社会保険労務士の過去問
第54回(令和4年度)
労働基準法及び労働安全衛生法 問4
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問題
社労士試験 第54回(令和4年度) 択一式 労働基準法及び労働安全衛生法 問4 (訂正依頼・報告はこちら)
労働基準法の総則(第1条〜第12条)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 労働基準法第1条にいう「労働関係の当事者」には、使用者及び労働者のほかに、それぞれの団体である使用者団体と労働組合も含まれる。
- 労働基準法第3条にいう「信条」には、特定の宗教的信念のみならず、特定の政治的信念も含まれる。
- 就業規則に労働者が女性であることを理由として、賃金について男性と差別的取扱いをする趣旨の規定がある場合、現実には男女差別待遇の事実がないとしても、当該規定は無効であり、かつ労働基準法第4条違反となる。
- 使用者の暴行があっても、労働の強制の目的がなく、単に「怠けたから」又は「態度が悪いから」殴ったというだけである場合、刑法の暴行罪が成立する可能性はあるとしても、労働基準法第5条違反とはならない。
- 法令の規定により事業主等に申請等が義務付けられている場合において、事務代理の委任を受けた社会保険労務士がその懈怠により当該申請等を行わなかった場合には、当該社会保険労務士は、労働基準法第10条にいう「使用者」に該当するので、当該申請等の義務違反の行為者として労働基準法の罰則規定に基づいてその責任を問われうる。
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この過去問の解説 (3件)
01
労働基準法の総則部分は、ごく基本的な事項が整理されているので、一度本腰で学習すると、基本的な設問は正誤の判断が容易になると考えます。それでは問題文を見ていきましょう。
本設問文のとおりです。
定義・意義として、このまま覚えてしまいましょう。
本設問文のとおりです。
本設問文のように「政治的」信念も「信条」に含まれる点を、理解しておきましょう。
本設問文の場合、該当の規定は無効であるが、該当の事実がない場合は、労働基準法第4条違反にはなりません。
法令違反は、そのような事実が発生した場合に認識・処理されうるものと理解しておくとよいでしょう。
本設問文の場合は、暴行の目的が「労働の強制」ではないため、労働基準法第5条違反にはなりません。
労働基準法第5条が思い出せなくても、本設問はぜひ正誤の見当をつけられるようになってほしいと筆者は考えています。
本設問文のとおりです。
本設問文の社会保険労務士は、「懈怠」(かいたい:必要な注意義務を怠ること)の場合は責任を問われうる点を理解しておきましょう。
社会保険労務士になろうとする人は、実際になった後、「懈怠」により申請等を怠ることがないように気をつけましょう。
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02
労働基準法の総則からの出題です。正解肢の男女同一賃金の原則は法律の趣旨から考え、他の選択肢との消去法で推論できれば得点できます。
正:労働条件の原則からの出題です。労働関係の当事者には使用者及び労働者の他、使用者の団体や労働組合を含むとされています。
(労働条件の原則)
第一条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
② この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。
正:均等待遇からの出題です。信条には特定の宗教的・政治的信念をいうとされています。社会的身分については、生来の身分をいい、会社での地位などは含まないとされています。
(均等待遇)
第三条 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
誤:男女同一賃金の原則からの出題です。平9.9.25基発648号就業規則に差別的待遇の規定があるだけで、差別の事実がなければ、法4条違反ではありません。ただし、就業規則のその規定は無効となります(無効にはなるが事実がなければ違反ではない)。
(男女同一賃金の原則)
第四条 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。
正:強制労働からの出題です。条文から労働を強制してはならないと記載があるため、労働の強制の目的がない場合については法5条違反にはなりません。ちなみに法5条違反は労働基準法上最も重い罰則(1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金)が科されます。
(強制労働の禁止)
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
正:両罰規定からの出題です。昭62.3.26基発169号事務代理の委任を受けた社会保険労務士の扱いとして、その懈怠により法令の規定による申請などを行わなかった場合には、当該社会保険労務士は労働基準法第10条にいう「使用者」及び両罰規定による「代理人、使用人その他の従事者」に該当する・・・と責任を問われます。
第百二十一条 この法律の違反行為をした者が、当該事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為した代理人、使用人その他の従業者である場合においては、事業主に対しても各本条の罰金刑を科する(行為者と事業主の両方を罰する)。
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03
この問題は、労働基準法の総則に関する知識を問うものです。
総則には、労働基準法の基本的な原則や労働関係の当事者の定義、均等待遇や男女同一賃金の原則、強制労働の禁止などが含まれています。
正しい
解説:労働基準法第1条では、「労働関係の当事者」として、使用者と労働者だけでなく、それぞれの団体である使用者団体と労働組合も含まれます。
正しい
解説:第3条における「信条」には、宗教的信念だけでなく、政治的信念も含まれると解釈されます。
誤り
解説:男女差別の禁止は第4条で定められていますが、就業規則に差別的規定がある場合、その規定自体は無効ですが、実際に男女差別待遇がない限り第4条違反にはなりません。
正しい
解説:第5条は強制労働を禁じるものであり、使用者による暴行が労働の強制目的でない限り、この条文の違反にはなりません。
ただし、刑法上の暴行罪には該当する可能性があります。
正しい
解説:第10条によると、事務代理を受けた社会保険労務士がその懈怠により法定の申請を行わなかった場合、使用者としての責任が問われることがあります。
労働基準法の総則部分は、労働関係の基本的な枠組みや原則を定めています。
これらの規定は、使用者と労働者の権利と義務に影響を与えるため、正しく理解することが重要です。
特に、均等待遇の原則や男女同一賃金の原則、強制労働の禁止などは、労働法の基本的な概念を形成しています。
また、実際の適用に際しては、条文の文言だけでなく、その背景にある法の精神や目的を理解することが求められます。
労働基準法の適用においては、具体的な事例や状況に応じた柔軟な解釈が必要となることが多いです。
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