社会保険労務士(社労士) 過去問
第56回(令和6年度)
問58 (厚生年金保険法 問8)

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問題

社労士試験 第56回(令和6年度) 問58(厚生年金保険法 問8) (訂正依頼・報告はこちら)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 脱退一時金の支給額は、被保険者であった期間の平均標準報酬額に支給率を乗じた額である。この支給率は、最終月(最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月)の属する年の前年10月(最終月が1月から8月までの場合は、前々年10月)の保険料率に2分の1を乗じて得た率に、被保険者であった期間に応じて政令で定める数を乗じて得た率である。なお、当該政令で定める数の最大値は60である。
  • 遺族厚生年金に加算される中高齢寡婦加算の金額は、国民年金法第38条に規定する遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときはこれを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときはこれを100円に切り上げるものとする。)である。また、中高齢寡婦加算は、65歳以上の者に支給されることはない。
  • 加給年金額が加算されている老齢厚生年金の受給権者であっても、在職老齢年金の仕組みにより、自身の老齢厚生年金の一部の支給が停止される場合、加給年金額は支給停止となる。
  • 未支給の保険給付の支給を請求できる遺族として、死亡した受給権者とその死亡の当時生計を同じくしていた妹と祖父がいる場合、祖父が先順位者になる。
  • 離婚の届出がなされ、戸籍簿上も離婚の処理がなされているものの、離婚後も事実上婚姻関係と同様の事情にある者については、その者の状態が事実婚関係の認定の要件に該当すれば、これを事実婚関係にある者として認定する。

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この過去問の解説 (3件)

01

選択肢1、2のように長文は論点を何個かに分けて考えると、

正誤判断がつきやすいです。

選択肢1. 脱退一時金の支給額は、被保険者であった期間の平均標準報酬額に支給率を乗じた額である。この支給率は、最終月(最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月)の属する年の前年10月(最終月が1月から8月までの場合は、前々年10月)の保険料率に2分の1を乗じて得た率に、被保険者であった期間に応じて政令で定める数を乗じて得た率である。なお、当該政令で定める数の最大値は60である。

3つの論点を確認していきましょう。

 

脱退一時金の支給額は、

被保険者であった期間の平均標準報酬額に支給率を乗じた額です。

 

最終月(最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月)の属する年の、

前年10月(最終月が1月から8月までの場合は、前々年10月)の保険料率に2分の1を乗じて得た率に、

被保険者であった期間に応じて政令で定める数を乗じて得た率です。

 

③当該政令で定める数の最大値は60です。

※最小値は「6」です。

【附則29条3項、4項、令12条の2】

 

①②③から、正しい内容です。

 

 

選択肢2. 遺族厚生年金に加算される中高齢寡婦加算の金額は、国民年金法第38条に規定する遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときはこれを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときはこれを100円に切り上げるものとする。)である。また、中高齢寡婦加算は、65歳以上の者に支給されることはない。

この問題も3つに分けて考えます。

 

遺族厚生年金に加算される中高齢寡婦加算の金額は、

国民年金法第38条に規定する遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額です。

※遺族基礎年金を受給中の者には加算されません。

 

②その額に50円未満の端数が生じたときはこれを切り捨て、

50円以上100円未満の端数が生じたときはこれを100円に切り上げます。

※もらえる額が全員同じ給付は上記の端数処理が適用されます。

 

③中高齢寡婦加算は、40歳以上65歳未満の者に支給されます。

 

①②③から正しい内容です。

【62条1項】

選択肢3. 加給年金額が加算されている老齢厚生年金の受給権者であっても、在職老齢年金の仕組みにより、自身の老齢厚生年金の一部の支給が停止される場合、加給年金額は支給停止となる。

老齢厚生年金の一部の支給停止される場合は、

加給年金額は支給停止されません。

 

老齢厚生年金の全部が支給停止場合に、

加給年金額は支給停止されます。

【46条1項】

選択肢4. 未支給の保険給付の支給を請求できる遺族として、死亡した受給権者とその死亡の当時生計を同じくしていた妹と祖父がいる場合、祖父が先順位者になる。

未支給の保険給付の支給を請求できる遺族の優先順位は、

生計を同じくしている、

配偶者→子→父母→祖父母→兄弟姉妹→それ以外の3親等以内の者

の順番です。

 

それ以外の3親等以内の者も忘れないでください。

 

祖父が先順位者になるので、

正しい内容です。

選択肢5. 離婚の届出がなされ、戸籍簿上も離婚の処理がなされているものの、離婚後も事実上婚姻関係と同様の事情にある者については、その者の状態が事実婚関係の認定の要件に該当すれば、これを事実婚関係にある者として認定する。

正しい内容です。

類題:H23問3Eがあります。

【H23年3月23日年発0323第1号】

まとめ

難しい問題だったと思います。

このレベルの問題が得点できるようになってくると、

年金科目が得意な自覚が出てくるのではないでしょうか。

 

在職老齢年金は制度が複雑ですので、まだ弱いなと感じる方は、

テキストの読み込みで制度の理解を深めましょう。

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02

脱退一時金や受給権など厚生年金保険法に関する総合的な問題です。

選択肢をみていきましょう。

選択肢1. 脱退一時金の支給額は、被保険者であった期間の平均標準報酬額に支給率を乗じた額である。この支給率は、最終月(最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月)の属する年の前年10月(最終月が1月から8月までの場合は、前々年10月)の保険料率に2分の1を乗じて得た率に、被保険者であった期間に応じて政令で定める数を乗じて得た率である。なお、当該政令で定める数の最大値は60である。

正しいです。文のとおりです。

根拠は厚生年金保険法附則第29条、

厚生年金保険法施行令第12条の2です。

選択肢2. 遺族厚生年金に加算される中高齢寡婦加算の金額は、国民年金法第38条に規定する遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときはこれを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときはこれを100円に切り上げるものとする。)である。また、中高齢寡婦加算は、65歳以上の者に支給されることはない。

正しいです。文のとおりです。

根拠は厚生年金保険法第62条第1項です。

選択肢3. 加給年金額が加算されている老齢厚生年金の受給権者であっても、在職老齢年金の仕組みにより、自身の老齢厚生年金の一部の支給が停止される場合、加給年金額は支給停止となる。

誤りです。

老齢厚生年金の一部の支給停止される場合は、

加給年金額は支給停止されません。

 

厚生年金保険法第46条第1項に

「第44条第1項に規定する加給年金額及び

第44条の3第4項に規定する加算額を除く」とあります。

選択肢4. 未支給の保険給付の支給を請求できる遺族として、死亡した受給権者とその死亡の当時生計を同じくしていた妹と祖父がいる場合、祖父が先順位者になる。

正しいです。文のとおりです。

根拠は厚生年金保険法施行令第3条の2です。

選択肢5. 離婚の届出がなされ、戸籍簿上も離婚の処理がなされているものの、離婚後も事実上婚姻関係と同様の事情にある者については、その者の状態が事実婚関係の認定の要件に該当すれば、これを事実婚関係にある者として認定する。

正しいです。文のとおりです。

根拠は厚生年金保険法施行規則第78条です。

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03

総合問題ですが、出題されている項目については、E以外は基本的な内容からの出題が多いため、比較的得点しやすいと考えられます。間違えたところがあったら、テキストに戻ってしっかりと確認して知識の定着を図りましょう。

選択肢1. 脱退一時金の支給額は、被保険者であった期間の平均標準報酬額に支給率を乗じた額である。この支給率は、最終月(最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月)の属する年の前年10月(最終月が1月から8月までの場合は、前々年10月)の保険料率に2分の1を乗じて得た率に、被保険者であった期間に応じて政令で定める数を乗じて得た率である。なお、当該政令で定める数の最大値は60である。

正しいです。 法附則29条4項、令12条の2

脱退一時金の支給率の計算についての規定です。

選択肢2. 遺族厚生年金に加算される中高齢寡婦加算の金額は、国民年金法第38条に規定する遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときはこれを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときはこれを100円に切り上げるものとする。)である。また、中高齢寡婦加算は、65歳以上の者に支給されることはない。

正しいです。 法62条1項

記述の通りです。

選択肢3. 加給年金額が加算されている老齢厚生年金の受給権者であっても、在職老齢年金の仕組みにより、自身の老齢厚生年金の一部の支給が停止される場合、加給年金額は支給停止となる。

誤りです。 法46条1項他

在職老齢年金の仕組みにより加給年金額が支給停止ににあるのは、老齢厚生年金の「全部」が支給停止となった場合です。

選択肢4. 未支給の保険給付の支給を請求できる遺族として、死亡した受給権者とその死亡の当時生計を同じくしていた妹と祖父がいる場合、祖父が先順位者になる。

正しいです。 法37条4項、令3条の2

未支給年金の受給権の優先順位は「配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹」となります。設問の場合は祖父が線順位者となります。

選択肢5. 離婚の届出がなされ、戸籍簿上も離婚の処理がなされているものの、離婚後も事実上婚姻関係と同様の事情にある者については、その者の状態が事実婚関係の認定の要件に該当すれば、これを事実婚関係にある者として認定する。

正しいです。 平成23.3.23年発0323第1号

記述の通りです。

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