社会保険労務士の過去問
第54回(令和4年度)
健康保険法 問3
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問題
社労士試験 第54回(令和4年度) 択一式 健康保険法 問3 (訂正依頼・報告はこちら)
健康保険法に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。
ア 健康保険法第100条では、「被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、政令で定める金額を支給する。」と規定している。
イ 被保険者が療養の給付(保険外併用療養費に係る療養を含む。)を受けるため、病院又は療養所に移送されたときは、保険者が必要であると認める場合に限り、移送費が支給される。移送費として支給される額は、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により保険者が算定した額から3割の患者自己負担分を差し引いた金額とする。ただし、現に移送に要した金額を超えることができない。
ウ 全国健康保険協会(以下本問において「協会」という。)が都道府県単位保険料率を変更しようとするときは、あらかじめ、協会の理事長が当該変更に係る都道府県に所在する協会支部の支部長の意見を聴いたうえで、運営委員会の議を経なければならない。その議を経た後、協会の理事長は、その変更について厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
エ 傷病手当金の支給を受けている期間に別の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき傷病手当金の支給を受けることができるときは、後の傷病に係る待期期間の経過した日を後の傷病に係る傷病手当金の支給を始める日として傷病手当金の額を算定し、前の傷病に係る傷病手当金の額と比較し、いずれか多い額の傷病手当金を支給する。その後、前の傷病に係る傷病手当金の支給が終了又は停止した日において、後の傷病に係る傷病手当金について再度額を算定し、その額を支給する。
オ 指定訪問看護事業者は、指定訪問看護に要した費用につき、その支払を受ける際、当該支払をした被保険者に対し、基本利用料とその他の利用料を、その費用ごとに区分して記載した領収書を交付しなければならない。
ア 健康保険法第100条では、「被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、政令で定める金額を支給する。」と規定している。
イ 被保険者が療養の給付(保険外併用療養費に係る療養を含む。)を受けるため、病院又は療養所に移送されたときは、保険者が必要であると認める場合に限り、移送費が支給される。移送費として支給される額は、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により保険者が算定した額から3割の患者自己負担分を差し引いた金額とする。ただし、現に移送に要した金額を超えることができない。
ウ 全国健康保険協会(以下本問において「協会」という。)が都道府県単位保険料率を変更しようとするときは、あらかじめ、協会の理事長が当該変更に係る都道府県に所在する協会支部の支部長の意見を聴いたうえで、運営委員会の議を経なければならない。その議を経た後、協会の理事長は、その変更について厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
エ 傷病手当金の支給を受けている期間に別の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき傷病手当金の支給を受けることができるときは、後の傷病に係る待期期間の経過した日を後の傷病に係る傷病手当金の支給を始める日として傷病手当金の額を算定し、前の傷病に係る傷病手当金の額と比較し、いずれか多い額の傷病手当金を支給する。その後、前の傷病に係る傷病手当金の支給が終了又は停止した日において、後の傷病に係る傷病手当金について再度額を算定し、その額を支給する。
オ 指定訪問看護事業者は、指定訪問看護に要した費用につき、その支払を受ける際、当該支払をした被保険者に対し、基本利用料とその他の利用料を、その費用ごとに区分して記載した領収書を交付しなければならない。
- (アとイ)
- (アとウ)
- (イとエ)
- (イとオ)
- (エとオ)
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この過去問の解説 (3件)
01
移送費について自己負担割合がないという論点は過去にも出題されており、誤りと判断できます。組み合わせ問題のため、これと一緒に組み合わせとなっている選択肢に絞り正誤判断をします。埋葬料の規定は正しいため、複数傷病の傷病手当金と領収書の規定のいずれかが誤りとなりますが、領収書の規定は基本事項のため、消去法で正解肢を選べるかというところです。
ア:正
条文ベースの出題で正しいです。
(埋葬料)
第百条 被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、政令で定める金額を支給する。
イ:誤
移送費の定義に関する問です。移送を行うタクシー会社などは医療機関ではないため療養の給付のような負担割合はありません。
(移送費の額)
第八十条 法第九十七条第一項の厚生労働省令で定めるところにより算定した金額は、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により算定した金額とする。ただし、現に移送に要した費用の金額を超えることができない。
「・・・移送された場合の費用により保険者が算定した額から3割の患者自己負担分を差し引いた金額・・・」
ウ:正
保険料率の変更に関する手続きを問うもので正しいです。
(保険料率)
第百六十条
6 協会が都道府県単位保険料率を変更しようとするときは、あらかじめ、理事長が当該変更に係る都道府県に所在する支部の支部長の意見を聴いた上で、運営委員会の議を経なければならない。
エ:誤
複数の傷病について傷病手当金の支給を受ける場合、後の傷病の傷病手当金の算定はいつ行うかという問です。文章が長く、具体的な状況を想像しにくいですが、後の傷病は後の傷病の対期間の完了後に1回算定します。前の傷病の傷病手当金の支給が終了した後にもう一度算定することがありません。平成27年12月18日事務連絡
「・・・その後、前の傷病に係る傷病手当金の支給が終了又は停止した日において、後の傷病に係る傷病手当金について再度額を算定し、・・・」
オ:正
訪問看護療養費の領収書に関する規定です。基本利用料とその他、保険がきかない料金と領収書の明細を分ける必要があります。
(訪問看護療養費に係る領収証)
第七十二条 指定訪問看護事業者は、法第八十八条第九項の規定により交付しなければならない領収証には、指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成十二年厚生省令第八十号)第十三条第一項に規定する基本利用料及び同条第二項に規定するその他の利用料について、個別の費用ごとに区分して記載しなければならない。
(イとエ)が誤りです。
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02
健康保険法には、個人(1人ひとり)に深く影響/関係する事項と、事業者側/組織側に(のみ)影響/関係する事項とが混在しています。まずは個人(1人ひとり)に関係する事項について、実生活をイメージしながら設問に臨むと理解がしやすくなるでしょう。
それでは問題文を見ていきましょう。
本選択肢が正答です。(誤った記述を含む文です)
移送費については、療養の給付における3割自己負担がない点を理解しておきましょう。
複数の傷病により障害手当金を受給している場合、前後の傷病を比較した上で傷病手当金の支給額を決めているため、
その後前の傷病(のみ)が支給終了等となった場合でも、既に後の傷病についても考慮された手当金の額となっているため、
改めて再算定を行う必要がない、と理解しておくとよいでしょう。
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03
組み合わせ問題ですが、一つ一つの選択肢は基本的なところからの出題が多く、正しい組み合わせを選択することは難しくないと思われますが、正解の選択肢の組み合わせは、少し細かい内容からの出題でしたので、消去法等で正解を導く方法が望ましいといえます。
ア:正しい(根拠)法100条1項
被保険者が死亡したときは、「その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、政令で定める金額(5万円)を支給する。」とされています。
イ:誤り(根拠)法97条、則80条
移送費の額は「最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により保険者が算定した額」で、保険者が算定した額から3割の患者自己負担分を差し引いた金額ではありません。
よって、この組み合わせは誤り。
ア:正しい(根拠)法100条1項
被保険者が死亡したときは、「その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、政令で定める金額(5万円)を支給する。」とされています。
ウ:正しい(根拠)法160条6項、8項
全国健康保険協会が都道府県単位保険料率を変更しようとするときは、あらかじめ、協会の理事長が当該変更に係る都道府県に所在する協会支部の支部長の意見を聴いたうえで、運営委員会の議を経なければなりません。また、その変更について厚生労働大臣の認可を受けなければなりません。
よって、この組み合わせは誤りです。
イ:誤り(根拠)法97条、則80条
移送費の額は「最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により保険者が算定した額」で、保険者が算定した額から3割の患者自己負担分を差し引いた金額ではありません。
エ:誤り(根拠)法99条、則84条の2 7項、H27.12.18事務連絡
傷病手当金の支給を受けている期間に別の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき傷病手当金の支給を受けることができるときは、後の傷病に係る待期期間の経過した日を後の傷病に係る傷病手当金の支給を始める日として傷病手当金の額を算定し、前の傷病に係る傷病手当金の額と比較し、いずれか多い額の傷病手当金を支給します。
なお、「一旦傷病手当金の額を決定すれば、その後標準報酬月額 の変動があったとしても、傷病手当金の額は変更しない。」とされていることから、再度額の計算を行うことはありません。
(参考)H27.12.18事務連絡
https://www.office-sato.jp/wp/wp-content/uploads/2016/02/2015.12.18_kenpo_kaisei_qa.pdf
よって、この組み合わせが正しい組み合わせとなります。
イ:誤り(根拠)法97条、則80条
移送費の額は「最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により保険者が算定した額」で、保険者が算定した額から3割の患者自己負担分を差し引いた金額ではありません。
オ:正しい(根拠)法88条9項、則72条
指定訪問看護に要した費用につき、その支払を受ける際、当該支払をした被保険者に対し、基本利用料とその他の利用料を、その費用ごとに区分して記載した領収書を交付しなければなりません。
よって、この組み合わせは誤りとなります。
エ:誤り(根拠)法99条、則84条の2 7項、H27.12.18事務連絡
傷病手当金の支給を受けている期間に別の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき傷病手当金の支給を受けることができるときは、後の傷病に係る待期期間の経過した日を後の傷病に係る傷病手当金の支給を始める日として傷病手当金の額を算定し、前の傷病に係る傷病手当金の額と比較し、いずれか多い額の傷病手当金を支給します。
なお、「一旦傷病手当金の額を決定すれば、その後標準報酬月額 の変動があったとしても、傷病手当金の額は変更しない。」とされていることから、再度額の計算を行うことはありません。
(参考)H27.12.18事務連絡
https://www.office-sato.jp/wp/wp-content/uploads/2016/02/2015.12.18_kenpo_kaisei_qa.pdf
オ:正しい(根拠)法88条9項、則72条
指定訪問看護に要した費用につき、その支払を受ける際、当該支払をした被保険者に対し、基本利用料とその他の利用料を、その費用ごとに区分して記載した領収書を交付しなければなりません。
よって、この組み合わせは誤りとなります。
エが細かいところからの出題でしたが、組み合わせの選択肢から容易に正解の組み合わせを選ぶことができたのではないかと考えられます。
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