司法書士の過去問
平成26年度
午前の部 問29
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問題
平成26年度 司法書士試験 午前の部 問29 (訂正依頼・報告はこちら)
譲渡制限株式の株主が会社法第136条の規定による請求をした場合において、会社が同条の承認をしない旨の決定をしたときに関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
なお、当該株主は、会社が同条の承認をしない旨の決定をする場合には、会社又は指定買取人が当該譲渡制限株式を買い取ることを併せて請求しているものとする。
ア 会社が当該譲渡制限株式の全部を買い取る旨の決定をし、当該株主に対し会社法所定の事項を通知しようとするときは、会社は、1株当たり純資産額に会社が買い取る当該譲渡制限株式の数を乗じて得た額をその本店の所在地の供託所に供託しなければならない。
イ 会社が当該譲渡制限株式の全部を買い取る旨の決定をし、当該株主に対し会社法所定の事項を通知した場合でも、当該株主は、その売買代金を受領するまでは、会社の承諾を得ることなく、会社又は指定買取人が当該譲渡制限株式を買い取ることの請求を撤回することができる。
ウ 会社が当該譲渡制限株式の全部を買い取る旨の決定をし、当該株主に対し会社法所定の事項を通知したときは、当該株主は、当該通知があった日から20日以内に、裁判所に対し、売買価格の決定の申立てをすることができる。
エ 会社が指定買取人を指定するには、株主総会の特別決議( 取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議 )によらなければならない。
オ 会社は、指定買取人を指定したときは、当該株主に対し、その旨及び指定買取人が買い取る当該譲渡制限株式の数を通知しなければならない。
(参考)
会社法
第136条 譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人( 当該譲渡制限株式を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
なお、当該株主は、会社が同条の承認をしない旨の決定をする場合には、会社又は指定買取人が当該譲渡制限株式を買い取ることを併せて請求しているものとする。
ア 会社が当該譲渡制限株式の全部を買い取る旨の決定をし、当該株主に対し会社法所定の事項を通知しようとするときは、会社は、1株当たり純資産額に会社が買い取る当該譲渡制限株式の数を乗じて得た額をその本店の所在地の供託所に供託しなければならない。
イ 会社が当該譲渡制限株式の全部を買い取る旨の決定をし、当該株主に対し会社法所定の事項を通知した場合でも、当該株主は、その売買代金を受領するまでは、会社の承諾を得ることなく、会社又は指定買取人が当該譲渡制限株式を買い取ることの請求を撤回することができる。
ウ 会社が当該譲渡制限株式の全部を買い取る旨の決定をし、当該株主に対し会社法所定の事項を通知したときは、当該株主は、当該通知があった日から20日以内に、裁判所に対し、売買価格の決定の申立てをすることができる。
エ 会社が指定買取人を指定するには、株主総会の特別決議( 取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議 )によらなければならない。
オ 会社は、指定買取人を指定したときは、当該株主に対し、その旨及び指定買取人が買い取る当該譲渡制限株式の数を通知しなければならない。
(参考)
会社法
第136条 譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人( 当該譲渡制限株式を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
- アウ
- アエ
- イエ
- イオ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
ア 株式会社は、対象株式を買い取る旨の決定をし、当該株主に通知をしようとするときは、1株あたりの純資産額に対象株式の数を乗じて得た額を本店所在地の供託所に供託し、かつ、当該供託を証する書面を譲渡等承認請求者に交付しなければなりません(会社法141条2項)。したがって、本記述は正しいです。
イ 譲渡等承認請求者は、株式会社が対象株式を買い取る旨の通知を受けたことにより売買が成立した後は、株式会社の承諾を得た場合に限り、譲渡等承認請求を撤回することができます(会社法143条1項)。したがって、本記述は誤りです。
ウ 株式会社又は譲渡等承認請求者は、株式会社が対象株式を買い取る旨の通知(売買成立)から20日以内に、裁判所に対し、売買価格の決定の申立てをすることができます(会社法144条2項)。したがって、本記述は正しいです。
エ 株式会社が指定買取人を指定するには、定款に別段の定めがある場合を除き(本問には別段の定めはありません。試験問題の注意書き参照)、取締役会設置会社の場合は取締役会の決議で指定し、取締役会非設置会社は株主総会の特別決議で指定します(会社法140条5項)。したがって、本記述は正しいです。
オ 株式会社が指定買取人を指定した場合は、指定買取人は、譲渡等承認請求者に対して指定買取人として指定を受けた旨などを通知しなければなりません(会社法142条1項)。通知をするのは株式会社ではなく指定買取人です。したがって、本記述は誤りです。
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02
誤っている選択肢はイとオなので、4が正解となります。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア. 会社法141条2項では、会社が当該譲渡制限株式の全部を買い取る旨の決定をし、当該株主に対し会社法所定の事項を通知しようとするときは、会社は、1株当たり純資産額に会社が買い取る当該譲渡制限株式の数を乗じて得た額をその本店の所在地の供託所に供託し、かつ、当該供託を証する書面を譲渡等承認請求者に交付しなければならいと規定しています。従って、本選択肢は正しいです。
イ. 会社法143条1項では、譲渡等承認請求者は、会社から、会社が当該譲渡制限株式の全部を買い取る旨の決定をしたことその他会社法所定の事項の通知を受けた後は、株式会社の承認がある場合に限り、その請求を撤回することができる、と規定しています。従って、本選択肢は誤りです。
ウ. 会社法144条2項は、株式会社又は譲渡等承認請求者は、株式会社から当該譲渡制限株式を買い取る旨の通知があった日から20日以内に、裁判所に対して、売買価格決定の申し立てをすることができる旨を定めています。従って、本選択肢は正しいです。
エ. 会社法140条5項は、指定買取人の指定は、定款に別段の定めがある場合を除き、株主総会(取締役会設置会社にあっては取締役会)の決議によらなければならない旨を定めています。従って、本選択肢は正しいです。
オ. 会社法142条1項は、指定買取人は、指定買取人として指定を受けた時は、譲渡等承認請求者に対して、指定買取人として指定を受けた旨及び指定買取人が買い取る当該譲渡等制限株式の数を通知しなければならない旨を定めています。しかし、会社が、指定買取人を指定したときに、当該株主に対し、その旨及び指定買取人が買い取る当該譲渡制限株式の数を通知しなければならない旨を定める会社法上の規定は存在しません。従って、本選択肢は誤りです。
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03
ア 正しい
株式会社は、買取りの通知をしようとするときは、一株あたり純資産額に株式会社が買い取る対象株式の数を乗じて得た額をその本店の所在地の供託所に供託し、かつ、当該供託を証する書面を譲渡等承認請求者に交付しなければなりません(会社法141条2項)。
イ 誤り
会社又は指定買取人が譲渡制限株式を買い取ることの請求をした譲渡等承認請求者は、株式会社による買取りの通知を受けた後は、株式会社の承諾を得た場合に限り、その請求を撤回することができます(会社法143条1項)。
ウ 正しい
譲渡等承認請求者は、株式会社による買取りの通知があった日から20日以内に、裁判所に対し、売買価格の決定の申立てをすることができます(会社法144条2項)。
エ 正しい
指定買取人の指定は、定款に別段の定めがある場合を除き、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければなりません(会社法140条5項)。
オ 誤り
指定買取人は、指定買取人として指定を受けたときは、譲渡等承認請求者に対し、指定買取人として指定を受けた旨及び指定買取人が買い取る対象株式の数を通知しなければなりません(会社法142条2項)。
本肢は、通知をする主体が会社となっている点で誤りです。
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