司法書士の過去問
平成25年度
午後の部 問50

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問題

平成25年度 司法書士試験 午後の部 問50 (訂正依頼・報告はこちら)

書面申請における印鑑に関する証明書の添付に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


ア  登記上の利害関係を有する第三者の承諾を得て、付記登記によってする地役権の変更の登記を申請する場合において、当該第三者の承諾を証する当該第三者が作成した書面に添付すべき印鑑に関する証明書は、作成後3か月以内のものであることを要しない。

イ  売主Aと買主Bとの間の売買を登記原因とする所有権の移転の登記と同時にした買戻特約の登記について、買戻権の移転の登記を申請する場合には、Aの印鑑に関する証明書を提供することを要しない。

ウ  地上権の設定の登記の抹消を申請する場合においては、登記義務者が登記識別情報を提供することができないときであっても、当該登記義務者の印鑑に関する証明書を提供することを要しない。

エ  取締役会設置会社と取締役との間の利益が相反する行為を登記原因とする登記を申請する場合において、当該行為の承認に関する取締役会の議事録に押印された印鑑に関する証明書を添付して当該議事録を提供したときは、当該印鑑に関する証明書の原本の還付を請求することはできない。

オ  建物を新築する場合における不動産工事の先取特権の保存の登記を申請するときは、登記義務者の印鑑に関する証明書を提供することを要しない。
  • アイ
  • アエ
  • イウ
  • ウオ
  • エオ

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は3(イ、ウが誤り)です。

ア 正しい。
 第三者の承諾を証する書類には、同書類の押印につき印鑑証明書を添付する必要がありますが(不動産登記令19条)、不動産登記令16条2項または不動産登記令18条2項に基づき提出するものではありませんので、作成後3ヶ月以内のものであることを要しません。

イ 誤り。
 売買による所有権の移転の登記と同時になされた買戻特約の登記の移転に際しては、買戻権者の印鑑証明書の提供が必要です。

ウ 誤り。
 所有権以外の権利の移転に際し、登記識別情報を提供した場合記名押印および印鑑証明書の添付は不要ですが、本事例では登記識別情報を提供しない申請のため、記名押印および印鑑証明書の提供が必要です(不動産登記規則47条、48条)。

エ 正しい。
 利益相反取引に際する取締役会の承諾を証する書類にかかる押印の印鑑証明書は、第三者の承諾を証する書類にかかる印鑑証明書として、不動産登記令19条に基づき提出するものです。そして、同19条に基づき提出する印鑑証明書については還付を請求することができません(不動産登記規則55条)

オ 正しい。
 不動産工事の先取特権の保存登記は建物所有者を義務者、先取特権者を権利者として申請しますが、登記義務者の印鑑に関する証明書の提出は不要とされています。

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02

正解は 3 です。

誤っている選択肢はイとウなので、3が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 登記上の利害関係人の承諾を得て、付記登記によってする地役権の設定登記をする場合においては、
当該第三者の承諾を証する当該第三者が作成した書面に、印鑑に関する証明書を添付したものも、登記所に提出しなければなりません。その際、当該第三者の承諾を証する情報に添付する印鑑証明書は、作成後3か月以内の者である必要はありません。従って、本選択肢は正しいです。

イ. 買戻権の移転の登記をする場合には、登記義務者たる買戻権者の印鑑証明書の添付が必要です。従って、本選択肢は誤りです。

ウ. 地上権設定の登記を抹消する場合において、登記義務者が登記識別情報を提供することができない場合には、登記義務者の印鑑に関する証明書を添付する必要があります。従って、本選択肢は誤りです。

エ. 取締役会設置会社と取締役との利益相反行為を登記原因とする登記を申請する場合において、当該行為の承認に関する取締役会の議事録に押印された印鑑に関する証明書を添付した場合、当該印鑑に関する証明書は、原本還付することはできません。従って、本選択肢は正しいです。

オ. 建物を新築する場合における不動産工事の先取特権の保存の登記を申請するときは、登記義務者の印鑑に関する証明書を提供することを要しません。従って、本選択肢は正しいです。


参考になった数6

03

正解は3。

ア:正

登記上の利害関係を有する第三者の承諾を証する当該第三者が作成した書面に添付すべき印鑑に関する証明書は、作成3か月以内のものである必要はありません(不動産登記令19条2項参照)。

よって、正しい記述です。

イ:誤

所有権を目的とする買戻権の移転の登記を申請する場合には、登記義務者の印鑑に関する証明書を提供しなければなりません(昭和34年6月20日民甲1131号回答)。したがって、登記義務者たるAの印鑑に関する証明書の提供を要します。

よって、誤った記述です。

ウ:誤

地上権の設定の登記の抹消を申請する場合において、登記義務者が登記識別情報を提供することができないときは、当該登記義務者の印鑑に関する証明書を提供しなければなりません(不動産登記令16条2項、不動産登記規則48条1項5号・47条3号ハ)。

よって、誤った記述です。

エ:正

取締役会設置会社と取締役との間の利益が相反する行為を登記原因とする登記を申請する場合において、当該行為の承認に関する取締役会の議事録を提供する必要があります(不動産登記令7条1項5号ハ)。この取締役会の議事録には、当該議事録に押印した取締役等の印鑑に関する証明書を添付する必要があります(不動産登記令19条2項)。そして、この不動産登記令19条2項に基づいて提供する印鑑に関する証明書は、原本の還付を請求することはできません(不動産登記規則51条1項ただし書)。

よって、正しい記述です。

オ:正

物を新築する場合における不動産工事の先取特権の保存の登記を申請するときは、登記義務者は、当該建物の所有者となるべき者です。もっとも、この者は、登記申請時点においては所有権の登記名義人ではありませんので、登記義務者の印鑑に関する証明書を提供することを必要としません(不動産登記令16条2項、不動産登記規則48条1項5号・47条3号イ(1)、登記研究433号133頁)。

よって、正しい記述です。

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