司法書士の過去問
平成25年度
午後の部 問49
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問題
平成25年度 司法書士試験 午後の部 問49 (訂正依頼・報告はこちら)
抵当権又は根抵当権の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
なお、アからウまでの記述中にある株式会社は、全て取締役会設置会社とする。
ア A株式会社及びB株式会社の代表取締役が同一人である場合において、A株式会社の債務を担保するため、B株式会社所有の不動産に根抵当権を設定する旨の登記を申請するときは、B株式会社の取締役会の承認を受けたことを証する情報を提供しなければならない。
イ A株式会社及び同杜の代表取締役であるBが共有する不動産の全体について、同社及びBを連帯債務者とする抵当権の設定の登記を申請するときは、同社の取締役会の承認を受けたことを証する情報を提供することを要しない。
ウ A株式会社を債務者兼設定者とし、同社と代表取締役を同じくするB株式会社を抵当権者とする抵当権の設定の仮登記がされている場合において、解除を登記原因として、当該仮登記の抹消を申請するときは、B株式会社の取締役会の承認を受けたことを証する情報を提供することを要しない。
エ 元本の確定前の根抵当権の債務者兼設定者であるAについて相続が開始し、その未成年の子Bとその親権者Cとが相続人である場合において、相続によるBへの所有権の移転の登記がされた後、Cを債務者とする民法第398条の8第2項の合意の登記を申請するときは、Bについて特別代理人の選任の審判があったことを証する情報を提供しなければならない。
オ 一般社団法人A所有の不動産に対し、同法人の理事であるBを債務者とする抵当権の設定の登記を申請するときは、同法人について特別代理人の選任があったことを証する情報を提供しなければならない。
(参考)
民法
第398条の8(略)
2 元本の確定前にその債務者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債務のほか、根抵当権者と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に負担する債務を担保する。
3、4(略)
なお、アからウまでの記述中にある株式会社は、全て取締役会設置会社とする。
ア A株式会社及びB株式会社の代表取締役が同一人である場合において、A株式会社の債務を担保するため、B株式会社所有の不動産に根抵当権を設定する旨の登記を申請するときは、B株式会社の取締役会の承認を受けたことを証する情報を提供しなければならない。
イ A株式会社及び同杜の代表取締役であるBが共有する不動産の全体について、同社及びBを連帯債務者とする抵当権の設定の登記を申請するときは、同社の取締役会の承認を受けたことを証する情報を提供することを要しない。
ウ A株式会社を債務者兼設定者とし、同社と代表取締役を同じくするB株式会社を抵当権者とする抵当権の設定の仮登記がされている場合において、解除を登記原因として、当該仮登記の抹消を申請するときは、B株式会社の取締役会の承認を受けたことを証する情報を提供することを要しない。
エ 元本の確定前の根抵当権の債務者兼設定者であるAについて相続が開始し、その未成年の子Bとその親権者Cとが相続人である場合において、相続によるBへの所有権の移転の登記がされた後、Cを債務者とする民法第398条の8第2項の合意の登記を申請するときは、Bについて特別代理人の選任の審判があったことを証する情報を提供しなければならない。
オ 一般社団法人A所有の不動産に対し、同法人の理事であるBを債務者とする抵当権の設定の登記を申請するときは、同法人について特別代理人の選任があったことを証する情報を提供しなければならない。
(参考)
民法
第398条の8(略)
2 元本の確定前にその債務者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債務のほか、根抵当権者と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に負担する債務を担保する。
3、4(略)
- アイ
- アエ
- イオ
- ウエ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
正しい選択肢はアとエなので、2が正解となります。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア. A株式会社とB株式会社の代表取締役が同一人物である場合において、A株式会社の債務を担保するために、B株式会社の不動産に抵当権を設定することは利益相反行為に該当します。従って、B株式会社所有の不動産に抵当権設定の登記を行う場合には、B株式会社の取締役会の承諾を受けたことを証する情報の提供が必要です。従って、本選択肢は正しいです。
イ. A株式会社と同社の代表取締役がbが共有する不動産に、A株式会社及びBを連帯債務者とする抵当権の設定することは、Bの債務不履行によって抵当権が実行された場合には、A株式会社が不動産持分を失う結果になるため、利益相反行為に該当します。従って、当該抵当権の設定登記をする場合には、A株式会社の取締役会の承認を受けたことを証する情報の提供が必要です。従って、本選択肢は誤りです。
ウ. A株式会社が債務者兼権設定者、A株式会社と同一人物が代表取締役を務めるB株式会社を抵当権者とする抵当権の仮登記を、解除を原因として当該仮登記を抹消する行為は、利益相反行為に該当します。従って、当該登記の申請には、B株式会社の取締役会の承認を受けたことを証する情報の提供が必要です。従って、本選択肢は誤りです。
エ. 元本確定前の根抵当権の債務者兼設定者である
Aに相続が開始し、その未成年の子Bと親権者Cが相続人である場合において、相続によるBへの所有権移転の登記がされた後、Cを債務者とする民法389条の8第2項の合意の登記を申請することは、利益相反行為に当たります。従って、当該登記を行う場合には、Bについて特別代理人選任の審判があったことを証する情報の提供が必要となるので、本選択肢は正しいです。
オ. 一般社団法人A所有の不動産に、同法人の理事であるBを債務者とする抵当権の設定登記を行う場合には、同法人について社員総会(理事会設置一般社団法人においては理事会)の承認を受けたことを証する情報の提供が必要です。しかし、当該登記を行う際に、同法人について特別代理人を選任したことを証する情報を提供する必要はないので、本選択肢は誤りです。
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02
ア 正しい。
代表取締役を一にする二社において、一方の債務を担保するため他方が物上保証人として抵当権を設定する行為は利益相反取引となります。よって、取締役会の承認を受けたことを証する情報を提供することが必要です。
イ 誤り。
本件事例では、代表取締役個人の債務を株式会社の不動産(の持分)にて担保する形態となっています。よって、取締役会の承認を受けたことを証する情報を提供することが必要となります。
ウ 誤り。
代表取締役を一にする二社において一方を債務者兼設定者、他方を抵当権者とする抵当権設定の仮登記がなされている場合に、解除を登記原因としてその仮登記の抹消を行う場合は抵当権者たる株式会社の取締役会の承認を受けたことを証する情報を提供することを要するものとされています。
エ 正しい。
相続によるBへの所有権の移転ののちに、Cを債務者とする民法第398条の8第2項の合意が成立した場合、親権者たるCの債務を子Bの不動産にて担保するものとなることから、利益相反取引に該当します。よって、特別代理人の選任の審判があったことを証する情報を提供する必要があります。
オ 誤り。
本選択肢の取引は利益相反取引に該当しますが、その際に求められるのは理事会設置一般社団法人である場合は理事会の承認、非理事会設置一般社団法人の場合は社員総会の同意です。特別代理人の選任は必要とされていません。
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03
正解は2。
ア:正
取締役会設置会社の取締役が自己または第三者のために株式会社と取引をしようとするときは、取締役会の承認を受けなければなりません(会社不356条1項2号、365条1項)。
設例で、A株式会社及びB株式会社の代表取締役が同一人である場合において、A株式会社の債務を担保するため、B株式会社所有の不動産に根抵当権を設定する旨の登記を申請するときは、B株式会社の取締役会の承認を受けたことを証する情報を提供しなければなりません(昭和52年3月16日1620号回答)。
よって、正しい記述です。
イ:誤
A株式会社及び同杜の代表取締役であるBが共有する不動産の全体について、同社及びBを連帯債務者とする抵当権の設定の登記を申請するときは、同社の取締役会の承認を受けたことを証する情報を提供することが必要です(昭和29年7月5日民甲1395号回答)。
よって、誤った記述です。
ウ:誤
A株式会社を債務者兼設定者とし、同社と代表取締役を同じくするB株式会社を抵当権者とする抵当権の設定の仮登記がされている場合において、解除を登記原因として、当該仮登記の抹消を申請するときは、B株式会社の取締役会において承認を受けたことを証する情報を提供することを要します(登記研究539号154頁)。これも、利益相反取引の一場面だからです(会社法356条1項、365条1項)。
よって、誤った記述です。
エ:正
元本の確定前の根抵当権の債務者兼設定者が死亡して相続が開始し、未成年の子と親権者とが相続人である場合において、不動産について相続による未成年の子への所有権移転の登記がされた後に、当該根抵当権の指定債務者を親権者とする合意の登記(民法398条の8第2項)をすることは、未成年の子の所有する不動産をもって親権者の債務を担保することになりますので、親権者と未成年の子との間の利益相反行為にあたります。そのため、この場合には、Bについて特別代理人の選任が必要となり(民法826条1項)、この選任の審判があったことを証する情報を提供しなければなりません(登記研究304号73頁)。
よって、正しい記述です。
オ:誤
一般社団法人が理事の債務を保証することその他理事以外の者との間において一般社団法人と当該理事との利益が相反する取引をしようとするときは、理事は、社員総会の承認を受けなければなりません(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律84条1項3号)。したがって、特別代理人の選任があったかは意味をもたず,その情報を提供する必要はありません。提供しなければならないのは、社員総会の議事録です(平成20年11月26日民二3042号通達)。
よって、誤った記述です。
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