社会保険労務士の過去問
第54回(令和4年度)
国民年金法 問6

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問題

社労士試験 第54回(令和4年度) 択一式 国民年金法 問6 (訂正依頼・報告はこちら)

国民年金法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 子の遺族基礎年金については、受給権発生後当該子が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間に障害等級に該当する障害の状態となり、以降当該子が20歳に達するまでの間障害の状態にあったときは、当該子が18歳に達する日以後の最初の3月31日を過ぎても20歳に達するまで遺族基礎年金を受給できる。なお、当該子は婚姻していないものとする。
  • 第3号被保険者の資格取得の届出を遅れて行ったときは、第3号被保険者の資格を満たしていたと認められた場合は該当した日にさかのぼって第3号被保険者の資格を取得することになるが、この場合において、保険料納付済期間に算入される期間は当該届出を行った日の属する月の前々月までの2年間である。ただし、届出の遅滞につきやむを得ない事由があると認められるときは、厚生労働大臣にその旨の届出をすることができ、その場合は当該届出が行われた日以後、当該届出に係る期間は保険料納付済期間に算入する。
  • 平成17年4月1日前に第3号被保険者であった者で、その者の第3号被保険者期間の未届期間については、その届出を遅滞したことについてやむを得ない事由があると認められない場合でも、厚生労働大臣に届出が行われたときは、当該届出が行われた日以後、当該届出に係る期間は保険料納付済期間に算入する。
  • 国庫は、当分の間、毎年度、国民年金事業に要する費用に充てるため、当該年度における国民年金法による付加年金の給付に要する費用及び同法による死亡一時金の給付に要する費用(同法第52条の4第1項に定める額に相当する部分の給付に要する費用を除く。)の総額の4分の1に相当する額を負担する。
  • 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の任意加入被保険者が、日本国内に住所を有しなくなったときは、その日に任意加入被保険者資格を喪失する。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題で覚えておくポイントは「遺族基礎年金の子の受給権」「第3号被保険者の資格取得の届出の時効」「平成17年4月1日前の第3号被保険者期間の未届期間」「国庫負担」「任意加入被保険者の資格喪失」についてになります。

選択肢1. 子の遺族基礎年金については、受給権発生後当該子が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間に障害等級に該当する障害の状態となり、以降当該子が20歳に達するまでの間障害の状態にあったときは、当該子が18歳に達する日以後の最初の3月31日を過ぎても20歳に達するまで遺族基礎年金を受給できる。なお、当該子は婚姻していないものとする。

(〇)

受給権発生後、当該子が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間に障害等級に該当する障害の状態となり、20歳に達するまでの間障害の状態にあったときは、20歳に達するまで遺族基礎年金を受給できます。

選択肢2. 第3号被保険者の資格取得の届出を遅れて行ったときは、第3号被保険者の資格を満たしていたと認められた場合は該当した日にさかのぼって第3号被保険者の資格を取得することになるが、この場合において、保険料納付済期間に算入される期間は当該届出を行った日の属する月の前々月までの2年間である。ただし、届出の遅滞につきやむを得ない事由があると認められるときは、厚生労働大臣にその旨の届出をすることができ、その場合は当該届出が行われた日以後、当該届出に係る期間は保険料納付済期間に算入する。

(〇)

第3号被保険者の資格取得の届出を遅れに関する時効は、保険料納付済期間に算入される期間は当該届出を行った日の属する月の前々月までの原則2年間です。

選択肢3. 平成17年4月1日前に第3号被保険者であった者で、その者の第3号被保険者期間の未届期間については、その届出を遅滞したことについてやむを得ない事由があると認められない場合でも、厚生労働大臣に届出が行われたときは、当該届出が行われた日以後、当該届出に係る期間は保険料納付済期間に算入する。

(〇)

平成17年4月1日前に第3号被保険者であった者の第3号被保険者期間の未届期間は、遅滞したことについてやむを得ない事由があると認められない場合でも、厚生労働大臣に届出が行われた日以降、当該届出に係る期間は保険料納付済期間に算入します。

選択肢4. 国庫は、当分の間、毎年度、国民年金事業に要する費用に充てるため、当該年度における国民年金法による付加年金の給付に要する費用及び同法による死亡一時金の給付に要する費用(同法第52条の4第1項に定める額に相当する部分の給付に要する費用を除く。)の総額の4分の1に相当する額を負担する。

(〇)

国庫は、付加年金の給付に要する費用及び死亡⼀時金の給付に要する費用の総額の4分の1に相当する額を負担します。

選択肢5. 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の任意加入被保険者が、日本国内に住所を有しなくなったときは、その日に任意加入被保険者資格を喪失する。

(×)

60歳以上65歳未満の任意加入被保険者が、日本国内に住所を有しなくなったときは、日本国内に住所を有しなくなった日の「翌日」に任意加入被保険者資格を喪失します。

まとめ

平成17年4月1日前に第3号被保険者の未届期間は、届出を厚生労働大臣に出せば当該届出に係る期間は保険料納付済期間に算入しますが、平成17年4月1日以降分の届出は原則2年間分になります。

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02

誤っているものは「日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の任意加入被保険者が、日本国内に住所を有しなくなったときは、その日に任意加入被保険者資格を喪失する。」です。

選択肢1. 子の遺族基礎年金については、受給権発生後当該子が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間に障害等級に該当する障害の状態となり、以降当該子が20歳に達するまでの間障害の状態にあったときは、当該子が18歳に達する日以後の最初の3月31日を過ぎても20歳に達するまで遺族基礎年金を受給できる。なお、当該子は婚姻していないものとする。

遺族基礎年金の遺族の範囲に関する問です。

子については現に婚姻しておらず、かつ、18歳に達する日以降最初の3月31日までの間にある又は20歳未満であって障害等級(1級又は2級)に該当する障害状態にあると規定されています。

尚、被保険者の死亡の当時障害ではなくても障害要件に当てはまります。

18歳年度末での障害状況を見ます。

選択肢2. 第3号被保険者の資格取得の届出を遅れて行ったときは、第3号被保険者の資格を満たしていたと認められた場合は該当した日にさかのぼって第3号被保険者の資格を取得することになるが、この場合において、保険料納付済期間に算入される期間は当該届出を行った日の属する月の前々月までの2年間である。ただし、届出の遅滞につきやむを得ない事由があると認められるときは、厚生労働大臣にその旨の届出をすることができ、その場合は当該届出が行われた日以後、当該届出に係る期間は保険料納付済期間に算入する。

法附則7条の3第3号被保険者に係る保険料納付済期間【例外】に関する問です。

この届出が行われたときは、当該届出が行われた日以降、当該届出に係る期間は保険料納付済期間に参入すると規定されています。

選択肢3. 平成17年4月1日前に第3号被保険者であった者で、その者の第3号被保険者期間の未届期間については、その届出を遅滞したことについてやむを得ない事由があると認められない場合でも、厚生労働大臣に届出が行われたときは、当該届出が行われた日以後、当該届出に係る期間は保険料納付済期間に算入する。

平16法附則21条第3号被保険者に係る保険料納付済期間【特例】に関する問です。

この届出が行われたときは、当該届出が行われた日以降、当該届出に係る期間は保険料納付済期間に参入すると規定されています。

救済のための特例です。

選択肢4. 国庫は、当分の間、毎年度、国民年金事業に要する費用に充てるため、当該年度における国民年金法による付加年金の給付に要する費用及び同法による死亡一時金の給付に要する費用(同法第52条の4第1項に定める額に相当する部分の給付に要する費用を除く。)の総額の4分の1に相当する額を負担する。

昭60法附則34条1項費用負担の特例に関する問です。

「付加年金」及び「死亡一時金に加算される8500円」に要する費用の4分の1に相当する額についても、当分の間、国庫負担が行われます。

付加年金や死亡一時金は上乗せの給付、それらの国庫負担は1/2の更に半分の1/4です。

選択肢5. 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の任意加入被保険者が、日本国内に住所を有しなくなったときは、その日に任意加入被保険者資格を喪失する。

日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の任意加入被保険者が、日本国内に住所を有しなくなったときは、その日に任意加入被保険者資格を喪失する。

その翌日に資格を喪失します。国を跨いだ当日はまだ保護があり、翌日の喪失となります。

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03

 国民年金については、国民皆年金の基礎をなす部分であり、身近なところから徐々に知識を広げて確固としたものにしていけるとよいでしょう。

選択肢1. 子の遺族基礎年金については、受給権発生後当該子が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間に障害等級に該当する障害の状態となり、以降当該子が20歳に達するまでの間障害の状態にあったときは、当該子が18歳に達する日以後の最初の3月31日を過ぎても20歳に達するまで遺族基礎年金を受給できる。なお、当該子は婚姻していないものとする。

 正しい記述です。

 本設問文のとおり理解しておきましょう。

 なお、「子」にかかる考え方(簡単に言うと、障害がない場合は18歳到達日後の年度末、障害がある場合は20歳到達日をもって保護対象から外れる)は、各制度とも共通である点を理解しておくとよいでしょう。

選択肢2. 第3号被保険者の資格取得の届出を遅れて行ったときは、第3号被保険者の資格を満たしていたと認められた場合は該当した日にさかのぼって第3号被保険者の資格を取得することになるが、この場合において、保険料納付済期間に算入される期間は当該届出を行った日の属する月の前々月までの2年間である。ただし、届出の遅滞につきやむを得ない事由があると認められるときは、厚生労働大臣にその旨の届出をすることができ、その場合は当該届出が行われた日以後、当該届出に係る期間は保険料納付済期間に算入する。

 正しい記述です。

 本設問文のとおり理解しておきましょう。

 なお、実務上は第3号被保険者の資格取得の届出は、扶養配偶者である第2号被保険者の勤務する企業等を経由して行うことになっており、当該第2号被保険者は、税金等のことを考慮すると、第3号被保険者の資格取得届を提出し忘れることは考えづらく、本設問文が実際の場面で発生しうるかというと、極めて少ないように筆者は考えています。

選択肢3. 平成17年4月1日前に第3号被保険者であった者で、その者の第3号被保険者期間の未届期間については、その届出を遅滞したことについてやむを得ない事由があると認められない場合でも、厚生労働大臣に届出が行われたときは、当該届出が行われた日以後、当該届出に係る期間は保険料納付済期間に算入する。

 正しい記述です。

 知識問題のレベルと判断します。

 過去にこのような規定があったという点を簡単に理解しておくことでよいと筆者は考えます。

 (現在では本設問文の規定に代わる別の規定が設定されています)

選択肢4. 国庫は、当分の間、毎年度、国民年金事業に要する費用に充てるため、当該年度における国民年金法による付加年金の給付に要する費用及び同法による死亡一時金の給付に要する費用(同法第52条の4第1項に定める額に相当する部分の給付に要する費用を除く。)の総額の4分の1に相当する額を負担する。

 正しい記述です。

 知識問題のレベルと判断します。

 このまま理解しておきましょう。

 なお、学習の優先度は下げてもよいと筆者は考えています。

選択肢5. 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の任意加入被保険者が、日本国内に住所を有しなくなったときは、その日に任意加入被保険者資格を喪失する。

 誤った記述です。

 本設問文の場合、「その日に」は「その日の翌日に」が正しいです。

 資格関連の喪失日は、誕生日要件(その日)及び受給権発生要件(その日)を除き、当該事実があった日の「翌日」となるものと理解しておくとよいでしょう。

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