当該建設工事現場で仕事をしているいわゆる二次下請事業者。常時20人の労働者が現場作業に従事している。
- 乙社は、自社の労働者、丙社及び丁社の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、協議組織を設置しなければならないが、この協議組織には、乙社が直接契約を交わした丙社のみならず、丙社が契約を交わしている丁社も参加させなければならず、丙社及び丁社はこれに参加しなければならない。
- 乙社は、特定元方事業者として統括安全衛生責任者を選任し、その者に元方安全衛生管理者の指揮をさせなければならない。
- 丙社及び丁社は、それぞれ安全衛生責任者を選任しなければならない。
- 丁社の労働者が、当該仕事に関し、労働安全衛生法に違反していると認めるときに、その是正のために元方事業者として必要な指示を行う義務は、丙社に課せられている。
- 乙社が足場を設置し、自社の労働者のほか丙社及び丁社の労働者にも使用させている場合において、例えば、墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所に労働安全衛生規則で定める足場用墜落防止設備が設けられていなかった。この場合、乙社、丙社及び丁社は、それぞれ事業者として自社の労働者の労働災害を防止するための措置義務を負うほか、乙社は、丙社及び丁社の労働者の労働災害を防止するため、注文者としての措置義務も負う。
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この過去問の解説 (3件)
01
1:正しい
そのとおり正しい設問になります。
労働安全衛生規則635条では、特定元方事業者は、協議組織の設置及び運営については、
1.特定元方事業者及びすべての関係請負人が参加する協議組織を設置すること
2.当該協議組織の会議を定期的に開催すること
3.関係請負人は特定元方事業者が設置する協議組織に参加しなければならないと定められています。
2:正しい
そのとおり正しい設問になります。
法15条1項、令7条では「特定元方事業者であって、その労働者及び関係請負人の労働者の合計が30人以上の場合は、これらの労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、統括安全衛生責任者を選任しなければならない」と規定されており、設問の場合はこれに該当するため乙者は、特定元方事業者として統括安全衛生責任者を選任し、その者に元方安全衛生管理者の指揮をさせなければなりません。
3:正しい
そのとおり正しい設問になります。
法16条1項では「特定元方事業者により統括安全衛生責任者が選任される場合において、統括安全衛生責任者を選任すべき事業者以外の請負人で、当該仕事を自ら行うものは、安全衛生責任者を選任し、その者に統括安全衛生責任者との連絡、統括安全衛生責任者から連絡を受けた事項の関係者への連絡等を行わせなければならない」とされています。
4:誤り
法29条2項では「元方事業者は、関係請負人または関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、労働安全衛生法又はこれに基づく命令の規定に違反していると認めるときは、是正のため必要な指示を行わなければならない」とされており、設問の場合に、元方事業者として必要な指示を行う義務は、乙社に課せられているため誤りになります。
5:正しい
そのとおり正しい設問になります。
法31条1項では「特定事業の仕事を自ら行う注文者は、建設物等を、当該仕事を行う場所においてその請負人の労働者に使用させるときは、当該建設物等について当該労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない」とされています。
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02
正解:4
1:正
設問のとおりです(労働安全衛生法第30条第1項各号)。建設業なので乙社は特定元方事業者であり、同条の適用を受けます。関係請負人(丙社及び丁社)の義務は、労働安全衛生規則第635条第2項に規定されています。万一、条文を知らなかったとしても(ありえませんけど)、丙社及び丁社が協議組織に参加しなくてよいとなると、安全衛生が当該現場に周知徹底されなくなり、労災発生リスクが高まることぐらい容易に想像できますよね。このことからも関係請負人(丙社及び丁社)が協議組織に参加する義務があることは明らかです。
2:正
乙、丙、丁の3社あわせて60名の労働者が従事している建設業の作業現場ですので、特定元方事業者である乙社には、統括安全衛生責任者を選任する義務があります(労働安全衛生法第15条)。人数要件は試験直前期に詰め込みましょう! 10人、30人、50人・・・
3:正
設問のとおりです(労働安全衛生法第16条第1項)。条文にある「統括安全衛生責任者を選任すべき事業者以外の請負人で、当該仕事を自ら行うもの」とは、設問の丙社及び丁社のことです。
4:誤
この設問のとおりだとすると、乙社は、乙社から見て孫請けにあたる丁社の安全衛生管理に責任を負わなくて良いことになってしまいます。建設現場は、下請け、孫請け、といった具合に何層もの請負構造になっていることが多く、しかもひ孫請けなど下の階層に行くほど、事業規模が小さく安全衛生管理に手が回らない事業者が多くあります。この設問のとおりだと、請負階層の上位にある乙社が責任回避できることになってしまうので、明らかに誤りです(労働安全衛生法第29条第1項)。
5:正
設問のとおりです。考え方は上記、肢4の解説と同じです。注文者の義務については労働安全衛生法第31条第1項を、注文者が複数あるとき(設問の乙社及び丙社)の責任の所在については同条第2項を参照願います。
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03
(法30条)
2 〇 設問のとおりです。特定元方事業者の労働者及びその請負人の労働者の数の合計数が常時30人以上については、統括安全衛生責任者を選任しなければなりません。
(法15条1項)
3 〇 設問のとおりです。統括安全衛生責任者を選任すべき事業場で、統括安全衛生責任者を選任すべき事業場以外の請負人は、安全衛生責任者を選任し、その者に統括安全衛生責任者との連絡等一定の事項を行わせなければなりません。
(法16条1項)
4 × 元方事業者として必要な指示を行う義務は、元方事業者である乙社に課せられています。
(法29条)
5 〇 設問のとおりです。1つの建設物等について措置を講じなければならない注文者が複数存在する場合は、最上位の注文者(乙社)のみが措置義務者となります。
(法31条1項)
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