社会保険労務士の過去問
第53回(令和3年度)
厚生年金保険法 問5
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問題
社労士試験 第53回(令和3年度) 択一式 厚生年金保険法 問5 (訂正依頼・報告はこちら)
遺族厚生年金に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記のうちのどれか。
ア 老齢厚生年金の受給権者(被保険者ではないものとする。)が死亡した場合、国民年金法に規定する保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年であったとしても、その期間と同法に規定する合算対象期間を合算した期間が25年以上である場合には、厚生年金保険法第58条第1項第4号に規定するいわゆる長期要件に該当する。
イ 厚生年金保険の被保険者であった甲は令和3年4月1日に厚生年金保険の被保険者資格を喪失したが、厚生年金保険の被保険者期間中である令和3年3月15日に初診日がある傷病により令和3年8月1日に死亡した(死亡時の年齢は50歳であった。)。この場合、甲について国民年金の被保険者期間があり、当該国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が、当該国民年金の被保険者期間の3分の2未満である場合であっても、令和2年7月から令和3年6月までの間に保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がないときには、遺族厚生年金の支給対象となる。
ウ 85歳の老齢厚生年金の受給権者が死亡した場合、その者により生計を維持していた未婚で障害等級2級に該当する程度の障害の状態にある60歳の当該受給権者の子は、遺族厚生年金を受けることができる遺族とはならない。
エ 厚生年金保険の被保険者であった甲には妻の乙と、甲の前妻との間の子である15歳の丙がいたが、甲が死亡したことにより、乙と丙が遺族厚生年金の受給権者となった。その後、丙が乙の養子となった場合、丙の遺族厚生年金の受給権は消滅する。
オ 厚生年金保険の被保険者の死亡により、被保険者の死亡当時27歳で子のいない妻が遺族厚生年金の受給権者となった。当該遺族厚生年金の受給権は、当該妻が30歳になったときに消滅する。
ア 老齢厚生年金の受給権者(被保険者ではないものとする。)が死亡した場合、国民年金法に規定する保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年であったとしても、その期間と同法に規定する合算対象期間を合算した期間が25年以上である場合には、厚生年金保険法第58条第1項第4号に規定するいわゆる長期要件に該当する。
イ 厚生年金保険の被保険者であった甲は令和3年4月1日に厚生年金保険の被保険者資格を喪失したが、厚生年金保険の被保険者期間中である令和3年3月15日に初診日がある傷病により令和3年8月1日に死亡した(死亡時の年齢は50歳であった。)。この場合、甲について国民年金の被保険者期間があり、当該国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が、当該国民年金の被保険者期間の3分の2未満である場合であっても、令和2年7月から令和3年6月までの間に保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がないときには、遺族厚生年金の支給対象となる。
ウ 85歳の老齢厚生年金の受給権者が死亡した場合、その者により生計を維持していた未婚で障害等級2級に該当する程度の障害の状態にある60歳の当該受給権者の子は、遺族厚生年金を受けることができる遺族とはならない。
エ 厚生年金保険の被保険者であった甲には妻の乙と、甲の前妻との間の子である15歳の丙がいたが、甲が死亡したことにより、乙と丙が遺族厚生年金の受給権者となった。その後、丙が乙の養子となった場合、丙の遺族厚生年金の受給権は消滅する。
オ 厚生年金保険の被保険者の死亡により、被保険者の死亡当時27歳で子のいない妻が遺族厚生年金の受給権者となった。当該遺族厚生年金の受給権は、当該妻が30歳になったときに消滅する。
- (アとイ)
- (アとオ)
- (イとウ)
- (ウとエ)
- (エとオ)
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この過去問の解説 (3件)
01
設問ア.について
【正誤】正しい記述です。
【ポイント・考え方】
被保険者の資格期間をみる場合には、いわゆる合算対象期間は「含まれる」と理解しておきましょう。
念のためですが、この合算対象期間は、年金の額の算出には「含まれません」。
【学習・実務に向けたワンポイント】
遺族年金については、その特殊性(被保険者や被保険者であった人が亡くなるという、事前に予期しがたい事象であること)から、支給される要件が短期要件と長期要件に大きく分けられ、条件が規定されているので、整理しておくとよいでしょう。
設問イ.について
【正誤】正しい記述です。
【ポイント・考え方】
設問文のような場合、死亡した日が65歳未満で、令和8年3月31日までの間については、死亡日の属する月(令和3年8月)の前々月(令和3年6月)までの1年間が保険料納付済期間と保険料免除期間で満たされていれば(保険料滞納期間がなければ)遺族厚生年金の受給要件(いわゆる短期要件)に該当します。
【学習・実務でのワンポイント】
前の選択肢の解説文と同様です。
短期要件については、このような「○年○月○日まで」のような条件(経過措置)がつく場合があるので、注意しておくとよいでしょう。
設問ウ.について
【正誤】正しい記述です。
【ポイント・考え方】
遺族厚生年金の受給対象となる「子」の要件は主に以下の点です。
・18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること
・20歳未満で障害等級1級または2級の障害の状態にあること
・婚姻していないこと
設問文の場合、年齢要件を満たさず、遺族厚生年金を受けることができる遺族とはなりません。
【学習・実務でのワンポイント】
配偶者以外には、年齢や障害等級等の条件が追加されます。
この年齢や障害等級等の条件は、他の法令にも共通となるものが多いので、まとめて整理して理解しましょう。
設問エ.について
【正誤】誤った記述です。
【ポイント・考え方】
設問文の内容の場合、丙は甲の直系姻族の養子になったので、丙の遺族厚生年金の受給権は消滅しません。
甲の直系血族・直系姻族以外の養子になった場合(いわゆる離縁)には、受給権が消滅します。
甲に養われている状況が続いている(ように客観的に見える)か否かで、受給権の有無(消滅有無)が判断されると理解しておくとよいでしょう。
【学習・実務でのワンポイント】
「誰の」養子になるかが受給権の重要な判断ポイントとなるので、設問文の読解力が必要となる場合に備え、長文になった場合でも要点を押さえられるようにしておくとよいでしょう。
なお、遺族年金を受けている人が、直系血族・直系姻族以外の養子になった場合は、該当した日から起算して所定の日数以内に年金事務所等に届出が必要です。
設問オ.について
【正誤】誤った記述です。
【ポイント・考え方】
夫の死亡時に30歳未満で、子を養育しない妻等に対する遺族厚生年金は、5年間の有期給付となっています。
このため、設問文の妻は32歳になったときに受給権が消滅します。
【学習・実務でのワンポイント】
「夫」が死亡した場合の「妻」の受給権・支給年齢・給付条件などについては、国民年金の遺族基礎年金と厚生年金保険の遺族厚生年金とをあわせて整理しておくとよいでしょう。
本選択肢のような、若年(30歳未満)の子のない妻にかかる遺族給付は、知らないと割と気づかない、例外的な条件に該当するかと思います。
誤っているものの組合せはエとオです。
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02
ア.正
遺族厚生年金の死亡日要件に関する問です。要件は4つあり、うち3つは短期要件、残る1つ以下は長期要件に該当します。
老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限ります)又は保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上(合算対象期間を含む)ある者が死亡したとき
イ.正
遺族厚生年金の保険料納付要件の特例に関する問です。
令和8年4月1日前、死亡日の前日において死亡日の前々月までの1年間に保険料納付済期間と保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がなく、死亡日において65歳以上ではない場合、保険料の納付要件を満たします。
(障害厚生年金等の支給要件の特例)
第六十四条
2 令和八年四月一日前に死亡した者の死亡について厚生年金保険法第五十八条第一項ただし書の規定を適用する場合においては、同項ただし書中「三分の二に満たないとき」とあるのは、「三分の二に満たないとき(当該死亡日の前日において当該死亡日の属する月の前々月までの一年間(当該死亡日において国民年金の被保険者でなかつた者については、当該死亡日の属する月の前々月以前における直近の国民年金の被保険者期間に係る月までの一年間)のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がないときを除く。)」とする。ただし、当該死亡に係る者が当該死亡日において六十五歳以上であるときは、この限りでない。
ウ.正
遺族の範囲の要件に関する問いです。
子・孫は現に婚姻していないこと、且つ、
①18歳に達する日以降最初の3月31日までの間にあること
②20歳未満であって障害等級の1級又は2級に該当する障害状態にあること。
本肢の子は未婚ですが60歳のため遺族の範囲に該当しません。
エ.誤
遺族厚生年金の失権事由に関する問いです。
全ての受給権者に共通する失権事由として直系血族及び直系姻族以外の者の養子(事実上の養子縁組関係も含みます)となったときには失権します。
本肢では丙は養子縁組で乙の子となり、直系姻族の養子となります。従って遺族厚生年金の受給権は消滅しません。
厚生年金保険の被保険者であった甲には妻の乙と、甲の前妻との間の子である15歳の丙がいたが、甲が死亡したことにより、乙と丙が遺族厚生年金の受給権者となった。その後、丙が乙の養子となった場合、丙の遺族厚生年金の受給権は消滅する。
オ.誤
30歳未満の妻に係る失権事由に関する問です。
30歳未満で遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の受給権を取得しないとき(つまり子がいない)は遺族厚生年金の受給権を取得した日から5年を経過すると遺族厚生年金の受給権は消滅します。
厚生年金保険の被保険者の死亡により、被保険者の死亡当時27歳で子のいない妻が遺族厚生年金の受給権者となった。当該遺族厚生年金の受給権は、当該妻が30歳になったときに消滅する。
誤っているものの組合せはエとオです。
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03
ア、正解です。
遺族厚生年金の期間に関する問題です。
合算対象期間も合わせての25年になりますので
長期要件に該当します。
イ、正解です。
遺族厚生年金の保険料納付要件の問題です。
原則は、問題文から3分の2未満のためとあるため
満たしていませんが、特例を聞いています。
特例は、直近の1年間が未納が無ければ
納付要件を満たします。
期間は、死亡日の前々月からです。
死亡日は、令和3年8月1日ですから
6月からの1年です。
年齢は、65歳未満が条件です。
問題文から、50歳とありますので
年齢も要件を満たします。
ウ、正解です。
子の要件を聞いている問題です。
85歳で死亡し、子が60歳で障害がある
と問題文にあります。
子の要件は、
18歳3月31日まで
1・2級の障害20歳まで
ですので遺族とはなりません。
エ、間違いです。
遺族厚生年金の失権の問題です。
受給権者が、直系血族、直系姻族以外の養子
になった時に消滅します。
オ、間違いです。
30歳未満の妻の問題です。
子供がいない場合は、遺族厚生年金の受給権を取得
してから5年です。32歳です。
問題文は、30歳になっているので間違いです。
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