建設業の事業における各種責任者の選任や、各種順守規定にかかる設問文です。
建設業の事業になじみがない人もいるかもしれませんが、設問文を落ち着いて読み解くことで、正誤が判断できるものもあります。それでは問題を見ていきましょう。
選択肢1. 甲社は、統括安全衛生責任者を選任しなければならない。
設問の建設業の事業における作業場所の労働者数は、合計で常時 53 人(=5人+10人+10人+14人+14人)とカウントします。
よって、常時50人以上の労働者数となるため、甲社は統括安全衛生責任者を選任しなければなりません。
選択肢2. 甲社は、元方安全衛生管理者を選任しなければならない。
甲社は、統括安全衛生責任者を選任しなければならない建設業の事業者のため、元方安全衛生管理者を選任し、統括安全衛生責任者と一体となって現場の統括安全衛生管理に努めていかなければなりません。
選択肢3. 甲社は、当該建設工事の請負契約を締結している事業場に、当該建設工事における安全衛生の技術的事項に関する管理を行わせるため店社安全衛生管理者を選任しなければならない。
店社安全衛生管理者は、統括安全衛生責任者を選任しなくてもよい事業場(=労働者数が50人未満の事業場)のうち一定規模以上の場合に選任しなければならないので、本設問文の事業場では、店社安全衛生管理者を選任する必要はありません。
選択肢4. 甲社は、労働災害を防止するために協議組織を設置し運営しなければならないが、この協議組織には自社が請負契約を交わした乙①社及び乙②社のみならず丙①社及び丙②社も参加する組織としなければならない。
甲社は、労働災害を防止するため、自社が請負契約を交わした全社を協議組織に参加させ、当該防止措置を実態として意味のあるものとする必要があります。
選択肢5. 甲社は、丙②社の労働者のみが使用するために丙②社が設置している足場であっても、その設置について労働安全衛生法又はこれに基づく命令の規定に違反しないよう必要な指導を行わなければならない。
甲社は、関係請負人のみが使用する設備・装置であっても、事業場において労働災害を防止するために必要な指導を行う必要があります。
まとめ
建設業の事業においては、「元方事業者が、関係請負人を含めて事業場全体を統括管理し、労働災害を防止する」点を理解しておくことで、設問文の正誤が判断できるものが少なくありません。落ち着いて読み解いていきましょう。