社会保険労務士(社労士) 過去問
第56回(令和6年度)
問65 (国民年金法 問5)

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問題

社労士試験 第56回(令和6年度) 問65(国民年金法 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 第1号被保険者が国民年金法第88条の2の規定による産前産後期間の保険料免除制度を利用するには、同期間終了日以降に年金事務所又は市町村(特別区を含む。以下本問において同じ。)の窓口に申出書を提出しなければならない。
  • 学生納付特例制度を利用することができる学生には高等学校に在籍する生徒も含まれるが、定時制及び通信制課程の生徒は、学生納付特例制度を利用することができない。
  • 矯正施設の収容者は、市町村に住民登録がなく、所得に係る税の申告が行えないため、保険料免除制度を利用できない。
  • 第1号被保険者が国民年金法第88条の2の規定による産前産後期間の保険料免除制度を利用すると、将来、受給する年金額を計算する時に当該制度を利用した期間も保険料を納付した期間とするため、産前産後期間については保険料納付済期間として老齢基礎年金が支給される。
  • 配偶者から暴力を受けて避難している被保険者が、配偶者の前年所得を免除の審査対象としない特例免除を利用するには、配偶者と住民票上の住居が異ならなければならないことに加えて、女性相談支援センター等が発行する配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書によって配偶者から暴力があった事実を証明しなければならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解肢と選択肢「第1号被保険者が〜提出しなければならない。」以外は、テキストにも記載がないと思われます。

これらに関しては復習の優先順位は低いです。

選択肢1. 第1号被保険者が国民年金法第88条の2の規定による産前産後期間の保険料免除制度を利用するには、同期間終了日以降に年金事務所又は市町村(特別区を含む。以下本問において同じ。)の窓口に申出書を提出しなければならない。

誤りが2つあります。

 

①同期間終了日以降にではなく、

6ヶ月前から申告書を提出することができます。

 

②提出先は、市町村長です。

※第1号被保険者の提出先は市町村長です。

年金機構が提出先なのは、第3号被保険者です。

【88条の2、則73条の7第1項3項】

選択肢2. 学生納付特例制度を利用することができる学生には高等学校に在籍する生徒も含まれるが、定時制及び通信制課程の生徒は、学生納付特例制度を利用することができない。

定時制及び通信制課程の生徒も、

学生納付特例制度を利用することができます。

【90条の3】

日本年金機構

https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150514.html

選択肢3. 矯正施設の収容者は、市町村に住民登録がなく、所得に係る税の申告が行えないため、保険料免除制度を利用できない。

保険料免除制度を利用できます。

初見の問題の方がほとんどだと思うので、

解けなくても問題ありません。

日本年金機構

https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150422-02.html

選択肢4. 第1号被保険者が国民年金法第88条の2の規定による産前産後期間の保険料免除制度を利用すると、将来、受給する年金額を計算する時に当該制度を利用した期間も保険料を納付した期間とするため、産前産後期間については保険料納付済期間として老齢基礎年金が支給される。

正しいです。

産前産後期間は保険料納付済期間として、

老齢基礎年金が支給されます。

【5条1項】

選択肢5. 配偶者から暴力を受けて避難している被保険者が、配偶者の前年所得を免除の審査対象としない特例免除を利用するには、配偶者と住民票上の住居が異ならなければならないことに加えて、女性相談支援センター等が発行する配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書によって配偶者から暴力があった事実を証明しなければならない。

住民票上の住居ではなく、「住居」です。

日本年金機構

https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150402-02.html

参考になった数5

02

いわゆる保険料の「免除」に該当する各規定については、実生活での適用を想定しながら学習していくと、理解しやすくなるでしょう。

選択肢1. 第1号被保険者が国民年金法第88条の2の規定による産前産後期間の保険料免除制度を利用するには、同期間終了日以降に年金事務所又は市町村(特別区を含む。以下本問において同じ。)の窓口に申出書を提出しなければならない。

誤った記述です。(法88条の2ほか) 

設問文のうち、「同期間終了日以降に」は「同期間終了日前(出産予定日より前)より申出が可能である」点で誤っています。 

(なお、いつから申出が可能かについては、単胎妊娠か多胎妊娠かにより異なります) 

出産予定の事実・実態は客観的に明確であること(不正受給の可能性は極めて低いこと)や、産前の期間にかかる保険料の免除の申出を、設問文のとおり産前産後期間終了日以降のみにすることとした場合には、いったん保険料を納付後、それを還付(または他の期間に充当)する手間が発生しうるため、産前の期間でも申出は可能となっている、と簡単に理解しておくとよいでしょう。 

選択肢2. 学生納付特例制度を利用することができる学生には高等学校に在籍する生徒も含まれるが、定時制及び通信制課程の生徒は、学生納付特例制度を利用することができない。

誤った記述です。(令6条の6ほか) 

設問文の「利用することができない」は「利用できる(ものがある)」が正しいです。 

ごくごく一例ですが、放送大学のような正規の大学として認められている通信制の学校があることをイメージできれば、本設問文が誤りであると判断することが容易だと判断します。

選択肢3. 矯正施設の収容者は、市町村に住民登録がなく、所得に係る税の申告が行えないため、保険料免除制度を利用できない。

誤った記述です。(平成26年9月19日年管管発0919第1号ほか) 

設問文の「利用できない」は「利用できる」が正しいです。 

矯正施設の収容者は、日本国内に所在することは明白であること、収容されていることで新たな労働等が行えず収入は少ないことが想定されうること、等より、保険料免除制度が利用「できる」ことが望ましい、と判断が可能だと考えます。 

選択肢4. 第1号被保険者が国民年金法第88条の2の規定による産前産後期間の保険料免除制度を利用すると、将来、受給する年金額を計算する時に当該制度を利用した期間も保険料を納付した期間とするため、産前産後期間については保険料納付済期間として老齢基礎年金が支給される。

正しい記述です。(法5条1項ほか) 

産前産後期間は、出産がなければ労働できる状況のところを労働しない(母体保護等の観点から労働させない)期間であり、他の免除理由と異なり、当該免除期間について、年金給付の観点からは保険料納付済期間と同等に扱うべきもの、と判断することができると、本設問文が正しいと判断できるでしょう。 

選択肢5. 配偶者から暴力を受けて避難している被保険者が、配偶者の前年所得を免除の審査対象としない特例免除を利用するには、配偶者と住民票上の住居が異ならなければならないことに加えて、女性相談支援センター等が発行する配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書によって配偶者から暴力があった事実を証明しなければならない。

誤った記述です。(則77条の7第3号ほか) 

設問文のうち、「住民票上の住居」は「(単なる)住居(もしくは実態としての住居)」が正しいです。 

本設問文のような場合、当該避難している被保険者が、配偶者と住民票を別にする余裕等がないことが考えられます。

このため、実態としての住居(これも当該配偶者に知られないよう配慮する必要があります)が異なれば、特例免除を利用できるようにすることが当該被保険者に対し適切な対応である、と判断が可能であろうと考えます。

まとめ

実生活での適用を想定しつつ、一般的・常識的な判断から、各設問文の正誤が判断可能であろうと考えます。 

各設問とも、落ち着いて読み解いていきましょう。 

参考になった数0

03

正解の選択肢以外は、非常に細かい規定からの出題が多く、自信をもって正解を選べないと、思いのほか時間を消費してしまうことになりかねませんので、ご注意ください。

選択肢1. 第1号被保険者が国民年金法第88条の2の規定による産前産後期間の保険料免除制度を利用するには、同期間終了日以降に年金事務所又は市町村(特別区を含む。以下本問において同じ。)の窓口に申出書を提出しなければならない。

誤りです。  則73条の7,1項、3項

産前産後期間の保険料の免除の規定により保険料を納付することを要しないこととされる場合には、所定の事項を記載した届出を「出産の予定日の6か月前」から「市町村長」へ提出しなければなりません。

選択肢2. 学生納付特例制度を利用することができる学生には高等学校に在籍する生徒も含まれるが、定時制及び通信制課程の生徒は、学生納付特例制度を利用することができない。

誤りです。  令6条の6

学生納付特例制度は、定時制及び通信制過程の生徒であっても対象となることはできます。

選択肢3. 矯正施設の収容者は、市町村に住民登録がなく、所得に係る税の申告が行えないため、保険料免除制度を利用できない。

誤りです。  平成26.9.9年管管発0919第1号

刑務所等の収容施設に収容されている期間であっても、日本国内に住所があるものと認められるため、矯正施設に収容されている期間に係る矯正施設の長の証明書等を添付することで、保険料免除等の申請を行うことができます。

選択肢4. 第1号被保険者が国民年金法第88条の2の規定による産前産後期間の保険料免除制度を利用すると、将来、受給する年金額を計算する時に当該制度を利用した期間も保険料を納付した期間とするため、産前産後期間については保険料納付済期間として老齢基礎年金が支給される。

正しいです。  法5条1項、法26条

産前産後期間の保険料免除規定についての内容となります。

選択肢5. 配偶者から暴力を受けて避難している被保険者が、配偶者の前年所得を免除の審査対象としない特例免除を利用するには、配偶者と住民票上の住居が異ならなければならないことに加えて、女性相談支援センター等が発行する配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書によって配偶者から暴力があった事実を証明しなければならない。

誤りです。  則77条の7,3号、平24.7.6年管管発0706第1号、令和5.3.30年管企発0330第10号、年管管発0330第2号

住民票の住所が配偶者と同一であって、実際の住所が異なる者も、配偶者と住所が異なること等の申出書を提出することで、設問の特例を受けることが可能です。

なお、配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書によって配偶者から暴力があった事実を証明しなければならないわけではありません。

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