社会保険労務士の過去問
第53回(令和3年度)
社会保険に関する一般常識 問7

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問題

社労士試験 第53回(令和3年度) 択一式 社会保険に関する一般常識 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

国民健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 都道府県が当該都道府県内の市町村(特別区を含む。以下本問において同じ。)とともに行う国民健康保険(以下本問において「都道府県等が行う国民健康保険」という。)の被保険者は、都道府県の区域内に住所を有するに至った日の翌日又は国民健康保険法第6条各号のいずれにも該当しなくなった日の翌日から、その資格を取得する。
  • 生活保護法による保護を受けている世帯に属する者は、都道府県等が行う国民健康保険の被保険者となる。
  • 市町村及び国民健康保険組合(以下本問において「組合」という。)は、被保険者又は被保険者であった者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、療養の給付等の一部を行わないことができる。
  • 国民健康保険診療報酬審査委員会は、都道府県の区域を区域とする国民健康保険団体連合会(その区域内の都道府県若しくは市町村又は組合の3分の2以上が加入しないものを除く。)に置かれ、都道府県知事が定める保険医及び保険薬剤師を代表する委員、保険者を代表する委員並びに被保険者を代表する委員をもって組織される。
  • 市町村は、条例で、偽りその他不正の行為により保険料その他国民健康保険法の規定による徴収金の徴収を免れた者に対し、その徴収を免れた金額の10倍に相当する金額以下の過料を科する規定を設けることができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

解答:「市町村及び国民健康保険組合(以下本問において「組合」という。)は、被保険者又は被保険者であった者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、療養の給付等の一部を行わないことができる。」が正解です。

選択肢1. 都道府県が当該都道府県内の市町村(特別区を含む。以下本問において同じ。)とともに行う国民健康保険(以下本問において「都道府県等が行う国民健康保険」という。)の被保険者は、都道府県の区域内に住所を有するに至った日の翌日又は国民健康保険法第6条各号のいずれにも該当しなくなった日の翌日から、その資格を取得する。

×

国民健康保険の被保険者の取得は、都道府県の区域内に住所を有するに「至った日」又は国民健康保険法第6条各号のいずれにも「該当しなくなった日」に資格を取得します。

選択肢2. 生活保護法による保護を受けている世帯に属する者は、都道府県等が行う国民健康保険の被保険者となる。

×

生活保護法による保護を受けている世帯に属する者は、国民健康保険の被保険者とはなりません。

選択肢3. 市町村及び国民健康保険組合(以下本問において「組合」という。)は、被保険者又は被保険者であった者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、療養の給付等の一部を行わないことができる。

〇 

市町村及び国民健康保険組合は、被保険者又は被保険者であった者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、療養の給付等の一部を行わないことができます。

選択肢4. 国民健康保険診療報酬審査委員会は、都道府県の区域を区域とする国民健康保険団体連合会(その区域内の都道府県若しくは市町村又は組合の3分の2以上が加入しないものを除く。)に置かれ、都道府県知事が定める保険医及び保険薬剤師を代表する委員、保険者を代表する委員並びに被保険者を代表する委員をもって組織される。

×

「被保険者を代表する委員」ではなく「公益を代表する委員」をもって組織されます。

選択肢5. 市町村は、条例で、偽りその他不正の行為により保険料その他国民健康保険法の規定による徴収金の徴収を免れた者に対し、その徴収を免れた金額の10倍に相当する金額以下の過料を科する規定を設けることができる。

×

過料を科する規定を設けることができるのは「10倍」ではなく「5倍」に相当する金額以下となります。

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02

解説は以下のとおりです。

選択肢1. 都道府県が当該都道府県内の市町村(特別区を含む。以下本問において同じ。)とともに行う国民健康保険(以下本問において「都道府県等が行う国民健康保険」という。)の被保険者は、都道府県の区域内に住所を有するに至った日の翌日又は国民健康保険法第6条各号のいずれにも該当しなくなった日の翌日から、その資格を取得する。

取得日はいずれもその日となります。

(資格取得の時期)

第七条 都道府県等が行う国民健康保険の被保険者は、都道府県の区域内に住所を有するに至つた日又は前条各号のいずれにも該当しなくなつた日から、その資格を取得する。

都道府県が当該都道府県内の市町村(特別区を含む。以下本問において同じ。)とともに行う国民健康保険(以下本問において「都道府県等が行う国民健康保険」という。)の被保険者は、都道府県の区域内に住所を有するに至った日の翌日又は国民健康保険法第6条各号のいずれにも該当しなくなった日の翌日から、その資格を取得する。

選択肢2. 生活保護法による保護を受けている世帯に属する者は、都道府県等が行う国民健康保険の被保険者となる。

生活保護法には医療扶助があり、そちらで面倒を見てもらえます。国民皆保険の唯一の例外です。

(適用除外)

第六条 前条の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する者は、都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険(以下「都道府県等が行う国民健康保険」という。)の被保険者としない。

(中略)

九 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)による保護を受けている世帯(その保護を停止されている世帯を除く。)に属する者

生活保護法による保護を受けている世帯に属する者は、都道府県等が行う国民健康保険の被保険者となる。

選択肢3. 市町村及び国民健康保険組合(以下本問において「組合」という。)は、被保険者又は被保険者であった者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、療養の給付等の一部を行わないことができる。

健康保険法に準ずる規定となっています。正当な理由なしに療養に関する指示に従わないということは既に療養を受けています。療養を受けている者へ療養の給付等の全部を行わない場合、症状が悪化するなど更なる医療費の増加をもたらす可能性があるため、一部を行わない規定となります。

第六十二条 市町村及び組合は、被保険者又は被保険者であつた者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、療養の給付等の一部を行わないことができる。

選択肢4. 国民健康保険診療報酬審査委員会は、都道府県の区域を区域とする国民健康保険団体連合会(その区域内の都道府県若しくは市町村又は組合の3分の2以上が加入しないものを除く。)に置かれ、都道府県知事が定める保険医及び保険薬剤師を代表する委員、保険者を代表する委員並びに被保険者を代表する委員をもって組織される。

審査委員会のような委員会は対立する利害関係+公益となります。資料報酬を支払側(保険者)ともらう方(病院側保険医)及び公益の代表となります。

第八章 診療報酬審査委員会(審査委員会)

第八十七条 第四十五条第五項の規定による委託を受けて診療報酬請求書の審査を行うため、都道府県の区域を区域とする連合会(その区域内の都道府県若しくは市町村又は組合の三分の二以上が加入しないものを除く。)に、国民健康保険診療報酬審査委員会(以下「審査委員会」という。)を置く。

(審査委員会の組織)

第八十八条 審査委員会は、都道府県知事が定める保険医及び保険薬剤師を代表する委員、都道府県及び当該都道府県内の市町村並びに組合(以下「保険者」という。)を代表する委員並びに公益を代表する委員をもつて組織する。

国民健康保険診療報酬審査委員会は、都道府県の区域を区域とする国民健康保険団体連合会(その区域内の都道府県若しくは市町村又は組合の3分の2以上が加入しないものを除く。)に置かれ、都道府県知事が定める保険医及び保険薬剤師を代表する委員、保険者を代表する委員並びに被保険者を代表する委員をもって組織される。

選択肢5. 市町村は、条例で、偽りその他不正の行為により保険料その他国民健康保険法の規定による徴収金の徴収を免れた者に対し、その徴収を免れた金額の10倍に相当する金額以下の過料を科する規定を設けることができる。

10倍ではなく、5倍です。

第百二十七条 

市町村は、条例で、第九条第一項若しくは第九項の規定による届出をせず、若しくは虚偽の届出をした者又は同条第三項若しくは第四項の規定により被保険者証の返還を求められてこれに応じない者に対し十万円以下の過料を科する規定を設けることができる。

 市町村は、条例で、世帯主又は世帯主であつた者が正当な理由なしに、第百十三条の規定により文書その他の物件の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず、又は同条の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたときは、十万円以下の過料を科する規定を設けることができる。

 市町村は、条例で、偽りその他不正の行為により保険料その他この法律の規定による徴収金の徴収を免かれた者に対し、その徴収を免かれた金額の五倍に相当する金額以下の過料を科する規定を設けることができる。

市町村は、条例で、偽りその他不正の行為により保険料その他国民健康保険法の規定による徴収金の徴収を免れた者に対し、その徴収を免れた金額の10倍に相当する金額以下の過料を科する規定を設けることができる。

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03

解説は以下の通りです。

選択肢1. 都道府県が当該都道府県内の市町村(特別区を含む。以下本問において同じ。)とともに行う国民健康保険(以下本問において「都道府県等が行う国民健康保険」という。)の被保険者は、都道府県の区域内に住所を有するに至った日の翌日又は国民健康保険法第6条各号のいずれにも該当しなくなった日の翌日から、その資格を取得する。

【正誤】誤った記述です。

【根拠条文等】国民健康保険法第7条

【ポイント・考え方】

 設問文の場合は、「翌日」ではなく「その日」に資格を取得します。

 国民皆保険の原則のため、国民健康保険法第6条各号のいずれにも該当しなくなった(簡単にいうと協会けんぽや健康保険組合・各種共済組合の資格を喪失した)場合は、その時点で国民健康保険の資格取得に該当すると理解しておくとよいでしょう。

【学習・実務でのワンポイント】

 資格の得喪日については、関連する法令間の条件により、「当日」「翌日」の違いが出てきますので、一度整理しておくとよいでしょう。

 設問文を一読して理解しづらい場合は、図示するとわかりやすくなる場合もあります。

選択肢2. 生活保護法による保護を受けている世帯に属する者は、都道府県等が行う国民健康保険の被保険者となる。

【正誤】誤った記述です。

【根拠条文等】国民健康保険法第6条9号

【ポイント・考え方】

 設問文の場合は、国民健康保険の被保険者としないこととなっています。

 なおこの場合、例えば健康保険法における療養の給付に相当する給付は、生活保護法における「医療扶助」として行われます。

【学習・実務でのワンポイント】

 国民健康保険の被保険者の適用除外(第6条)の条件については、簡単でよいので一度理解しておくと、実生活においても役に立つでしょう。

選択肢3. 市町村及び国民健康保険組合(以下本問において「組合」という。)は、被保険者又は被保険者であった者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、療養の給付等の一部を行わないことができる。

【正誤】正しい記述です。

【根拠条文等】国民健康保険法第62条

【ポイント・考え方】

 簡単に言うと、療養に関する指示(例えば医師の診察を受けるべき 等)に従わない場合は、それに関する給付(支出)は行わなくてよい、という言い方にすると理解できるかと思います。

【学習・実務でのワンポイント】

 関連して、健康保険法においても同様の規定がある点も、あわせて理解しておくとよいでしょう。

選択肢4. 国民健康保険診療報酬審査委員会は、都道府県の区域を区域とする国民健康保険団体連合会(その区域内の都道府県若しくは市町村又は組合の3分の2以上が加入しないものを除く。)に置かれ、都道府県知事が定める保険医及び保険薬剤師を代表する委員、保険者を代表する委員並びに被保険者を代表する委員をもって組織される。

【正誤】誤った記述です。

【根拠条文等】国民健康保険法第87条1項,第88条1項

【ポイント・考え方】

 設問文のうち、「被保険者を代表する委員」は「公益を代表する委員」が正しいです。

【学習・実務でのワンポイント】

 本設問文に関する学習は、実務で触れる機会が多くないと思われ、優先度を下げてよいと筆者は考えています。

選択肢5. 市町村は、条例で、偽りその他不正の行為により保険料その他国民健康保険法の規定による徴収金の徴収を免れた者に対し、その徴収を免れた金額の10倍に相当する金額以下の過料を科する規定を設けることができる。

【正誤】誤った記述です。

【根拠条文等】国民健康保険法第127条3項

【ポイント・考え方】

 設問文のうち、「10倍に相当する金額」は「5倍に相当する金額」が正しいです。

【学習・実務でのワンポイント】

 本設問文に関する学習は、優先度を下げてもよいと筆者は考えます。

まとめ

【全体総括】

 本設問群では、設問文「市町村及び国民健康保険組合(以下本問において「組合」という。)は、被保険者又は被保険者であった者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、療養の給付等の一部を行わないことができる。」について、一般的な判断力・推察力で正しい(であろう)ことが判断できるかと考えますので、ぜひ正答したい設問群であるといえるでしょう。

参考になった数6