社会保険労務士の過去問
第52回(令和2年度)
雇用保険法 問1

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問題

社労士試験 第52回(令和2年度) 択一式 雇用保険法 問1 (訂正依頼・報告はこちら)

被保険者資格の得喪と届出に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 法人(法人でない労働保険事務組合を含む。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、雇用保険法第7条に規定する届出の義務に違反する行為をしたときは、その法人又は人に対して罰金刑を科すが、行為者を罰することはない。
  • 公共職業安定所長は、雇用保険被保険者資格喪失届の提出があった場合において、被保険者でなくなったことの事実がないと認めるときは、その旨につき当該届出をした事業主に通知しなければならないが、被保険者でなくなったことの事実がないと認められた者に対しては通知しないことができる。
  • 雇用保険の被保険者が国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が法の規定する求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められるものであって雇用保険法施行規則第4条に定めるものに該当するに至ったときは、その日の属する月の翌月の初日から雇用保険の被保険者資格を喪失する。
  • 適用事業に雇用された者で、雇用保険法第6条に定める適用除外に該当しないものは、雇用契約の成立日ではなく、雇用関係に入った最初の日に被保険者資格を取得する。
  • 暫定任意適用事業の事業主がその事業について任意加入の認可を受けたときは、その事業に雇用される者は、当該認可の申請がなされた日に被保険者資格を取得する。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.誤
行為者も罰せられます。
雇用保険法第86条にその規定があります。
「法人(法人でない労働保険事務組合を含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。」

2.誤
設問の場合、公共職業安定所長は、事業主だけでなく、被保険者でなくなったことの事実がないと認められた者に対しても通知をしなければなりません。

3.誤
設問の場合、被保険者資格を喪失するのは、雇用保険法施行規則第4条に定めるものに該当するに至った日の属する月の翌月の初日ではありません。
雇用保険法では、被保険者としての適用要件に該当しなくなったとき、その該当しなくなった日が資格喪失日となります。

4.正
設問の通りです。

5.誤
設問の場合、当該事業に雇用される者は、当該認可の申請がなされた日ではなく、当該認可があった日に被保険者資格を取得します。

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02

1.誤
法人(法人でない労働保険事務組合を含む。)の代者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、当該違反行為(雇用保険法83条~85条)をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑が科せられます。

2.誤
公共職業安定所長は、労働者が被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの確認をしたときは、それぞれ、雇用保険被保険者資格取得確認通知書又は雇用保険被保険者資格喪失確認通知書により、その旨を当該確認に係る者及びその者を雇用し、又は雇用していた事業主に通知しなければなりません。
この場合において、当該確認に係る者に対する通知は、当該事業主を通じて行うことができます。

3.誤
都道府県等又は市町村等の事業に雇用される者について、雇用保険法の適用除外の承認の申請がなされた場合には、「その日の属する月の翌月の初日から雇用保険の被保険者資格を喪失する」のではなく、「その承認の申請がなされた日から雇用保険法を適用しない」です。

4.正
設問のとおりです。
適用事業に雇用された者は、原則として、その適用事業に雇用されるに至った日から被保険者資格を取得します。
なお、この場合の「雇用されるに至った日」とは、雇用契約の成立の日を意味するものでなく、雇用関係に入った最初の日(一般的には、被保険者資格の基礎となる当該雇用契約に基づき労働を提供すべきこととされている最初の日)をいいます。

5.誤
暫定任意適用事業は、事業主が雇用保険に任意加入の申請をし、厚生労働大臣(都道府県労働局長に権限委任)の認可があった場合に限り、雇用保険の適用事業となります。
暫定任意適用事業の事業主が任意加入の認可を受けた場合、「認可のあった日」に保険関係が成立し、当該事業で雇用される労働者は、「その日」に当然に被保険者となります。

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03

 被保険者資格の取得・喪失とそれにかかる届出については、社会保険・労働保険にかかる各法令を横断して整理・理解するのがよいと考えます。

 その上で、違いの部分を重点的に理解しておくことで、共通的な(同じ)規定はまとめて理解でき、設問文の正誤の判別がしやすくなると考えます。

選択肢1. 法人(法人でない労働保険事務組合を含む。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、雇用保険法第7条に規定する届出の義務に違反する行為をしたときは、その法人又は人に対して罰金刑を科すが、行為者を罰することはない。

 誤った記述です。

 簡単に言うと、法令違反に対しては、該当する法人の他、行為者についても罰することが多く、これを「両罰規定」といい、多くの法令で適用されている点を理解しておくとよいでしょう。

選択肢2. 公共職業安定所長は、雇用保険被保険者資格喪失届の提出があった場合において、被保険者でなくなったことの事実がないと認めるときは、その旨につき当該届出をした事業主に通知しなければならないが、被保険者でなくなったことの事実がないと認められた者に対しては通知しないことができる。

 誤った記述です。

 簡単に言うと、「届」の提出があった際に、その事実がないと認められる場合は、当該届に該当する個人及び届を提出した事業主の双方にその旨を通知しないと、事実がない(つまり誤っている)ことを認識させることができなくなり、これを「しないことができる(認識させることを略すことができる)」とする本設問文は、悪意のない(単なる)誤解や悪意に基づく届を受容することとなり許されず、誤りであると判断できると考えます。

選択肢3. 雇用保険の被保険者が国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が法の規定する求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められるものであって雇用保険法施行規則第4条に定めるものに該当するに至ったときは、その日の属する月の翌月の初日から雇用保険の被保険者資格を喪失する。

 誤った記述です。

 簡単に言うと、被保険者の資格喪失日は、離職等の当日または翌日となる法令がほとんどであり、本設問文のように離職等の日「の属する翌月の初日」といった、実際の離職等の日から期間があいた(空白期間がある)上で喪失日が認定等がされることはない(でないと当該空白期間が恣意的に利用される余地が出てしまう)と単純化して正誤を判断してよいと考えます。

選択肢4. 適用事業に雇用された者で、雇用保険法第6条に定める適用除外に該当しないものは、雇用契約の成立日ではなく、雇用関係に入った最初の日に被保険者資格を取得する。

 正しい記述です。

 本設問文の各用語が示す具体例をイメージすると、正誤がわかりやすいでしょう。

 一例ですが、「○年4月1日より入社・勤務開始する雇用契約を、○年3月20日に締結した(成立した」場合、

 ・雇用契約の成立日:○年3月20日

 ・雇用関係に入った最初の日:○年4月1日

となるので、被保険者取得日は後者となる点が容易に理解できると考えます。

選択肢5. 暫定任意適用事業の事業主がその事業について任意加入の認可を受けたときは、その事業に雇用される者は、当該認可の申請がなされた日に被保険者資格を取得する。

 誤った記述です。

 本設問文の各用語が示す具体例をイメージすると、正誤がわかりやすいでしょう。

 一例ですが、「○年3月20日に任意加入の認可申請を行い、○年3月31日にその認可を受けた」場合、

 ・認可の申請がなされた日:○年3月20日

 ・認可を受けた日:○年3月31日

となり、申請をした(申請がなされた)日(○年3月20日)にはまだ認可されておらず、したがって被保険者資格の日にはなりえない点が容易に理解できると思います。

参考になった数7