社会保険労務士の過去問
第53回(令和3年度)
厚生年金保険法 問3
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問題
社労士試験 第53回(令和3年度) 択一式 厚生年金保険法 問3 (訂正依頼・報告はこちら)
厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 障害等級2級に該当する程度の障害の状態であり老齢厚生年金における加給年金額の加算の対象となっている受給権者の子が、17歳の時に障害の状態が軽減し障害等級2級に該当する程度の障害の状態でなくなった場合、その時点で加給年金額の加算の対象から外れ、その月の翌月から年金の額が改定される。
- 老齢厚生年金の受給権者の子(15歳)の住民票上の住所が受給権者と異なっている場合でも、加給年金額の加算の対象となることがある。
- 厚生年金保険法附則第8条の2に定める「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」の規定によると、昭和35年8月22日生まれの第1号厚生年金被保険者期間のみを有する女子と、同日生まれの第1号厚生年金被保険者期間のみを有する男子とでは、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が異なる。なお、いずれの場合も、坑内員たる被保険者であった期間及び船員たる被保険者であった期間を有しないものとする。
- 厚生年金保険法附則第8条の2に定める「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」の規定によると、昭和35年8月22日生まれの第4号厚生年金被保険者期間のみを有する女子と、同日生まれの第4号厚生年金被保険者期間のみを有する男子とでは、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は同じである。
- 脱退一時金の額の計算に当たっては、平成15年3月31日以前の被保険者期間については、その期間の各月の標準報酬月額に1.3を乗じて得た額を使用する。
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この過去問の解説 (3件)
01
解説は以下のとおりです。
【正誤】誤りです。
【ポイント・考え方】
設問文の場合、受給権者の子が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあれば、加給年金額の対象になります。
よって誤りです。
【学習・実務におけるワンポイント】
社会保険各法において、給付にかかる上乗せ等の配慮がなされる「子」の条件は、おおむね以下の2点で共通しています。
a)18歳に達した日以後の最初の3月31日まで
b)障害等級1級または2級の状態にある子が20歳になるまで
(上記a)とb)の間に上記障害状態でなくなった場合はその時まで)
これを理解しておくとよいでしょう。
【正誤】正しい記述です。
【ポイント・考え方】
設問文のような受給権者と家族(子)が別居している(一例ですが、受給権者が単身赴任している、子が親と離れて寮生活を送っている、等)ような場合でも、生計維持関係がなくなっていない限り、加算対象となりえます。
なお、本筋ではない考え方ですが、設問文にて「~となることがある」といった控えめな表現が出た場合は、それを全否定できる根拠がない限り、正誤判断に迷った場合はとりあえず正しい内容と仮置きしてもよいかと思います。
【学習・実務に向けたワンポイント】
上記設問1.の解説文のとおりです。
「子」に関しては、離縁等の特殊事情がない限りは、設問文のような対象になると理解しておけばよいでしょう。
【正誤】正しい記述です。
【ポイント・考え方】
厚生年金保険法は、その成り立ち時(当初は労働者年金保険法でした)、男子のみを対象としており、女子は遅れて対象とされました。
このため、旧法においては男子と女子で支給できる年齢・条件が異なっていました。
現行法ではこのような性別による差はありませんが、現行法が全面適用される前の年代の人に対しては、設問のような条件を設け、公平性を確保(性別による差を解消)しようとしています。
【学習・実務におけるワンポイント】
上記のような過去の差分の解消をねらいとした特例が残存している点を理解していれば、具体的に何年生まれの人が何歳からどのような年金等を受給できるかについては、細かく暗記しなくてよいと筆者は考えています。
【正誤】正しい記述です。
【ポイント・考え方】
第4号厚生年金被保険者(私立学校教職員共済制度の加入者)については、男子と女子とで法令の適用条件は同じです。
よって、支給開始年齢も同じです。
【学習・実務におけるワンポイント】
上記項番3.の解説文の補足になりますが、男子・女子の差が過去にあったのは、現在の厚生年金第1号被保険者のみであり、第2号(国家公務員共済組合の組合員)・第3号(地方公務員共済組合の組合員・第4号の被保険者については、そのような差はないと覚えておきましょう。
【正誤】正しい記述です。
【ポイント・考え方】
脱退一時金は、簡単に言うと、保険料納付が老齢給付に結びつかない、国内に住所を有しない外国人に適用される措置です。
【学習・実務におけるワンポイント】
設問の条文は、過去の古いものになり、適用事例が少ないと考えられるので、積極的に学習しなくてよいと考えます。
どちらかというと、請求期限(被保険者でなくなってから2年以上経過していないこと)や居住要件(日本国内に住所がないこと)、障害年金などの受給権を有したことがないこと、など、支給額よりも受給要件について学習・修得する方がよいと考えます。
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02
1誤です。
障害2級の子が、途中で障害がなくなっても
18歳3月31日までは加算の対象になります。
2正です。
加給年金の対象の問題です。
住民票が同一、実際には一緒に生活している
場合は対象になります。
問題文は、「対象になることがある」と
言っていますので正解です。
3正です。
1号男性、1号女性、の取り扱いの問題です。
問題文では、1号男性と1号女性では支給開始年齢が
違うかどうかを聞いていますので
異なるため正解になります。
1号女性はプラス5年です。
4正です。
4号男性、4号女性は同じ取り扱いです。
64歳からの支給開始年齢です。
5正です。
脱退一時金に関する問題です。
平成15年3月31日以前までは、月給ベースで
計算をしていましたがその後「総報酬」ベースで
計算するようになりました。
その関係で1.3を掛けるようになりました。
7.124から5.481に乗率が変更された事と合わせています。
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03
解説は以下のとおりです。
誤
老齢厚生年金の加給年金額の支給要件に関する問です。生計維持として以下の者がある
場合に加給年金額が加算されます。本肢の子は18歳に達しておらず加給年金額の対象となります。
1.65歳未満の配偶者
2.18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある子、または、20歳未満であって障害等級1級、2級に該当する状態にある子。
(加給年金額)
第四十四条 老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十以上であるものに限る。)の額は、受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十未満であつたときは、第四十三条第三項の規定により当該月数が二百四十以上となるに至つた当時。第三項において同じ。)その者によつて生計を維持していたその者の六十五歳未満の配偶者又は子(十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子及び二十歳未満で第四十七条第二項に規定する障害等級(以下この条において単に「障害等級」という。)の一級若しくは二級に該当する障害の状態にある子に限る。)
障害等級2級に該当する程度の障害の状態であり老齢厚生年金における加給年金額の加算の対象となっている受給権者の子が、17歳の時に障害の状態が軽減し障害等級2級に該当する程度の障害の状態でなくなった場合、その時点で加給年金額の加算の対象から外れ、その月の翌月から年金の額が改定される。
正
老齢厚生年金額の加給年金額の支給要件に係る生計維持に関する問です。以下3つの場合に生計維持を満たします。本肢の子は③に該当します。
①住民票上住所が同じ。
②同一世帯ではないが住所が住民票上同じ。
③住民票上の住所は異なるが、実際には一緒に暮らしている。
老齢厚生年金の受給権者の子(15歳)の住民票上の住所が受給権者と異なっている場合でも、加給年金額の加算の対象となることがある。
正
特別支給の老齢厚生年金の支給開始年来に関する問です。
第1号厚生年金被保険者期間のみを有する女子は昭和21年4月2日~昭和41年4月1日生まれの者、第1号厚生年金被保険者期間のみを有する男子は昭和16年4月2日~昭和36年4月1日生まれの者が対象であり、男女で異なる生年月日の区分が適用されます。
正
女子であって第2号厚生年金被保険者であり、もしくは第2号厚生年金被保険者期間を有する者、第3号厚生年金被保険者であり、もしくは第3号厚生年金被保険者期間を有する者、または第4号厚生年金被保険者であり、もしくは第4号厚生年金被保険者期間を有する者(①)は男子と同じ生年月日の区分が適用されます。本肢の者は①に該当し、男子は同じ生年月日の区分が適用されます。
正
脱退一時金の額の計算について、平成15年4月1日前にある者に関する問です。
脱退一時金=①+②/全被保険者期間の月数*支給率
(支給率:前年10月の保険料率183/1000*1/2*政令で定める数(被保険者であった機関に係る被保険者期間))
①平成15年4月1日前の被保険者期間の各月の標準報酬月額*1.3の合計額
②平成15年4月1日以降の被保険者期間の各月の標準報酬月額及び標準賞与額の合計額
平成15年3月までは賞与に厚生年金保険料がかかっていなかったため、標準報酬月の単価が低い、統計上、賞与込みの標準報酬月額は1.3倍程度になります。
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