社労士の過去問 第54回(令和4年度) 労働者災害補償保険法 問5
この過去問の解説 (3件)
通勤災害に該当するか否かについては、多数の判例・指針等が出されています。
数多くふれることで、通勤災害に該当するか否かの判断が容易になるでしょう。それでは問題を見ていきましょう。
本設問文のとおりです。
本設問文の内容は、15日間継続的に世話のため泊まり込んでおり、長女宅が「住居」と認められ、通勤災害に当たります。
「住居」に相当すると認定されるための客観的な継続期間として、本設問のような15日間がありますので、理解しておくとよいでしょう。
本設問文の負傷は、通勤災害に当たります。
アパートについては、自室のドア(外戸)が住居と通勤経路との境界であるので、ドアから出て1階に降りようとした時にした負傷は、通勤経路上の災害として通勤災害に当たります。
住居「外」か住居「内」と認定されるかにより、通勤災害に当たるか否かが変わりますので、設問文を留意して読み取るようにしましょう。
本設問文のとおりです。
一戸建て住宅では門が住居と通勤経路との境界と考えられています。
(一般人が自由に通行できる場所か否かで判断されます)
したがって、自宅の門をくぐった後の自宅敷地内の負傷は、通勤災害には当たりません。
本設問文のとおりです。
通勤災害の認定にあたっては、就業の場所について、業務を開始する場所・業務を終了する場所がポイントとなります。
本設問文のとおりです。
長期入院中の夫の看護は、やむを得ない事情に該当するため、当該看病のために1か月間継続して宿泊した病院については、通勤災害の認定にあたり「住居」と判断されます。
本来の住居ではない場所と勤務先との行き来については、やむを得ない事情と判断されるか否かで通勤災害の認定が変わってくる点を、各種事例から認識できるようにしておくとよいでしょう。
通勤の定義を問うものです。通勤には3つの種類があり、各選択肢の事例はどれに該当するかを考えて正誤の判断を行います。
正:「住居」とは労働者が居住して、日常生活の用に供している家屋等の場所で本人の就業のための拠点となるところです。労働者が長女宅に15日間泊まり込んでいる場所は住居と認められます。従って住居から就業の場所への移動は通勤に相当します。
誤:アパートの2階の自室のドアから出た時点で通勤が始まっていると考えられます。もし住居が一戸建ての家の場合、自宅のドアを出て玄関の門をくぐるところまでは自宅内のためその間に発生する負傷については通勤災害とは認められません。
正:一戸建ての家の場合、自宅の門をくぐる時点ですでに通勤が終了しているため、通勤災害には当たりません。
正:「就業の場所」とは労働者が業務を開始し、又は終了する場所を言います。外勤業務に従事する労働者(平28.12.28基発1228第1号)外勤業務に従事する労働者で、特定区域を担当し、区域内にある数か所の用務先を受け持って自宅との間を往復している場合には、自宅を出てから最初の用務先が業務の開始場所であり、最後の用務先が業務終了の場所と認められます。
正:「住居」とは労働者が居住して、日常生活の用に供している家屋等の場所で本人の就業のための拠点となるところです。長期入院中の夫の看護のために病院に1か月間継続して宿泊した場合、当該病院は就業のための拠点と認められます。
この問題では、通勤災害に該当するかどうかに関する各事例を評価することが求められています。
通勤災害は、労働者が就業に関連して住居と就業場所の間を往復する途中で発生した負傷、疾病、障害、または死亡を指します。
重要なのは、「住居」と「就業の場所」の定義と、それらに基づく通勤の範囲の理解です。
正しい
解説:長女宅での一時的な滞在は、特定の状況下では「住居」として認められます。
この場合、労働者が長女宅を一時的な住居として使用し、そこから就業場所への往復が通勤と認められるため、通勤災害に該当します。
誤り
解説:アパートの2階の部屋から1階に降りる際の転倒も通勤災害に当たります。
アパートの部屋のドアを出る瞬間から通勤が始まると考えられ、その後の転倒は通勤経路上で発生した災害として通勤災害に該当します。
正しい
解説:一戸建て住宅においては、門をくぐった時点で住居の範囲を超え、通勤が終了します。
正しい
解説:外回りの営業担当者にとっては、得意先は業務遂行の場所です。
正しい
解説:長期入院中の家族の看護のために病院に宿泊した場合、病院は一時的な「住居」として認識されます。
通勤災害の判断は、「住居」から「就業場所」への移動に関連して発生した負傷や疾病が、その移動が合理的な経路及び方法によって行われたかどうかに基づきます。
特にアパートや一戸建て住宅における住居の境界の理解が重要です。
また、一時的な滞在場所や業務の性質によっても通勤災害の認定が異なることを理解することが重要です。
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