司法書士の過去問
平成26年度
午前の部 問30

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問題

平成26年度 司法書士試験 午前の部 問30 (訂正依頼・報告はこちら)

株式会社( 清算株式会社を除く。)の取締役及び監査役に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


ア  監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合には、取締役及び監査役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。

イ  監査役設置会社が委員会を置く旨の定款の変更をした場合には、取締役及び監査役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。

ウ  累積投票により選任された取締役を解任する株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行わなければならない。

エ  監査役会設置会社において、取締役が監査役の解任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役会の同意を得なければならない。

オ  3人以上の取締役を置く旨の定款の定めのある取締役会設置会社において、取締役として代表取締役A並びに代表取締役でない取締役B、C及びDの4人が在任している場合において、Aが取締役を辞任したときは、Aは、新たに選定された代表取締役が就任するまで、なお代表取締役としての権利義務を有する。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は3です。

正しい選択肢は、イとウになりますので、3が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合には、監査役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了しますが、取締役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了しません。従って、本選択肢は誤りです。

イ. 監査役設置会社が委員会を置く旨の定款の変更をした場合には、在任中の取締役の任期は定款変更の効力が生じた時に満了します。その理由は、委員会設置会社とそれ以外の会社では、取締役の権限・性格・役割が大きく異なるため、在任中の取締役をいったん退任させ、新たに取締役を選定したほうが適切だからです。また、監査役設置会社が委員会を置く旨の定款の変更をした場合には、在任中の監査役の任期は定款変更の効力が生じた時に満了します。その理由は、委員会設置会社は、監査役を置くことができないからです。よって、本選択肢は正しいです。

ウ. 会社法309条2項7号では「累積投票により選任された取締役を解任する株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行わなければならない」と規定しているので、本選択肢は正しいです。

エ. 会社法343条3項、1項では「監査役会設置会社において、取締役が監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役会の同意を得なければならない」と規定しています。その趣旨は、取締役が監査役の選任に関する議案を株主総会に提出する際に、監査役会に拒否権を与え、監査役の地位の独立性を確保する点にあります。一方、「監査役会設置会社において、取締役が監査役の解任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役会の同意を得なければならない」という規定は、会社法には存在しません。従って、本選択肢は誤りです。

オ. 本選択肢では、Aが退任しても、3名の取締役が在任中ですので、Aが権利義務取締役となることはありません。取締役でない者が、権利義務代表取締役となることはあり得ませんので、Aが権利義務代表取締役となることはありえません。従って、本選択肢は誤りです。






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02

正しい記述はイとウであり、3が正解です。

ア 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合には、監査役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了します(会社法336条4項3号)。これは、すべての監査役が業務監査権限も有することになりますので、在任中の監査役をいったん退任させ、業務監査を行う能力を有する監査役を新たに選任するのが適切だからです。これに対し、取締役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了しません。従って、本記述は誤りです。

イ 監査役設置会社が監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款変更をした場合、取締役及び監査役の任期は、当該定款変更の効力が生じた時に満了します(会社法332条7項1号、336条4項2号)。取締役の任期が満了するのは、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社では、取締役の権限、性格、役割が大きく異なるため、在任中の取締役をいったん退任させ、新たに取締役を選任するのが適切だからです。監査役の任期が満了するのは、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、監査役を置いてはならないからです(会社法327条4項)。したがって、本記述は正しいです。

ウ 会社法309条2項7号は、累積投票により選任された取締役を解任する株主総会の決議について、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行わなければならないと規定しています。したがって、本記述は正しいです。

エ 会社法343条3項、1項では、「監査役会設置会社において、取締役が監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役会の同意を得なければならない」と規定しています。その趣旨は、取締役が監査役の選任に関する議案を株主総会に提出する際に、監査役会に拒否権を与え、監査役の地位の独立性を確保する点にあります。一方、「監査役会設置会社において、取締役が監査役の解任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役会の同意を得なければならない」という規定は、会社法にはありません。従って、本記述は誤りです。

オ 本記述の場合、Aが取締役を辞任しても取締役に欠員は生じませんので、Aは権利義務取締役とはなりません。取締役でなくなったAは代表取締役の前提資格を喪失するため、権利義務代表取締役となることはありません。したがって、本記述は誤りです。

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03

正解 3

ア 誤り
監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合には、監査役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了します(会社法336条4項3号)。
これに対し、取締役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時であっても満了しません。

イ 正しい
監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款の変更をした場合には、取締役および監査役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了します(会社法332条7項1号、336条4項2号)。

ウ 正しい
累積投票により選任された取締役を解任する場合、株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行わなければなりません(会社法309条2項7号)。

エ 誤り
監査役会設置会社において、取締役が監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役会の同意を得なければなりません(会社法343条1項、3項)。
これに対し、取締役が監査役の解任に関する議案を株主総会に提出する場合に、監査役会の同意を得なければならないとする規定は存在しません。

オ 誤り
定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、辞任により退任した役員は、新たに選任された役員が就任するまで、なお役員としての権利義務を有することになります(会社法346条1項)。
本肢の場合、Aが取締役を辞任しても定款で定めた役員の員数を欠くこととはならないため、Aは権利義務取締役とはなりません。

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