社会保険労務士の過去問
第53回(令和3年度)
厚生年金保険法 問6
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問題
社労士試験 第53回(令和3年度) 択一式 厚生年金保険法 問6 (訂正依頼・報告はこちら)
厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 第1号厚生年金被保険者であり、又は第1号厚生年金被保険者であった者は、厚生労働大臣において備えている被保険者に関する原簿(以下本問において「厚生年金保険原簿」という。)に記録された自己に係る特定厚生年金保険原簿記録(第1号厚生年金被保険者の資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬その他厚生労働省令で定める事項の内容をいう。以下本問において同じ。)が事実でない、又は厚生年金保険原簿に自己に係る特定厚生年金保険原簿記録が記録されていないと思料するときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができる。
- 事故が第三者の行為によって生じた場合において、2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る保険給付の受給権者が、当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府及び実施機関(厚生労働大臣を除く。)は、その価額をそれぞれの保険給付の価額に応じて按分した価額の限度で、保険給付をしないことができる。
- 同一の月において被保険者の種別に変更があったときは、その月は変更後の被保険者の種別の被保険者であった月とみなす。なお、同一月において2回以上にわたり被保険者の種別に変更があったときは、最後の被保険者の種別の被保険者であった月とみなす。
- 育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定若しくは産前産後休業を終了した際の標準報酬月額の改定を行うためには、被保険者が現に使用される事業所において、育児休業等終了日又は産前産後休業終了日の翌日が属する月以後3か月間の各月とも、報酬支払の基礎となった日数が17日以上でなければならない。
- 被保険者自身の行為により事業者から懲戒としての降格処分を受けたために標準報酬月額が低下した場合であっても、所定の要件を満たす限り、育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定は行われる。
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この過去問の解説 (3件)
01
解説は以下のとおりです。
【正誤】正しい記述です。
【ポイント・考え方】
記録が誤っている、もしくは記録がない、と思われる客観的な事実があれば、記録の訂正を請求する(申し入れる)ことができる、と理解しておきましょう。
【学習・実務でのワンポイント】
「誰に」対して請求するか、についてたまに引っかけ問題が出題されることがあるかもしれませんが、気にしなくてよいと筆者は考えています。
実際の訂正の請求については、年金事務所に提出しますし、仮に提出先が誤っていても、たいてい正しい提出先を教えてもらえます。
【正誤】正しい記述です。
【ポイント・考え方】
同一の事由について複数の制度から給付を受けられる場合は、一定の条件で調整(給付額の制限)がなされると理解しておきましょう。
これは、必要以上の保障を行うことがないようにし、不公平感の払拭と財源枯渇リスク回避のねらいがある、と推察しておくとよいでしょう。
【学習・実務でのワンポイント】
第三者の行為によるものは、当該第三者からの補償がまず優先されるので、もし第三者の行為に対し保険給付がなされた場合は、その範囲において損害賠償請求権がシフトされうる(代位取得)点も、あわせて理解しておくとよいでしょう。
(制度を問わず原則は上記のとおりです)
【正誤】正しい記述です。
【ポイント・考え方】
事務手続きも含めて簡易かつ分かりやすくするため、最後の変更をその月の適用条件とされる、と理解しておくとよいでしょう。
【学習・実務でのワンポイント】
他の法令においても、同一月において複数回の変更があった場合は、最後の変更内容が適用条件となるので、同様に理解しておくとよいでしょう。
【正誤】誤った記述です。
【ポイント・考え方】
標準報酬月額の改定にあたっては、報酬支払の基礎となった日数が「17日未満である月を除いて」標準報酬月額を算出します。
設問文において、「各月とも~17日以上でなければならない」点が誤りです。
(なお、本筋ではない考え方ですが、「~でなければならない」と設問文にあった場合に、それに該当しない条件・例に気づいたら、それをどのように適用・判断すればよいかが、同一設問文に記載されていない場合は、その設問文は「記述が不足している(=正確性に欠ける)」と判断してもよいかと思います)
【学習・実務でのワンポイント】
産前産後休業や育児休業は、実生活上はその後に「短時間労働」に引き続く場合が少なくないため、一連のライフステージにおける休業条件・労働条件・標準報酬などに関する法令・規定について整理しておくと、試験問題のみならず実生活でも役に立つことがあるでしょう。
【正誤】正しい記述です。
【ポイント・考え方】
育児休業等を終了した際の標準報酬月額改定となる事由の発生原因については、特に除外規定がなく、結果として標準報酬月額が条件に該当するような変更があった場合は、改定されうるものだと理解しておきましょう。
【学習・実務でのワンポイント】
産前産後休業や育児休業は、実生活上はその後に「短時間労働」に引き続く場合が少なくないため、一連のライフステージにおける休業条件・労働条件・標準報酬などに関する法令・規定について整理しておくと、試験問題のみならず実生活でも役に立つことがあるでしょう。
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02
1.正解です。
厚生年金原簿の訂正の問題です。
第1号厚生年金被保険者が、原簿の記録が
「思料」するときは、訂正の請求をする事ができます。
2.正解です。
第3者行為の2以上の種別があった時の問題です。
第3者行為における損害賠償請求は、按分します。
(被用者年金一元化の特例)
3.正解です。
種別変更の問題です。
変更後の種別の被保険者になります。
2回以上変更があれば、最後の方になります。
4.間違いです。
育児休業・産前産後休業を終了した時の改定の問題です。
3か月間の全部17日以上ではありません。
17日未満の月は「除き」ます。
5.正解です。
懲戒、降格処分があったとしても
標準報酬月額が低下した場合は改定します。
下がった理由までは聞いていません。
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03
解説は以下のとおりです。
正
厚生年金原簿の訂正の請求に関する問です。
(訂正の請求)第二十八条の二
第一号厚生年金被保険者であり、又はあつた者は、前条の原簿(以下「厚生年金保険原簿」という。)に記録された自己に係る特定厚生年金保険原簿記録(第一号厚生年金被保険者の資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬その他厚生労働省令で定める事項の内容をいう。以下この項において同じ。)が事実でない、又は厚生年金保険原簿に自己に係る特定厚生年金保険原簿記録が記録されていないと思料するときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができる。
正
損害賠償請求権との調整に関する問です。
例えば、公務員と私学教員の期間がある者について、保険給付の価額を公務員分を2,私学教員分を3などのように案分する。
(損害賠償請求権の特例)
第七十八条の二十五 二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る保険給付について、第四十条第二項の規定を適用する場合においては、同項中「その価額」とあるのは、「その価額をそれぞれの保険給付の価額に応じて按あん分した価額」とする。
正
被保険者期間の計算(同月得喪)に関する問です。
同月得喪の後更に被保険者の資格を取得した時は、後の資格取得についての期間のみで1カ月として参入します。
第二節 被保険者期間第十九条
5 同一の月において被保険者の種別に変更があつたときは、前項の規定により適用するものとされた第二項の規定にかかわらず、その月は変更後の被保険者の種別の被保険者であつた月(二回以上にわたり被保険者の種別に変更があつたときは、最後の被保険者の種別の被保険者であつた月)とみなす。
誤
育児休業・産前産後休業を終了した際の改定に関する問です。
報酬支払基礎日数が少ない月の扱いについては、3か月間に報酬支払の基礎となった日数が17日(短時間労働者にあっては11日)未満である月があるときは、その月を除いて計算します。
(育児休業等を終了した際の改定)
第二十三条の二 実施機関は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号。以下この項において「育児・介護休業法」という。)第二条第一号に規定する育児休業若しくは育児・介護休業法第二十三条第二項の育児休業に関する制度に準ずる措置若しくは育児・介護休業法第二十四条第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定により同項第二号に規定する育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業、国会職員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百八号)第三条第一項の規定による育児休業、国家公務員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百九号)第三条第一項(同法第二十七条第一項及び裁判所職員臨時措置法(昭和二十六年法律第二百九十九号)(第七号に係る部分に限る。)において準用する場合を含む。)の規定による育児休業、地方公務員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百十号)第二条第一項の規定による育児休業又は裁判官の育児休業に関する法律(平成三年法律第百十一号)第二条第一項の規定による育児休業(以下「育児休業等」という。)を終了した被保険者が、当該育児休業等を終了した日(以下この条において「育児休業等終了日」という。)において育児・介護休業法第二条第一号に規定する子その他これに類する者として政令で定めるもの(第二十六条において「子」という。)であつて、当該育児休業等に係る三歳に満たないものを養育する場合において、その使用される事業所の事業主を経由して主務省令で定めるところにより実施機関に申出をしたときは、第二十一条の規定にかかわらず、育児休業等終了日の翌日が属する月以後三月間(育児休業等終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となつた日数が十七日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。ただし、育児休業等終了日の翌日に次条第一項に規定する産前産後休業を開始している被保険者は、この限りでない。
育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定若しくは産前産後休業を終了した際の標準報酬月額の改定を行うためには、被保険者が現に使用される事業所において、育児休業等終了日又は産前産後休業終了日の翌日が属する月以後3か月間の各月とも、報酬支払の基礎となった日数が17日以上でなければならない。
正
選択肢「育児休業等を終了した際の・・・」と同じ規定です。
懲戒としての降格処分があった場合でも所定の要件に当てはまれば育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定は行われます。随時改定との比較では標準報酬月額が2等級以上変動しなくても行われ、固定的賃金に変更がなく、残業手当の減少でも改定されます。
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