司法書士の過去問
平成27年度
(旧)平成27年度 問70
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問題
平成27年度 司法書士試験 問70 (訂正依頼・報告はこちら)
商業登記における審査請求に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 審査請求は、登記官を経由してしなければならない。
イ 登記の申請をした者は、当該申請を却下した処分に対して審査請求をすることができるが、登記簿の附属書類の閲覧を請求した者は、当該請求を却下した処分に対して審査請求をすることができない。
ウ 登記すべき事項につき無効の原因があるにもかかわらず登記がされている場合において、登記官が職権により当該登記を抹消することができるときは、当該登記に関する審査請求をすることはできない。
エ 登記官が登記された事項に無効の原因があることを発見し当該登記をした者に、一月を超えない一定の期間内に書面で異議を述べないときは登記を抹消すべき旨の通知をしたところ、当該登記をした者が異議を述べた場合において、登記官が異議を却下したときは、当該登記をした者は、当該異議を却下した処分に関する審査請求をすることができる。
オ 新株予約権の発行による変更の登記を申請した後、当該登記がされないまま6か月が経過した場合であっても、当該申請が却下されていないときには、申請人は審査請求をすることができない。
ア 審査請求は、登記官を経由してしなければならない。
イ 登記の申請をした者は、当該申請を却下した処分に対して審査請求をすることができるが、登記簿の附属書類の閲覧を請求した者は、当該請求を却下した処分に対して審査請求をすることができない。
ウ 登記すべき事項につき無効の原因があるにもかかわらず登記がされている場合において、登記官が職権により当該登記を抹消することができるときは、当該登記に関する審査請求をすることはできない。
エ 登記官が登記された事項に無効の原因があることを発見し当該登記をした者に、一月を超えない一定の期間内に書面で異議を述べないときは登記を抹消すべき旨の通知をしたところ、当該登記をした者が異議を述べた場合において、登記官が異議を却下したときは、当該登記をした者は、当該異議を却下した処分に関する審査請求をすることができる。
オ 新株予約権の発行による変更の登記を申請した後、当該登記がされないまま6か月が経過した場合であっても、当該申請が却下されていないときには、申請人は審査請求をすることができない。
- アイ
- アエ
- イオ
- ウエ
- ウオ
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この過去問の解説 (4件)
01
審査請求は、処分をした登記官を経由してしなければなりません。
イ ×
登記簿の附属書類の閲覧を請求した者に、当該請求を却下した処分に対しても、審査請求をすることができます。
ウ ×
登記官が職権により当該登記を抹消することができるときであっても、当該登記に関する審査請求をすることができます。
エ 〇
登記官が登記された事項に無効の原因があることを発見し当該登記をした者に、一月を超えない一定の期間内に書面で異議を述べないときは登記を抹消すべき旨の通知をしたところ、当該登記をした者が異議を述べた場合において、登記官が異議を却下した処分に対しても、当該登記をした者は、審査請求をすることができます。
オ ×
新株予約権の発行による変更の登記を申請した後、当該登記がされないまま6か月が経過した場合のような、登記官の不作為に対しても、申請人は審査請求をすることができます。
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02
正しい選択肢はアとエなので、2が正解となります。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア. 商業登記法143条では、審査請求は、登記官を経由してしなければならない、と規定しているので、本選択肢は正しいです。
イ. 審査請求の対象となる登記官の処分には、申請の受理及び登記の実行、申請の却下、受領書の交付、登記の職権抹消、各種の通知等の登記手続き上の処分並びに謄本及び抄本の交付、閲覧に関する処分等、商業登記法上、登記官がしなければならないすべての処分が含まれます。従って、本選択肢は誤りです。
ウ. 登記の実行に対する審査請求は、実行された登記を登記手続きで是正することができる場合、すなわち、商業登記法132条以下の規定によって、登記官が職権で当該登記を更生、抹消することができる場合に限られます。従って、本選択肢は誤りです。
エ. 登記官が登記された事項に無効の原因があることを発見し、当該登記をした者に、1か月を超えない一定の期間内に書面で異議を述べないときは、登記を抹消すべき旨の通知をしたところ、当該登記をした者が異議を述べた場合において、登記官が異議を却下したときは、登記官は、当該登記を抹消する。この抹消は登記官の職権による登記の抹消であり、審査請求の対象となります(商業登記法135条1項、137条参照)。従って、本選択肢は正しいです。
オ. 法令に基づき行政庁に対して処分について申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分もしないことをいいます。)がある場合には、当該不作為についての審査請求をすることができます。商業登記法においては、当該規定を除外していないので、本選択肢の申請人は審査請求をすることができます(行政不服審査法3条、商業登記法147条参照)。従って、本選択肢は誤りです。
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03
ア…正しいです。審査請求は、登記官を経由してする必要があります(商業登記法143条)。なお、名宛人は監督法務局長です。
イ…誤りです。登記簿およびその附属書類についての閲覧請求についても、請求の却下は「登記官の処分(商業登記法142条)」にあたりますので、審査請求ができます。
ウ…誤りです。登記の申請が受理されたことに対する審査請求は、当該受理をした登記官が職権更正または職権抹消をすることができる場合にのみ認められます。
エ…正しいです。登記された事項に無効の原因があるときは、登記官が登記をした者に対し、一月を超えない一定の期間を定めて異議を述べないときは登記を抹消する旨の通知をしなければなりません(商業登記法135条1項)。そしてこれに対し異議を述べた者に対しては、登記官は決定をしなければなりません(同法136条)。「決定」も「登記官の処分(同法142条)」に含まれるので、審査請求をすることができます。
オ…誤りです。申請した登記に対し、登記または却下のいずれもされない場合、登記官の不作為にあたり、相当の期間経過後に、行政不服審査法に基づく審査請求をすることができます(行政不服審査法3条)。「相当の期間」は場合によって異なりますが、3か月以上の期間が要求されることが多く、審査請求できると考えられます。
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04
ア 正しい
審査請求は、登記官を経由してしなければなりません(商業登記法143条)。
イ 誤り
審査請求の対象となる処分は、申請の受理及び登記の実行、申請の却下、受領書の交付、職権による登記の抹消、各種の通知等の処分並びに謄本及び抄本の交付、閲覧に関する処分等、商業登記法上、登記官が行うすべての処分が含まれます。
よって、登記簿の附属書類の閲覧を請求した者は、当該請求を却下した処分に対しては審査請求をすることができます。
ウ 誤り
登記の実行に関する審査請求は、登記官が職権で登記を更生、抹消することができる場合に限られています。
よって、登記官が職権により当該登記を抹消することができる場合は、当該登記に関して審査請求をすることができます。
エ 正しい
登記官は、登記された事項に無効の原因があることを発見したときは、登記をした者に、一月を超えない一定の期間内に書面で異議を述べないときは登記を抹消すべき旨を通知しなければなりません(商業登記法135条1項)。
この場合、登記官は、異議を却下したときは、登記を抹消しなければなりません(同法137条)。ここでいう抹消登記は登記官の職権によってなされるものであるため、当該登記に不服がある者は審査請求をすることが可能です。
オ 誤り
法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為がある場合には、当該不作為についての審査請求をすることができます(行政不服審査法3条)。
そして、商業登記法において、当該規定は適用除外となっていない(商業登記法147条)ため、本肢の申請人は審査請求をすることができます。
以上から、正しい肢はアとエであり、2が正解となります。
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