社会保険労務士の過去問
第51回(令和元年度)
労働者災害補償保険法 問5

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問題

社労士試験 第51回(令和元年度) 択一式 労働者災害補償保険法 問5 (訂正依頼・報告はこちら)

療養補償給付又は療養給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 療養の給付は、社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者(「指定病院等」という。以下本問において同じ。)において行われ、指定病院等に該当しないときは、厚生労働大臣が健康保険法に基づき指定する病院であっても、療養の給付は行われない。
  • 療養の給付を受ける労働者は、当該療養の給付を受けている指定病院等を変更しようとするときは、所定の事項を記載した届書を、新たに療養の給付を受けようとする指定病院等を経由して所轄労働基準監督署長に提出するものとされている。
  • 病院等の付属施設で、医師が直接指導のもとに行う温泉療養については、療養補償給付の対象となることがある。
  • 被災労働者が、災害現場から医師の治療を受けるために医療機関に搬送される途中で死亡したときは、搬送費用が療養補償給付の対象とはなり得ない。
  • 療養給付を受ける労働者から一部負担金を徴収する場合には、労働者に支給される休業給付であって最初に支給すべき事由の生じた日に係るものの額から一部負担金の額に相当する額を控除することにより行われる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解:4

1:正
 設問のとおりです。設問の指定病院等で行われるものは「療養の給付」、指定病院等に該当しない医療機関で行われるものには「療養の費用の給付」がなされます。療養の給付は指定病院等で行われる現物支給、療養の費用の給付は現金給付です。

2:正
 設問のとおりです。「新たに療養の給付を受けようとする指定病院等」すなわち変更「後」の病院を経由することに注意してください。また、療養の費用の給付を受ける場合は、当該病院を経由せずに監督署へ提出します。

3:正
 設問のとおりです。医師が直接指導するものに限られることに注意してください(昭和25年10月6日 基発916号)。

4:誤
 (昭和30年7月13日 基収841号)
 療養の給付の範囲に関する設問です。療養の給付の範囲は以下のとおりです(労災保険法第13条第2項)。
一 診察
二 薬剤又は治療材料の支給
三 処置、手術その他の治療
四 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
五 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
六 移送
 これらのうち「政府」が必要と認めるものに限り、療養の給付が行われます。
 療養の給付が、被災労働者の死亡によって不支給になることはありません。設問の「移送」が分かりにくければ、「処置、手術」を想起してください。手術の途中で死亡した被災労働者に対して「この手術の費用は労災保険から給付されません」なんてことありえませんよね。

5:正
 設問のとおりです。療養給付の一部負担金を被災労働者から徴収する方法についての設問です。一部負担金を徴収しないケースも頻出事項です(下記)。
 ・第三者行為災害で療養給付を受ける者(当該第三者が負担すべきだから)
 ・療養の開始後3日以内に死亡した者等(待機3日間=休業給付から控除できないから)
 ・同一の通勤災害で既に一部負担金を納付した者

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02

正解:4

1:正しい
そのとおり正しい設問になります。
療養の給付において、厚生労働大臣が健康保険法に基づき指定する病院もしくは診療所、薬局または訪問看護事業者であっても、労災保険法に基づく都道府県労働局長の指定を受けていなければ労災保険の療養の給付を行うことはできないとされています。

2:正しい
そのとおり正しい設問になります。

3:正しい
そのとおり正しい設問になります。
なお、医師が直接の指導を行わない温泉療養については、療養補償の範囲に属さないものとされています。

4:誤り
設問の場合、搬送費用が療養補償給付の対象になり得ますので、誤りになります。
被災労働者が死亡に至るまでに要した搬送の費用は、療養のためのものと認められるので、移送費として支給すべきであるとされています。

5:正しい
そのとおり正しい設問になります。
同一の通勤災害に係る療養給付について既に一部負担金を納付した者については、納付義務が免除されているため、設問の休業給付の減額を受けた者から、更に一部負担金を徴収されることはないとされています。

参考になった数9

03

1 〇 設問のとおりです。指定病院等で行われる医療行為(現物給付)をさします。
(法13条、則11条1項)

2 〇 設問のとおりです。変更については、新たに療養の給付を受けようとする指定病院等を経由して所轄労働基準監督署長に提出します。
(法13条、則12条3項)

3 〇 設問のとおりです。温泉療養については、医師の直接の指導があれば療養補償給付の範囲に含めることができます。
(法13条、昭和22年基発515号)

4 × 生存中の移送は療養補償給付の移送日費の支給となり得ます。
(法13条、昭和30年基収841号)

5 〇 「労働者に支給される休業給付」については設問のとおりです。尚、特別加入者については、一部負担金の徴収はありません。
(法31条3項、則44条の2第3項)

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