社会保険労務士(社労士) 過去問
第56回(令和6年度)
問16 (労働者災害補償保険法 問6)

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問題

社労士試験 第56回(令和6年度) 問16(労働者災害補償保険法 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

労災保険の海外派遣特別加入制度に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。2つ選べ。

  • 海外派遣者は、派遣元の団体又は事業主が、海外派遣者を特別加入させることについて政府の承認を申請し、政府の承認があった場合に特別加入することができる。
  • 海外派遣者と派遣元の事業との雇用関係が、転勤、在籍出向、移籍出向等のいずれの形態で処理されていても、派遣元の事業主の命令で海外の事業に従事し、その事業との間に現実の労働関係をもつ限りは、特別加入の資格に影響を及ぼすものではない。
  • 海外派遣者として特別加入している者が、同一の事由について派遣先の事業の所在する国の労災保険から保険給付が受けられる場合には、わが国の労災保険給付との間で調整がなされなければならない。
  • 海外派遣者として特別加入している者の赴任途上及び帰任途上の災害については、当該特別加入に係る保険給付は行われない。
  • 海外出張者として特段の加入手続を経ることなく当然に労災保険の保護を与えられるのか、海外派遣者として特別加入しなければ保護が与えられないのかは、単に労働の提供の場が海外にあるにすぎず国内の事業場に所属し、当該事業場の使用者の指揮に従って勤務するのか、海外の事業場に所属して当該事業場の使用者の指揮に従って勤務することになるのかという点からその勤務の実態を総合的に勘案して判定されるべきものである。

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この過去問の解説 (3件)

01

本試験では誤りを1つ選べという問題でしたが、

合格発表(公式解答)ではC及びDが正解とされた問題です。

※この問題では、選択肢3及び4が正解です。

選択肢1. 海外派遣者は、派遣元の団体又は事業主が、海外派遣者を特別加入させることについて政府の承認を申請し、政府の承認があった場合に特別加入することができる。

正しい内容です。

「承認を申請すること」が特別加入の要件の一つです。

【昭和52年3月30日基発192号】

選択肢2. 海外派遣者と派遣元の事業との雇用関係が、転勤、在籍出向、移籍出向等のいずれの形態で処理されていても、派遣元の事業主の命令で海外の事業に従事し、その事業との間に現実の労働関係をもつ限りは、特別加入の資格に影響を及ぼすものではない。

正しい内容です。

昭和52年3月30日基発192号】

選択肢3. 海外派遣者として特別加入している者が、同一の事由について派遣先の事業の所在する国の労災保険から保険給付が受けられる場合には、わが国の労災保険給付との間で調整がなされなければならない。

派遣先の事業の所在する国の労災保険から保険給付を受けられる場合は、

調整を要しません。

昭和52年3月30日基発192号】

選択肢4. 海外派遣者として特別加入している者の赴任途上及び帰任途上の災害については、当該特別加入に係る保険給付は行われない。

誤りの選択肢です。

保険給付は行われます。

 

選択肢1から5までは、

昭和52年3月30日基発192号」の通達からの出題です。

当時は問題文の条件では保険給付を行なっておりませんでした。

 

しかし平成3年の通達では、

保険給付を行うと改正された経緯があります。

平成3年2月1日基発74号】

選択肢5. 海外出張者として特段の加入手続を経ることなく当然に労災保険の保護を与えられるのか、海外派遣者として特別加入しなければ保護が与えられないのかは、単に労働の提供の場が海外にあるにすぎず国内の事業場に所属し、当該事業場の使用者の指揮に従って勤務するのか、海外の事業場に所属して当該事業場の使用者の指揮に従って勤務することになるのかという点からその勤務の実態を総合的に勘案して判定されるべきものである。

正しい内容です。

【昭和52年3月30日基発192号】

まとめ

通達からの問題でした。

ほとんどの方が初見だったと思われます。

 

労働科目では通達から出題が多いため、

模試を活用して新規論点の習得を目指しましょう。

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02

この問題で覚えておくポイントは特別加入の3種類目、海外派遣者の特別加入の概要です。

選択肢1. 海外派遣者は、派遣元の団体又は事業主が、海外派遣者を特別加入させることについて政府の承認を申請し、政府の承認があった場合に特別加入することができる。

正しいです。

法36条1項①及び②いずれも満たしていることが必要です。

①    派遣元の団体又は事業主の事業について、継続事業として労災保険の保険関係が成立していること。

②    特別加入の申請を行い、政府の承認を受けること。

選択肢2. 海外派遣者と派遣元の事業との雇用関係が、転勤、在籍出向、移籍出向等のいずれの形態で処理されていても、派遣元の事業主の命令で海外の事業に従事し、その事業との間に現実の労働関係をもつ限りは、特別加入の資格に影響を及ぼすものではない。

正しいです。

法33条に海外派遣者の特別加入の範囲があります。①海外の地域のうち開発途上にある地域に対する技術協力の実施の事業②日本国内において事業(有期事業を除く)お行う事業主が、海外において行われる事業に従事させるために派遣する者、とあり雇用関係に限定がありません。また、既に日本国内から海外へ派遣されている者についても特別加入をさせることができます。

選択肢3. 海外派遣者として特別加入している者が、同一の事由について派遣先の事業の所在する国の労災保険から保険給付が受けられる場合には、わが国の労災保険給付との間で調整がなされなければならない。

誤りです。

社会保険科目に社会保障協定がある場合の取決めがあり、似たような規定を想起しますが、労災保険法においてそういった調整はありません。

選択肢4. 海外派遣者として特別加入している者の赴任途上及び帰任途上の災害については、当該特別加入に係る保険給付は行われない。

誤りです。

(六) 業務上外の認定基準 海外派遣者として特別加入している者の災害の業務上外の認定については、国内の労働者の場合に準ずる。したがって、赴任途上及び帰任途上の災害については保険給付は行われない。(S52.3.30基発192)とされています。

しかし、海外派遣者の特別加入のしおりには、以下もあります。別の選択肢が確実誤りであるため、本肢は通達の趣旨より正しいです。

 

 海外派遣者の補償の範囲に関して、特に次の事項に留意してください。
◎赴任途上における災害については、次の要件をすべて満たすものについて業務災害と認められます。
1.海外派遣を命じられた労働者が、その転勤に伴う移転のため転勤前の住居等から赴任先事業場に赴く途中で発生した災害であること。
2.社会通念上、合理的な経路及び方法による赴任であること。
3.赴任のために直接必要でない行為あるいは恣意的行為に起因して発生した災害でないこと。
4.赴任に対して赴任先事業主より旅費が支給される場合であること。
◎派遣先事業からの国外出張については、国内の事業場からの海外出張の場合と同様の考え方によって業務災害であるか否かが判断されます。

 

厚生労働省 神奈川労働局 労災保険の特別加入制度(海外派遣者)について【労働保険徴収課】より

https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/rousaihoken-tokubetukanyuu_202004.html

選択肢5. 海外出張者として特段の加入手続を経ることなく当然に労災保険の保護を与えられるのか、海外派遣者として特別加入しなければ保護が与えられないのかは、単に労働の提供の場が海外にあるにすぎず国内の事業場に所属し、当該事業場の使用者の指揮に従って勤務するのか、海外の事業場に所属して当該事業場の使用者の指揮に従って勤務することになるのかという点からその勤務の実態を総合的に勘案して判定されるべきものである。

正しいです。

遣先事業からの国外出張については、国内の事業場からの海外出張の場合と同様の考え方によって業務災害であるか否かが判断されます。従って、実態により総合的に判断があると考えられます。

まとめ

海外派遣者の特別加入は海外出張者との扱いの違い等も含めよく出題されます。本問は内容が難しく、多くの受験生が回答に苦労したと思われます。

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03

労災保険の海外派遣特別加入制度に関するやや難しい問題です。

選択肢1. 海外派遣者は、派遣元の団体又は事業主が、海外派遣者を特別加入させることについて政府の承認を申請し、政府の承認があった場合に特別加入することができる。

正しいです。

海外派遣者が特別加入するには、派遣元の団体又は事業主が、海外派遣者を特別加入させることについて政府の承認を申請し、政府の承認を受ける必要があります。

選択肢2. 海外派遣者と派遣元の事業との雇用関係が、転勤、在籍出向、移籍出向等のいずれの形態で処理されていても、派遣元の事業主の命令で海外の事業に従事し、その事業との間に現実の労働関係をもつ限りは、特別加入の資格に影響を及ぼすものではない。

正しいです。

海外派遣者と派遣元の事業との雇用関係の形態にかかわらず、派遣元の事業主の命令で海外の事業に従事し、その事業との間に現実の労働関係をもつ限りは、特別加入の資格に影響を及ぼしません。

選択肢3. 海外派遣者として特別加入している者が、同一の事由について派遣先の事業の所在する国の労災保険から保険給付が受けられる場合には、わが国の労災保険給付との間で調整がなされなければならない。

誤りです。

特別加入者が、同一の事由について派遣先の事業の所在する国の労災保険から保険給付が受けられる場合であっても、わが国の労災保険給付との間の調整は行う必要がないとされています。

選択肢4. 海外派遣者として特別加入している者の赴任途上及び帰任途上の災害については、当該特別加入に係る保険給付は行われない。

誤りです。

赴任途上における災害のうち、所定の要件をすべて満たす場合に赴任途上災害として取り扱うこととされています。

そのため、海外派遣者として特別加入している者の赴任途上及び帰任途上の災害について、当該特別加入に係る保険給付が行われることがあります。

選択肢5. 海外出張者として特段の加入手続を経ることなく当然に労災保険の保護を与えられるのか、海外派遣者として特別加入しなければ保護が与えられないのかは、単に労働の提供の場が海外にあるにすぎず国内の事業場に所属し、当該事業場の使用者の指揮に従って勤務するのか、海外の事業場に所属して当該事業場の使用者の指揮に従って勤務することになるのかという点からその勤務の実態を総合的に勘案して判定されるべきものである。

海外出張者の業務災害については、特段の加入手続を経ることなく、当然に労災保険の保険給付が行われます。

そのため、海外出張者として保護を与えられるのか、海外派遣者として特別加入しなければ保護が与えられないのかは、単に労働の提供の場が海外にあるにすぎず、国内の事業場に所属し、当該事業場の使用者の指揮に従って勤務するのか、海外の事業場に所属して当該事業場の使用者の指揮に従って勤務することになるのかという点からその勤務の実態を総合的に勘案して判定されます。

まとめ

本問は、誤っているものを1つ選ぶ問題でしたが、試験実施団体より、「CとDを正答とする」旨が公表されています。

このように、作問ミスがある場合もありますが、他の選択肢との比較から、明らかに正答と思われるものを選ぶようにしましょう。

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