社会保険労務士の過去問
第54回(令和4年度)
労働基準法及び労働安全衛生法 問9
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問題
社労士試験 第54回(令和4年度) 択一式 労働基準法及び労働安全衛生法 問9 (訂正依頼・報告はこちら)
労働安全衛生法に定める作業主任者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 労働安全衛生法施行令第6条第18号に該当する特定化学物質を取り扱う作業については特定化学物質作業主任者を選任しなければならないが、作業が交替制で行われる場合、作業主任者は各直ごとに選任する必要がある。
- 特定化学物質作業主任者の職務は、作業に従事する労働者が特定化学物質に汚染され、又はこれらを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮することにあり、当該作業のために設置されているものであっても、局所排気装置、除じん装置等の装置を点検することは、その職務に含まれない。
- 労働安全衛生法施行令第6条第18号に該当する特定化学物質を取り扱う作業については特定化学物質作業主任者を選任しなければならないが、金属製品を製造する工場において、関係請負人の労働者が当該作業に従事する場合、作業主任者は元方事業者が選任しなければならない。
- 事業者は、作業主任者を選任したときは、当該作業主任者の氏名及びその者に行わせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知するよう努めなければならないとされている。
- 労働安全衛生法第14条において、作業主任者は、選任を必要とする作業について、経験、知識、技能を勘案し、適任と判断される者のうちから、事業者が選任することと規定されている。
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この過去問の解説 (3件)
01
作業主任者の選定が必要な危険作業については、なじみのある人が少ないかもしれませんが、設問文をよく読むと、経験がなくても正誤の判断が可能なものも混じっていますので、落ち着いて解いていくとよいでしょう。それでは問題文を見ていきましょう。
本設問文のとおりです。
本設問文のようないわゆる危険作業については、当該作業を行っている間は常時、(異常時に適切な対応が可能と判断される)作業主任者がいる必要がある点は、推察が可能と考えます。
局所排気装置、除じん装置等の装置を点検することも職務に含まれています。
作業主任者には、労働者を特定化学物質から守るために、本設問文のような装置点検も職務に含まれる(べき)と判断することは可能であろうと筆者は考えます。
関係請負人の労働者が作業主任者を選任すべき作業に従事する場合には、当該労働者に係る事業者である「関係請負人」が作業主任者を選任しなければなりません。
元方事業者が選任すべき者(・職務・有資格者等)と、作業主任者である当該労働者を雇用している事業主が選任すべき者(・職務・有資格者等)とを、一度整理しておくとよいでしょう。
ごく簡単に言うと、「複数の作業をまとめる現場全体」にかかるものは元方事業者、「個々の作業」に特化するものは該当の労働者にかかる事業主、と理解しておくとよいでしょう。
関係労働者に「周知させなければならない」とされており、「努力義務」ではなく、「義務」になります。
作業主任者は、労働災害を防止するための管理を必要とする一定の作業について、その作業の区分に応じて選任が義務付けられているものであるため、 周知は義務であると判断することが可能と考えます。
作業主任者は、「都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者」のうちから、選任しなければなりません。
作業主任者は、労働災害を防止するための管理を必要とする一定の作業について、その作業の区分に応じて選任が義務付けられているものであるため、「経験、知識、技能を勘案し、適任と判断される者」から選任するのでは、非常に危険であると判断することは可能であろうと考えます。
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02
作業主任者に関する問です。特定化学物質に関する選択肢は聞き慣れない内容で現場で持っている知識と常識から類推するしかないような問です。他の選択肢はテキストに記載の内容で消去法より消すことができます。
正:昭和48年3月19日基発145号からの出題ですが、正誤の判断はつかない前提で考えます。・・・作業が交替制で行われる場合、作業主任者は各直ごとに選任する必要がある。作業主任者とは高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、作業主任者を選任しなければなららないと規定があります。
本択では作業が交代制で行われており、各直なので交代制の勤務形態と想定されます。作業主任者が労働災害を防止する目的ですが、例えば日中の班にはいるが、夜はいないというのは本来の目的を達成できないのではないかと推測されます。
誤:特定化学物質障害予防規則28条からの出題ですが、なかなかわからないです。わからない前提で考えてみます。作業主任者が作業方法を決定して労働者を指揮はするが、定期的に点検をしないと問題が発生しそうな装置を放置することが認められるかと考えられると思います。
(特定化学物質作業主任者の職務)
第二十八条 事業者は、特定化学物質作業主任者に次の事項を行わせなければならない。
一 作業に従事する労働者が特定化学物質により汚染され、又はこれらを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。
二 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置、排液処理装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置を一月を超えない期間ごとに点検すること。
三 保護具の使用状況を監視すること。
四 タンクの内部において特別有機溶剤業務に労働者が従事するときは、第三十八条の八において準用する有機則第二十六条各号に定める措置が講じられていることを確認すること。
労働者を指揮することにあり、当該作業のために設置されているものであっても、局所排気装置、除じん装置等の装置を点検することは、その職務に含まれない。
誤:金属製品を製造する工場において、作業主任者を元方事業者が選任しなければならないかは元請負人が選任するような印象も持ちますが、正しくは関係請負人が選任するとされています。
(作業主任者)
第十四条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
・・・関係請負人の労働者が当該作業に従事する場合、作業主任者は元方事業者が選任しなければならない。
誤:作業主任者の周知は義務か努力義務かですが、こちらは義務となります。もし努力義務でしたら周知しなくてもよいということになり、実務上それは困ることとなります。
(作業主任者の氏名等の周知)
第十八条 事業者は、作業主任者を選任したときは、当該作業主任者の氏名及びその者に行なわせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければならない。
作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知するよう努めなければならないとされている。
誤:作業主任者に求められる資格に関する問です。免許を受けた者、技能講習を修了したものと規定されています。事業者の判断で自由に選任できるものではありません。
(作業主任者)
第十四条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
作業主任者は、選任を必要とする作業について、経験、知識、技能を勘案し、適任と判断される者のうちから、事業者が選任することと規定されている。
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03
この問題は、労働安全衛生法に定められている作業主任者の選任や職務に関する規定を理解しているかを問う内容です。
特定の化学物質を取り扱う作業や、作業主任者の職務範囲、選任の要件などが問われています。
正しい
解説:労働安全衛生法施行令第6条第18号に該当する特定化学物質を取り扱う作業では、特定化学物質作業主任者を選任する必要があります。
作業が交替制で行われる場合、各交代ごとに選任する必要があります。
これは、交替制作業の特性を考慮した上で、常に作業主任者が作業の安全を監督するために必要です。
誤り
解説:特定化学物質作業主任者の職務は、作業員が特定化学物質に汚染されないように作業方法を決定し、指揮することに加え、局所排気装置、除じん装置等の装置の点検も含まれます。
これは、作業環境の安全性を確保するために不可欠な職務です。
誤り
解説:関係請負人の労働者が特定化学物質を取り扱う作業に従事する場合、作業主任者は関係請負人の事業者が選任する必要があります。
元方事業者が選任する必要はありません。
これは、それぞれの事業者が自身の労働者に対する安全衛生管理の責任を負うためです。
誤り
解説:事業者は、作業主任者を選任した場合、その者の氏名と職務内容を作業場の見やすい箇所に掲示するなどして関係労働者に周知する義務があります。
これにより、労働者が誰が作業主任者であるかを知り、必要に応じて安全に関する相談や指導を受けることができます。
誤り
解説:労働安全衛生法第14条では、作業主任者は特定の技能講習を修了した者や必要な免許を持つ者から選任されることが規定されています。
単に経験、知識、技能を考慮して適任と判断される者から選任するわけではありません。
これは、特定の危険な作業に必要な専門的な知識や技能を持つ者が作業主任者として選ばれることを保証するためです。
作業主任者の選任や職務に関する問題では、労働安全衛生法の具体的な規定を理解することが重要です。
特に特定の危険な作業を行う際の作業主任者の選任基準や、彼らの職務範囲、周知義務についての知識が必要です。
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